異世界トリップは期間限定らしいです。

狐月 みん

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2話

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ギャー、ギャー、と生物の鳴き声らしき声が聞こえる。
見渡す一面、緑。
いや、所々に青やら赤やら色はあるが、それはほんの一部。多分、なんかの植物の花とか実とかだろう。

とりあえず。

「何でこうなった?ていうか、ここ、どこ。」

確か、自称神とやらに会って、期間限定異世界トリップ行って来い、って言われてなんやかんやあって、空から空中落下。
気づけば、森の中。

いやほんとなんでこうなった?
あれ、私なにかしたっけ?
普通こういう、異世界ものの主人公とかって、家族関係複雑だったり、主人公過去に暗いもの背負ってたりと設定重めのばっかりだよね?
あと、何か異世界側が危機とか、間違って…とか。
あ、それと神の手違いで…ってやつだよね?

どれにも当てはまらないんだが?
家族仲はいたって良好、過去になにかあるとかもない。むしろ何もなさすぎる、平々凡々だったわ。
しかも神の手違いとかじゃなく、むしろ暇つぶし程度に行って来い、だったよね?
目的って、暇つぶし?
笑えねぇ。

「はぁ、まじか…。」

いやまて、確か自称神曰く、時間経過はなし、って言ってた。
なんてご都合主義。
助かるけどね?助かるけども。

「そもそも、期間限定っていつまでなんだよ、ほんと。っていうか、どこが“楽しいよ!”だよ。楽しむ要素今ゼロなんですけど?皆無。寧ろマイナス。」

なんで森の中なんだよ。
せめて村にしてくれ。

あ、でも村だと、いきなり見知らぬ人間が現れた、ってことで大変なことになるのかな。
やっぱり、異世界だし、服装とか文化とか食べ物とか、色々と全部違うのかな。

異世界ものの小説や漫画では、ものにもよるが、服装、食べ物や貴族階級などの文化やら、魔法、魔物、魔王。戦争や他国同士とのドロドロ関係。
とにかくなんでもありで、私がいた元いた世界と似たようで違う世界だった。

私がいるこの異世界はどうなんだろうか?

私のような、異世界からの人間とか他にいるのか。
あ、でも自称神は勇者や逆ハー女子とか色々と言ってたな…。

いや、私とは違う異世界の話かもしれないし。
でも同じ世界だと、ちょっと安心するかもな。

…人にもよるけど。

「ていうか、私これからどうすればいいんだよ。」

森の中、1人でしばらく途方に暮れていたが、これじゃいけないと思い、とりあえず、闇雲に歩き始める。

とはいえ、ちゃんとした道もなければ獣道すらもない。
ほんとに、森の中、草や木の間を通りながら、適当に進む。

ビビリの私にとって、森の中でじっとしているのも歩くのもどちらもドキドキものである。


時折、1人で、「ヒッ」とか、「ぅおっ!」など、ビビリながらも歩く。

こういう時、創作ものだと数時間歩いていたり、途中誰かに出会ったり、はたまたもふもふとか見つけて「きゃー♡」とかなるんだろうけど、そうはならない。

なぜなら、歩いて5分程度、木の近くにあった少し大きめの石に腰掛けて、休憩という名の現実逃避をしているから。

体力ないし、運動音痴だし、方向音痴。
更には超絶なまでのビビリ。

もっといえば、流されやすく、面倒くさがり。

「まじで、どーしようかなぁ…。」

あー、たしか、それなりに補正つけてくれる、って言ってたなぁ…。
そういえば、この世界って魔法とかあるのかな。
あるなら、補正とかと合わさって、どうにかなんないかな。

もういっそ、それで食料とか手に入ったり、安全な寝床とか入るなら、この森の中での生活でもいい。
ただし、もう一度いう。
食料の確保、安全な寝床の確保ができるのなら。

「なんか、こう、家がどーん、ってこの辺に現れないかなぁ。」

贅沢は言わない。
雨風防げ、かつ壊れない家。
確保されている食料。
風呂がつき、台所もあり、ベッドもある、そんな家がここに現れてほしい。
まぁ、台所あっても、料理は全くと行っていいほどしないから意味ないけど。

贅沢言ってるって?
別に、金が大量にほしいとか、でかい豪邸に住みたいとか、そんな願いじゃないから贅沢じゃない、だろう。
贅沢の捉え方は人それぞれだよ、うん。

はは、なんとかなんないかなぁ。

「そういえば、自称神、指パッチンでなんとかなってたなぁ。…いや、私指パッチンできないわ。」

指パッチンでテーブルや椅子を出したり、私の足元に異世界につながる穴を空けたりとしていた、自称神を思い出す。

だが、私は指パッチンができない。
友達は指パッチンができ、むしろ連続高速指パッチンしてた。
羨ましい。
私がやると、スカ、ってなったり、そもそもならない。

「まじかぁ…。あー、補正とかあるんなら、手を叩いてでもできるかな。」

完全装備の家がほしいな、と呟き、両手をパン、と叩く。

「…ま、そんなうまいこと進まないか。はぁ、どうしよ…。」

やっぱり、という思いもあるが、少し期待していただけあって、残念に思う気持ちもある。

やはり、どこか休めるところを探さなくては。
そう思い、何度目かのため息を吐き、もう少し歩いてみるか、と立ち上がった時。
目に映ったのは。

「…は?え、は??いつの間に?」

家が、目の前に。
先程には、無かったのに。


え、さっきまでなかったよね?
まばたきした、その一瞬で出てきたって感じだよね、これ。

あれ、さっきの両手叩いたやつ?
まさかの時間差?



「…私が出した、ってことでいいのかな?これで他人の家です、だったら嬉しいけど、なんか複雑なんだけど?え、入っていいかな。」


とりあえず、入るか。
おじゃましまーす、と小さな声で言いながらドアを開ける。

お願いだから、これで他人の家です、ってことはやめてほしいな。
不法侵入で捕まらない…よね…?


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