『消された境界線 ―八尾・コンクリート詰めの18年―』住民票削除

かおるこ

文字の大きさ
13 / 13

登場人物紹介

しおりを挟む
登場人物紹介

**『ロスト・レジデンス ―透明な子供たちの戸籍―』**

---

## ■ ハナ(本名は物語終盤まで明かされない)

* 年齢:発見時18歳(物語内では主に6~10歳の姿で描写)
* 特徴:おかっぱ頭、赤い長靴、拾った石を宝物にする
* 性格:好奇心が強く、観察力がある。言葉は少なめ
* 口癖:自分の名前を繰り返す(幼い自己確認)

### 象徴

* “法的には存在しない”が、確かに呼吸している生命
* 虹、水、石など「光を集める存在」

### 物語上の役割

告発のための犠牲者ではなく、
**「そこにいた」という記憶の中心軸。**

彼女の体温を丁寧に描くことで、物語が消費に堕ちるのを防ぐ。

---

## ■ 志乃(しの)80代

* 長屋の元住人
* 夫を亡くし、一人暮らし
* 少し耳が遠いが、観察力は鋭い

### 内面

* 「余計なことに首を突っ込むな」という戦後世代の価値観
* それでもハナの笑顔が忘れられない

### 役割

“沈黙の共犯”から“記憶の証人”へ変わる存在。

終盤で彼女が語る証言は、
行政文書よりも重い。

---

## ■ 誠司(せいじ)30代前半・市役所職員

* 真面目、効率重視
* 家庭あり(幼い子供がいる)
* ノルマに追われる中間層

### 内面

* 「決まりだから」という言葉で自分を守る
* だがハナの年齢が、自分の娘と重なって見える瞬間がある

### 役割

悪意なき加担者。
行政の顔をした“システムの論理”。

彼の葛藤を描くことで、物語は単なる敵味方構造を超える。

---

## ■ 立花(たちばな)40代・記者

* 粘り強い
* 感情を表に出さない
* 過去に似た事件を追いきれなかった経験がある

### 役割

物語後半の“掘り起こす者”。

数字の奥にある「一人」を見ようとする姿勢が、
作品の倫理的軸になる。

---

## ■ 母

* 年齢:20代後半~30代前半(事件当時)
* 学歴は低く、非正規雇用を転々
* 経済的に父や兄に依存

### 内面

* 娘を守りたい気持ちはある
* だが「波風を立てること」への恐怖がそれを上回る
* 助けを求める術を知らない

### 役割

加害者であり、連鎖の被害者。

第9話で彼女の過去を描くことで、
“断罪”ではなく“構造の提示”へ昇華。

---

## ■ 叔父(支配者)

* 表向きは無職、家にいる時間が長い
* 外面は良い
* 言葉で相手を小さくするタイプ

### 特徴

* 直接的暴力よりも、心理的圧迫
* 「家族なんだから」が口癖

### 役割

家庭内の密室性を象徴する存在。

---

## ■ 祖父

* 老齢
* 現実から目を逸らす
* 「面倒事は避ける」が人生哲学

### 役割

沈黙の象徴。
社会の「見ないふり」を体現。

---

# 構造的テーマ

この物語は

* 一家族の狂気
  ではなく

* **「存在を証明できない子供」を生む制度と沈黙の連鎖**

を描く。

---

# 象徴モチーフ整理

* 赤い長靴(存在の証)
* 石(小さな世界)
* シュレッダーの音(法的消滅)
* コンクリートの灰色(封印)
* 水と虹(記憶の復権)

---

# トーンの指針

* 感情は静かに
* 悪意は誇張しない
* “なぜ誰も気づかなかったのか”を問い続ける

最後に残るのは怒りではなく、

**「次は消さない」という誓い。**


しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし

かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし 長屋シリーズ一作目。 第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。 十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。 頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。 一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

鷹鷲高校執事科

三石成
青春
経済社会が崩壊した後に、貴族制度が生まれた近未来。 東京都内に広大な敷地を持つ全寮制の鷹鷲高校には、貴族の子息が所属する帝王科と、そんな貴族に仕える、優秀な執事を育成するための執事科が設立されている。 物語の中心となるのは、鷹鷲高校男子部の三年生。 各々に悩みや望みを抱えた彼らは、高校三年生という貴重な一年間で、学校の行事や事件を通して、生涯の主人と執事を見つけていく。 表紙イラスト:燈実 黙(@off_the_lamp)

下宿屋 東風荘 7

浅井 ことは
キャラ文芸
☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..☆ 四つの巻物と本の解読で段々と力を身につけだした雪翔。 狐の国で保護されながら、五つ目の巻物を持つ九堂の居所をつかみ、自身を鍵とする場所に辿り着けるのか! 四社の狐に天狐が大集結。 第七弾始動! ☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆.。.:*・°☆*:..☆ 表紙の無断使用は固くお断りさせて頂いております。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...