非戦闘系ギフト・箱庭で世界を救え?!そんな無茶な! でもいつの間にか救っちゃっていたようです

AnJ

文字の大きさ
21 / 31
芽吹の箱庭

冒険者登録

しおりを挟む
「タクミ、まずは受付であなたの身分証を作るわ。リゼさん、彼の冒険者登録をお願いしたいの。」

「ミナさん、お帰りなさい。怪我は・・・なさそうね。無事に帰ってこれたようで安心したわ。それで、こちらの方の登録ね。ようこそ、《蒼銀のギルド》へ。冒険者登録用紙に記入をお願いします。」

 カウンターの奥に立つ綺麗なお姉様――リゼ・アルフィーネは、淡い水色の制服に身を包み、微笑を浮かべて僕たちを迎えた。そして優雅な所作で僕の前に一枚の用紙とペンを置いた。

「これを書けば…冒険者になるってことか。」

 用紙に書かれている文字は読める。だが、字は書けるのだろうか?日本語でタクミと書いたつもりだが、この世界の言葉に変換されているようだ。良かった。

「では次に魔力の登録を行います。」

彼女はカウンターの奥から、蒼銀の台座を引き寄せた。魔法陣が淡く輝き、空気が震える。

「この台座に手を置いてください。あなたの“存在”そのものが、記録となります。」

 僕が手を置くと、台座が微かに脈動し始めた。名前も出身も語らずとも、僕の中の何かが蒼銀の光に包まれて浮かび上がる。

「では、登録に必要な項目を確認いたします。お名前、得意分野……そして、希望する活動範囲。戦闘職、支援職、探索職などから選択できますが、特例として“未分類”もございます。」

 得意分野・・・。職業・・・。僕は一瞬迷ったが

「未分類でお願いします。まだ、自分が何に向いているのか……分からないので。」

 リゼさんは目を細め、優しく頷いた。

「その選択も、立派な始まりです。では、最後に――このギルドにおいて、あなたが守りたいものは何ですか?」

 問いかけは、形式的なものではなかった。ギルドの魔力が、その答えを記録し、今後の依頼や成長に影響を与えるのだ。

「守りたいもの・・・。」

 今までそんなことを考えたことはなかった。命の危険を感じたことのない平和な日本で育ち、ブラック企業だったが仲間たちとの団結力は強く仕事の内容自体にはやりがいがあった。だが、守りたいという感情とは違う。
 この世界にきて命のやりとりを初めて経験した。そして困っている人を助けたい、と思った。
 僕のギフトーー箱庭ーーが役に立つと実感した瞬間でもあった。

「まだ誰かを守る、なんて大それたことは言えないけれど、、困っている誰かを助けたい、と思います。」

 最後はリゼの目をしっかりと見つめながら僕の意志を告げた。

 その瞬間、登録台座が淡く輝き、蒼銀の紋章が空中に浮かび上がった。ギルド嬢が僕に手渡したのは、銀縁の冒険者証――まだ何も刻まれていない、真新しい証。

「登録完了です。あなたの冒険が、ここから始まります。」

 そう言ってリゼさんは僕に向かってニッコリと微笑んだ。

 その後に冒険者ランクや依頼の受け方などの説明を受けた。
 F級とE級が初心者で、冒険者カードはブロンズ。
 F級は探索や簡単な依頼が中心で、ギルド登録+初期依頼達成を一ヶ月以内に行えばE級に進める。ルーキーに優しくギルドからの支援もある。
 E級は地域貢献レベル。人助けや物資運搬など。昇格条件は依頼達成数10件+自分より上のランクの冒険者一人の推薦。戦闘以外の貢献も評価対象となる。
 ミナが最近なったD級は、小規模な魔物討伐や護衛任務が可能となる。カードの色はシルバー。指定依頼達成+スキル評価となり一気にTHE冒険者な雰囲気だ。
 リオが在籍するC級となると中規模任務や遠征が可能と更に任務内容も多様になり、信頼度も高くなる。なので、昇格するにはギルド試験合格+評判が重要となる。カードの色はゴールド。
 そしてここからはぐっと人数が減ってくる。
 B級。カードの色はプラチナ。高難度任務に挑戦可能で地域の英雄格。特殊依頼達成+推薦状が必要となる。他ギルドとの連携も発生する。
 A級。ここまでくると国規模の任務や戦略支援に関与する任務が増える。カードの色は燃えるような深紅だ。戦闘力以外の影響力も評価され、実績+精神的成長の証明という並大抵ではなれなさそうな香りがプンプンする。
 そしてトップオブトップはS級。もはや世界に影響を与える存在だ。希少で伝説級の存在。世界的貢献+ギフト覚醒が昇格条件だが、ここまでくると災害級の、国が亡びる案件を解決するくらいのレベルだろう。カードの色は一見真っ黒に見えるが、角度によって濃い紫にも見える。めちゃくちゃカッコイイ! 僕には到底かかわる事ができないであろうランクだが、このカードは憧れる。前世でいうプラチナカード、ブラックカード辺りか。



 周囲ではベテランの冒険者たちが談笑し、武器を磨き、依頼を選んでいる。
 その空気に混ざるだけで、まるで自分も物語の一部になったような気がした。
 不安もある。怖さもある。
 でもそれ以上に、胸の奥でふつふつと何かが沸き上がっている。

 「ようやく、始まるんだ。」

 ——自分だけの旅が。
 ——誰かを救う力が。
 ——そして、世界を少しだけ変える物語が。




 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

異世界転生したので森の中で静かに暮らしたい

ボナペティ鈴木
ファンタジー
異世界に転生することになったが勇者や賢者、チート能力なんて必要ない。 強靭な肉体さえあれば生きていくことができるはず。 ただただ森の中で静かに暮らしていきたい。

世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~

きよらかなこころ
ファンタジー
 シンゴはある日、事故で死んだ。  どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。  転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。  弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

社畜サラリーマン、異世界でパンと魔法の経営革命

yukataka
ファンタジー
過労死寸前の30代サラリーマン・佐藤健は、気づけば中世ヨーロッパ風の異世界に転生していた。与えられたのは「発酵魔法」という謎のスキルと、前世の経営知識。転生先は辺境の寒村ベルガルド――飢えと貧困にあえぐ、希望のない場所。「この世界にパンがない…だと?」健は決意する。美味しいパンで、人々を笑顔にしよう。ブラック企業で培った根性と、発酵魔法の可能性。そして何より、人を幸せにしたいという純粋な想い。小さなパン屋から始まった"食の革命"は、やがて王国を、大陸を、世界を変えていく――。笑いあり、涙あり、そして温かい人間ドラマ。仲間たちとの絆、恋の芽生え、強大な敵との戦い。パン一つで世界を救う、心温まる異世界経営ファンタジー。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

捨てられた貴族六男、ハズレギフト『家電量販店』で僻地を悠々開拓する。~魔改造し放題の家電を使って、廃れた土地で建国目指します~

荒井竜馬@書籍発売中
ファンタジー
 ある日、主人公は前世の記憶を思いだし、自分が転生者であることに気がつく。転生先は、悪役貴族と名高いアストロメア家の六男だった。しかし、メビウスは前世でアニメやラノベに触れていたので、悪役転生した場合の身の振り方を知っていた。『悪役転生ものということは、死ぬ気で努力すれば最強になれるパターンだ!』そう考えて死ぬ気で努力をするが、チート級の力を身につけることができなかった。  それどころか、授かったギフトが『家電量販店』という理解されないギフトだったせいで、一族から追放されてしまい『死地』と呼ばれる場所に捨てられてしまう。 「……普通、十歳の子供をこんな場所に捨てるか?」 『死地』と呼ばれる何もない場所で、メビウスは『家電量販店』のスキルを使って生き延びることを決意する。  しかし、そこでメビウスは自分のギフトが『死地』で生きていくのに適していたことに気がつく。  家電を自在に魔改造して『家電量販店』で過ごしていくうちに、メビウスは周りから天才発明家として扱われ、やがて小国の長として建国を目指すことになるのだった。  メビウスは知るはずがなかった。いずれ、自分が『機械仕掛けの大魔導士』と呼ばれ存在になるなんて。  努力しても最強になれず、追放先に師範も元冒険者メイドもついてこず、領地どころかどの国も管理していない僻地に捨てられる……そんな踏んだり蹴ったりから始まる領地(国家)経営物語。 『ノベマ! 異世界ファンタジー:8位(2025/04/22)』 ※別サイトにも掲載しています。

処理中です...