非戦闘系ギフト・箱庭で世界を救え?!そんな無茶な! でもいつの間にか救っちゃっていたようです

AnJ

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芽吹の箱庭

雨を記憶する花弁の結晶

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 僕が箱庭から出したのはログハウス。テントの素材になるような物はなかったし、木なら使い放題だしね。四方八方頑丈な壁と屋根に囲まれて安心安全快適♪ってわけでちょちょいっと箱庭内で作成して取り出したのだが、この世界にログハウスはあるんだろうか? いや、二人の反応を見るにないのかもしれない。

 (タクミはそもそも家一軒まるごと収納できることが規格外ということに気付いていない。それに気づかされるまであと5秒。)


「何だこれは?! タクミ! お前の収納の容量はどうなっているんだ?!」

「家がまるまる入るなんて! 魔力も桁違いよ?!」


 あ、、そっち? 

「えーっと、、なんか入っちゃうみたい?えへ? と、とりあえず安全な中に入ってゆっくりしよう!」

 と、ドアを開けて二人をログハウスの中に強引に押し込む。

「わぁ!可愛い!」

 放心していたミナだったが、ログハウスに入った瞬間表情が明るくなった。
 そうだろうそうだろう。可愛いだろう。
 ただの何もないログハウスではない。ちゃんとテーブルに椅子、寝室にはベッドまでこさえてある。勿論枕とシーツ付きだ。前世で木から布を作った経験があって良かったー! 会社が環境をテーマにしていたから、森を守るってテーマでワークショップを開催した時に教えてもらったんだよな。あれは楽しかった。
 ちゃんと役にたってます! ありがとう! 担当してくれたなんとかさん!
 テーブルには紫陽花に似た水色のハイランジアを生けてみた。おもてなしの心大事。



「おい!ミナ! これ!」

 急にリオが叫んだ。

「どうし…?!」

 寝室の方を覗いていたミナがリオの方を振り返り、本日何度目かの目を丸くして止まった。だが今回は驚き以外の感情が混ざっているようだ。
 
「タクミ! これはハイランジアか?!」

 リオが物凄い勢いで僕の方に来たかと思ったら肩をギュッとつかんでそう聞いた。
 リオさんや、僕かよわいんだけど。って冗談が通じる雰囲気ではなく

「タクミ! この花をどこで?!」

 ミナまで僕に迫ってきた。僕モテ期? じゃなくて。もしかしなくても、やっちまったどころではないのだろうか。

「綺麗だよね~、紫陽花、じゃなかった、ハイランジア。えっと、目が覚めた場所に咲いてた?よ?」




 興奮する2人をひとまず落ち着かせ、クリプトメリアの木の温もりが感じられる椅子に座らせた。
 未だに火元がないので、暖かい飲み物は出せない。とりあえずあの水を出しておこう。というかそれしかない。

「取り乱してすまない。実は俺たちが今回どうしても遠出したかった理由がこのハイランジアなんだ。」

「タクミはこの花が何か知ってる?」

 うーん、初期の頃は簡単な鑑定結果しか出ていなかったから、特に気にせず植えていったな。
 レベルが上がった今ならもう少し詳しく見えるか?
 箱庭内のハイランジアを鑑定する。


【ハイランジア】  ≡
 タマキアの深緑林またはその付近に自生。雨の季節に花を咲かせる。水滴を抱いた花弁が時間とともに硬化し、雨を記憶する六角形の花の結晶となる。
〈状態〉 新鮮。
〈用途〉 結晶を土に埋めると、周囲の空気から水分を引き寄せ、微細な霧雨を発生させる。



 えー?! 何このファンタジーな雰囲気!! ファンタジーなんだけども! 雨を記憶するだって?! 


「どうやら今気付いたようね。この花は一年に一回、今の風待月の時期だけ咲くの。しかも、結晶化していくのはゆっくりなんだけど、完全に硬化して雨の記憶がしっかりと記憶されると夜露となって消えてしまうの。咲いている場所も場所だし、採取の条件が厳しくて滅多に市場には出てこないわ。何ならここ50年ほどは記録にないわね。」

「ああ、その50年前の時もほぼ奇跡のようなものだったからな」

「えぇ、国外から来たS級冒険者が道に迷ってたまたま発見したんだけど、その人がS級だったから生きて帰ってこれたの。その彼ですらボロボロだったわ。」

 ひぇぇーー! そんな場所を僕は1人でこんなラフな格好で歩き回っていたのか。タマキアの深緑林にはまた行きたいが、、今の話を聞いたらもう二度と行ける気がしない。
 色々箱庭に突っ込んでおいて良かった!



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