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四十一話、青炎の祈り
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*セレスタ視点
雨さえ降らない灰色の世界。
それでも騒がしい周り。
雷鳴。
群れが侵攻する地響き。
全部私の周りだけは世界から切り取られたように静寂に感じた。
時折。
私と似た――ゼロが叫ぶ彼女の名前。
嫉妬してしまう。
――アッシュ様。
私のでしょう?
嫉妬も執着も実は人一倍あると思っている。
伊達に叔父様に育てられてないんだから。
でも、目の前にいたのは、――知っている人であり、知らない人にも見えた。
風が間を冷たく吹き抜けた。
耳飾りが揺れる。
ぎゅ、と柄を握れば左手の指輪の感触が伝わる。
それと同じものを持っている彼女を呼ぶ。
「……アッシュ様?」
あの人の目に、私は映ってすらいなかった。
目なんて塞がれている。
よくわからない装置で。
映ってはいるけれど、敵としての私なのかもしれない。
それに、ここ最近ゼロたちの言う――耳鳴り。あれで遠ざかっていた。
もしかしたら、想いがすれ違っていたこともあったはず。
だったら――もう一度、想いを伝えるしかない。
炎じゃなく、剣じゃなく。
私の、全部で。
まずは、あの目元の装置だろうか?
壊せばあるいは――
いや、無理に破壊して、装備者の精神を傷つける装置も付いている可能性だってある……。
一か八か取ってしまおうか……。
だって、何もしなければ、このまま誰かに奪われる。それだけは、阻止したい。
そんな作戦を考えていたら、陛下が炎を纏って飛来した――私に向かって一直線に。
咄嗟に身を翻す。
業火と共に迫る彼女。
少し見惚れてしまう。
いつものクセで構えていた。
だから、問題なかった。
――が、刃が触れることはない。
風圧だけで数歩後退させられる。
「アッシュ様、久しぶりですね。本気でぶつかり合うのは」
返答はない。
何年か前に、逆の立場だったことを思い出す。
暖かい炎。
熱い涙雨。
それで私は思い出した。
あの時、あの人の炎が私を照らしてくれたのに。私を見つけてくれたのに。
今は私がその炎に焼かれている。
それでも私の好きな暖かい紅焔だ。
でもどこか意思がない。覇気も。
私は青い炎をふ、とひと吹きした。
その暖かくて寂しい炎を包み込む。
紫色に混ざり合う。
これであっさり炎は霧散されていく。
「ねぇ、アッシュ様」
剣を交えながら、私はただ呼びかけた。
――届かない声を、何度も。
彼女の焔は、答えの代わりに私を焦がした。
「戻って来てください」
どうかあなたの心まで、光が届くように。
雨さえ降らない灰色の世界。
それでも騒がしい周り。
雷鳴。
群れが侵攻する地響き。
全部私の周りだけは世界から切り取られたように静寂に感じた。
時折。
私と似た――ゼロが叫ぶ彼女の名前。
嫉妬してしまう。
――アッシュ様。
私のでしょう?
嫉妬も執着も実は人一倍あると思っている。
伊達に叔父様に育てられてないんだから。
でも、目の前にいたのは、――知っている人であり、知らない人にも見えた。
風が間を冷たく吹き抜けた。
耳飾りが揺れる。
ぎゅ、と柄を握れば左手の指輪の感触が伝わる。
それと同じものを持っている彼女を呼ぶ。
「……アッシュ様?」
あの人の目に、私は映ってすらいなかった。
目なんて塞がれている。
よくわからない装置で。
映ってはいるけれど、敵としての私なのかもしれない。
それに、ここ最近ゼロたちの言う――耳鳴り。あれで遠ざかっていた。
もしかしたら、想いがすれ違っていたこともあったはず。
だったら――もう一度、想いを伝えるしかない。
炎じゃなく、剣じゃなく。
私の、全部で。
まずは、あの目元の装置だろうか?
壊せばあるいは――
いや、無理に破壊して、装備者の精神を傷つける装置も付いている可能性だってある……。
一か八か取ってしまおうか……。
だって、何もしなければ、このまま誰かに奪われる。それだけは、阻止したい。
そんな作戦を考えていたら、陛下が炎を纏って飛来した――私に向かって一直線に。
咄嗟に身を翻す。
業火と共に迫る彼女。
少し見惚れてしまう。
いつものクセで構えていた。
だから、問題なかった。
――が、刃が触れることはない。
風圧だけで数歩後退させられる。
「アッシュ様、久しぶりですね。本気でぶつかり合うのは」
返答はない。
何年か前に、逆の立場だったことを思い出す。
暖かい炎。
熱い涙雨。
それで私は思い出した。
あの時、あの人の炎が私を照らしてくれたのに。私を見つけてくれたのに。
今は私がその炎に焼かれている。
それでも私の好きな暖かい紅焔だ。
でもどこか意思がない。覇気も。
私は青い炎をふ、とひと吹きした。
その暖かくて寂しい炎を包み込む。
紫色に混ざり合う。
これであっさり炎は霧散されていく。
「ねぇ、アッシュ様」
剣を交えながら、私はただ呼びかけた。
――届かない声を、何度も。
彼女の焔は、答えの代わりに私を焦がした。
「戻って来てください」
どうかあなたの心まで、光が届くように。
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