非戦闘系ギフト・箱庭で世界を救え?!そんな無茶な! でもいつの間にか救っちゃっていたようです

AnJ

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芽吹の箱庭

森の守護者

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「鹿?! でか!」

 霧の向こうから現れたのは、異形の大鹿だった。少し小高い場所からこちらを見下ろしているのは、体高は人の背丈を優に超え、枝のように広がるめちゃくちゃご立派な角には、苔と光の粒が絡みついている。瞳は深い琥珀色で、まるで千年の記憶を宿しているかのようだった。


 【霊角の王】
 セルビダエの上位種。トゥツァヴァの霧森の守護者


「え?!いきなりボスキャラ?! しかも守護者って、、倒していいのか?」


 森は沈黙していた。風すら息を潜め、木々のざわめきも止んでいる。どうやら箱庭内だから目視で鑑定ができるようだ。その鑑定結果に怖気ずいて後ずさりした僕が踏みしめた落ち葉の音だけが、辺りに響いた。

「…来る。」

 僕は腹を決めて静かに構えた。武器は日本刀のような刀。

 大地を踏みしめる音が重く響く。巨大な鹿のような《霊角の王》は、神獣のような威厳を放ち、角の先には淡い光が揺れていた。僕は息を整え、手にした刀を握り直す。これはただの狩りではない。これは、自身の成長のための「試練」だ。

「さっき採取しておいた癒光の種を早速使えそうだな。」

 セルビダエが突進してくる。その動きは速く、重い。僕は咄嗟に横に跳び、地面に《癒光の種》を撒く。種は瞬時に芽吹き、光の蔓(ツル)がセルビダエの脚を絡め取る。

「今だ——《精神集中》!」

 周囲の魔力が刀に収束する。刀から放たれた《光の斬撃》がセルビダエの肩に命中。セルビダエは一瞬よろめくが、すぐに体勢を立て直し、脚に絡まった光の蔓を引きちぎりながら咆哮を上げる。
 その咆哮は、森の魔力を揺らし、僕のHPをじわじわと削る。

「何だこの咆哮。動けない!体力も削がれている?!」

 動けない僕に向かってまたセルビダエが角を突き出して突進してくる。だが、僕は退かない。これは「経験値」を得るための戦いだ。逃げれば、レベルは上がらない!

「最後の一撃——《癒光爆裂》!」

 刀を振り下ろすと光が爆ぜ、セルビダエの体が包まれる。やがてゆっくりと光がおさまり、しばしの沈黙の後、森の守護者は僕に向かって静かに膝を折り、霧の中へと消えていった。



【レベルアップ!】 ・Lv:2 (5)→ 3(8)
・HP最大値 +20
・新スキル《森の加護》習得


 僕は息を吐き、刀を地面に突いた。

 レベルが上がったからなのか、箱庭内の補正効果なのかは分からないが、今までの戦闘とはまるで違った。戦いを知っていたかのような動きと、相手へのタイミングの合わせ方。
 そして今回は命を狩ったわけではなかったことへの安堵感と共に、森の守護者に認められたという喜びが湧いてきた。

「綺麗な瞳をしていたなぁ・・・」


 しばらく、森の守護者が立ち去った濃い霧の方を見つめていた。
 胸の奥に何かが静かに灯ったのを感じた。



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