『相続人は、追い出された娘でした』

かおるこ

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『相続人は、追い出された娘でした』

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『相続人は、追い出された娘でした』

あの日、
私は家から追い出された。

ボストンバッグひとつと、
嘘で縫い付けられた「遺志」という言葉。

娘であることを剥がされ、
居場所を剥がされ、
名前だけが残った。

私は学んだ。
期待しないこと。
泣かないこと。
振り返らないこと。

灰の中で、息を殺して生きる術を。

けれど。

遺されたのは、
冷たい沈黙だけではなかった。

父は、不器用に、
遠い未来の私へ剣を置いた。

「取り戻せ」と。

奪い返すのではない。
壊すのでもない。

ただ、
本来そこにあったはずの光を、
自分の手に戻すだけ。

私はもう、
キッチンの隅で震える子どもではない。

私の名が刻まれた家に、
私の足で立つ。

ざまぁみろ、とは言わない。

ただ宣言する。

相続人は、
追い出された娘でした。

そして今日、
私は私を相続する。

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