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芽吹の箱庭
蒼銀のギルド
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地獄の特訓の後は平和な朝食タイムだ。ミナが準備してくれていたのは、小麦粉と水、塩を混ぜてフライパンでこんがりと焼いたシンプルなパンと、預けておいた果物とハーブ、野草、ミナ達の持っていたナッツをオリーブオイルで和えたフレッシュサラダ。昨晩のホーンラビットの香草焼きの残りに水を足して煮込んだスープ。
朝の光がログハウスを照らし、窓から差し込む陽射しが、まだ温もりを残すスープの上に揺れていた。焼きたてのパンをちぎると、外はカリッ、中はもちっとしていて、麦の香りとほんのりとした塩気が口の中に広がり、空腹を満たすだけでなく、心を落ち着かせてくれる。サラダは瑞々しくて、スープも温かい。素朴な味が空腹を満たし、過酷な朝練でやさぐれていた僕の心が少しだけほぐれていった。
僕は最後のひと口のパンを噛みしめながら、静かに息を吐く。外はまだ涼しく、風が草を撫でる音が耳に心地よい。
食器を片付け、火の元を確認しーーー箱庭内で火事はないだろうけどーーーログハウスを収納する。
「さぁ、出発しようか。」
リオがそう言って得物の大剣を荷物の一番最後に背負う。
今日はギルドへ冒険者登録をしに行く日だ――それは、旅の始まりであり、僕自身の存在をこの世界に刻む第一歩でもある。
正直ワクワクでしかない。前世で、そこまで異世界モノにハマっていた訳ではないが、あのむさ苦しそうなギルドの雰囲気は男のロマンでもある。新米冒険者いびりとかあるのだろうか? 受付のお姉様はお綺麗なのだろうか?
そんなバカみたいなことを考えながら、途中で魔獣を倒したり、休憩したり、この世界のことをまた教えてもらったり、魔獣を倒したり、、
そうして冒険者ギルドのあるアークライン街区に着いたのは日が傾き始めたころだった。
石畳の街道を進んでいくと門番の一人がこちらに気付いて
「おぅ、リオとミナじゃないか。無事に戻ってこれたんだな! みんな心配してたぞ。」
「あぁ、心配かけたな。この通り元気だ。こいつはタクミ。命の恩人なんだ。こっちの通貨を持っていないから、俺が払うよ。」
あ、お金。。ひとまず借りておこう。。
「何だ?何かあったのか?また詳しく聞かせてくれ。タクミ! こいつらを助けてくれたんだな。礼を言う。俺はガルドだ。何かあったら俺に言いにこい!」
「タクミです。いや、そんな大袈裟な。こちらこそ二人がいたから助かりました。これからよろしくお願いします。」
リオが門番のガルドに僕の分の通行料を手渡すと、重厚な鉄の門が軋みを上げて開いた。冒険者たちの夢と汗が交差する、活気と伝説の息づく場所。
門をくぐった瞬間、僕の胸は高鳴った。風に乗って漂う香辛料の香り、遠くから聞こえる鍛冶屋の槌音、そして何より――街の中心にそびえる、冒険者ギルドの建物。
ここからでも見えるその大きな建物は青みがかった銀色で空の色を映している。
近づくほどに、その建物が放つ威圧感と存在感に、思わず足が止まった。
尖塔とアーチが組み合わされた荘厳な構造。中央には大きな円形のステンドグラスがあり、ギルドの紋章――蒼き翼と銀の輪――が描かれている。
「どうだ?綺麗だろう?ここのギルドはあまり他では見られない造りになっているんだ。外壁は淡く光を反射する蒼銀石で造られていて、昼は空の色を映し、夜は月の光を帯びてほのかに輝く。中もなかなかだぞ。」
「……ここが、蒼銀のギルド……」
声にならない言葉が喉の奥で震える。長い旅路の果てに、ようやく辿り着いた。誰もが憧れ、誰もが試される場所。目頭が熱くなるのを隠すように、空を仰いだ。
ギルドの扉の前に立ち尽くしながら、僕は拳を握った。震えているのは恐れではない。希望だ。これから始まる冒険の予感に、心が震えているのだ!
よし!開けるぞ!
ギルドの重厚な扉を押し開けた瞬間、僕の胸は更に高鳴った。
ホールは天井が高く、蒼銀の柱が並ぶ広間。
ギルドの扉が静かに閉じると、外の喧騒は遠のき、空気が一変した。蒼銀の柱が並ぶ広い受付ホールには、魔力の粒子が微かに漂っている。まるで建物そのものが、訪れる者の素質を見定めているかのようだった。
床には星図のような紋様が描かれており、訪れる者の足音が静かに響く。ギルド嬢が優雅に迎えるカウンターは、木と金属が融合した温もりある造りになっている。
そして壁際には任務掲示板:魔法で浮かぶ文字が並ぶ透明な板。依頼は階層ごとに色分けされており、初心者から伝説級まで一目でわかる。未知の地名、魔物の名、報酬額が踊る。
それらすべてが、まだ見ぬ世界への招待状のように輝いて見えた。
朝の光がログハウスを照らし、窓から差し込む陽射しが、まだ温もりを残すスープの上に揺れていた。焼きたてのパンをちぎると、外はカリッ、中はもちっとしていて、麦の香りとほんのりとした塩気が口の中に広がり、空腹を満たすだけでなく、心を落ち着かせてくれる。サラダは瑞々しくて、スープも温かい。素朴な味が空腹を満たし、過酷な朝練でやさぐれていた僕の心が少しだけほぐれていった。
僕は最後のひと口のパンを噛みしめながら、静かに息を吐く。外はまだ涼しく、風が草を撫でる音が耳に心地よい。
食器を片付け、火の元を確認しーーー箱庭内で火事はないだろうけどーーーログハウスを収納する。
「さぁ、出発しようか。」
リオがそう言って得物の大剣を荷物の一番最後に背負う。
今日はギルドへ冒険者登録をしに行く日だ――それは、旅の始まりであり、僕自身の存在をこの世界に刻む第一歩でもある。
正直ワクワクでしかない。前世で、そこまで異世界モノにハマっていた訳ではないが、あのむさ苦しそうなギルドの雰囲気は男のロマンでもある。新米冒険者いびりとかあるのだろうか? 受付のお姉様はお綺麗なのだろうか?
そんなバカみたいなことを考えながら、途中で魔獣を倒したり、休憩したり、この世界のことをまた教えてもらったり、魔獣を倒したり、、
そうして冒険者ギルドのあるアークライン街区に着いたのは日が傾き始めたころだった。
石畳の街道を進んでいくと門番の一人がこちらに気付いて
「おぅ、リオとミナじゃないか。無事に戻ってこれたんだな! みんな心配してたぞ。」
「あぁ、心配かけたな。この通り元気だ。こいつはタクミ。命の恩人なんだ。こっちの通貨を持っていないから、俺が払うよ。」
あ、お金。。ひとまず借りておこう。。
「何だ?何かあったのか?また詳しく聞かせてくれ。タクミ! こいつらを助けてくれたんだな。礼を言う。俺はガルドだ。何かあったら俺に言いにこい!」
「タクミです。いや、そんな大袈裟な。こちらこそ二人がいたから助かりました。これからよろしくお願いします。」
リオが門番のガルドに僕の分の通行料を手渡すと、重厚な鉄の門が軋みを上げて開いた。冒険者たちの夢と汗が交差する、活気と伝説の息づく場所。
門をくぐった瞬間、僕の胸は高鳴った。風に乗って漂う香辛料の香り、遠くから聞こえる鍛冶屋の槌音、そして何より――街の中心にそびえる、冒険者ギルドの建物。
ここからでも見えるその大きな建物は青みがかった銀色で空の色を映している。
近づくほどに、その建物が放つ威圧感と存在感に、思わず足が止まった。
尖塔とアーチが組み合わされた荘厳な構造。中央には大きな円形のステンドグラスがあり、ギルドの紋章――蒼き翼と銀の輪――が描かれている。
「どうだ?綺麗だろう?ここのギルドはあまり他では見られない造りになっているんだ。外壁は淡く光を反射する蒼銀石で造られていて、昼は空の色を映し、夜は月の光を帯びてほのかに輝く。中もなかなかだぞ。」
「……ここが、蒼銀のギルド……」
声にならない言葉が喉の奥で震える。長い旅路の果てに、ようやく辿り着いた。誰もが憧れ、誰もが試される場所。目頭が熱くなるのを隠すように、空を仰いだ。
ギルドの扉の前に立ち尽くしながら、僕は拳を握った。震えているのは恐れではない。希望だ。これから始まる冒険の予感に、心が震えているのだ!
よし!開けるぞ!
ギルドの重厚な扉を押し開けた瞬間、僕の胸は更に高鳴った。
ホールは天井が高く、蒼銀の柱が並ぶ広間。
ギルドの扉が静かに閉じると、外の喧騒は遠のき、空気が一変した。蒼銀の柱が並ぶ広い受付ホールには、魔力の粒子が微かに漂っている。まるで建物そのものが、訪れる者の素質を見定めているかのようだった。
床には星図のような紋様が描かれており、訪れる者の足音が静かに響く。ギルド嬢が優雅に迎えるカウンターは、木と金属が融合した温もりある造りになっている。
そして壁際には任務掲示板:魔法で浮かぶ文字が並ぶ透明な板。依頼は階層ごとに色分けされており、初心者から伝説級まで一目でわかる。未知の地名、魔物の名、報酬額が踊る。
それらすべてが、まだ見ぬ世界への招待状のように輝いて見えた。
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『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』
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