君に、炎を捧ぐⅢ〜偽りの剣と、真実の愛〜

みらい

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二話、灯の揺らぎ

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 夜風に揺られるルミナリア。
 ノルはそちらを向いている。

 何かあるのか?
 それともセレスタ嬢でも帰ってきたのか?

 ……いや。
 今日は陛下と共にお休みされているはず。
 それにこの表情は警戒している。

「……――っ」

 随分私も戦線から遠のいてしまって、感覚を忘れていたようだ。
 やっと私も目を凝らして分かった。
 一部のルミナリアの火が少し薄暗い。

 それを辿ると、灯りの中、蠢く影。
 皮膚の溶けた。
 緑色のソレ。
 ぬめった身体がルミナリアの清らかな光に照らされる。
 唯一、人の形は保たれていた。

「あ、あれは……」
「落とし子? ……ですかね」

 質問するような返答。
 私は話で聞いただけ。
 実際見た者がこれだから、魔物という可能性も捨てきれていないのだろう。
 しかし、容姿は人に近い。だからこそ、始末しきれていない実験体だと思っているのだろう。

 ノルが葡萄を頬張って、葡萄酒で流し込む。
 しっかり戦闘準備している。
 カタンと瓶を鳴らして立ち上がった。
 私も仕方ないと、後に続く。

「良い感じに酔っていたのに、台無しだ。おまえたちは下がれ」

 使用人――ノルの配下の赤翼の者たちや、竜の骨の頭や尻尾をもった子供たちが外に出ていた。
 それを下がらせる。
 得体のしれないモノ。
 竜の感覚的に配下ではまずいと思ったのだろう。

「閣下これ」

 ――と、どこから取り出したのか。
 剣を放り投げてくる。

「ノルは……問題ないか」

 バリストン家――セレスタ嬢が竜となったように。
 ノルも竜と化したらしい。
 それならば遅れをとるのは私の方かもしれんな。

 その様を実際に見た、陛下も「こいつは私では太刀打ちできんかもしれん」とまで言わしめた。

 逆にセレスタ嬢は「叔父様が敵わないのは、私かもしれません」と言っていた。
 一体双方にどういう心境があったのか。結局深堀はしなかった。

 本人が何も言わなければ、己から見た“その人”が本物だと思ってしまう。
 たとえそれが仮面だとしても。
 レイ殿の時も。
 ノルと接した時もそれは実感した。

 つくづく難しいものだ。
 ……正直今も連携できるか不安だ。
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