君に、炎を捧ぐⅢ〜偽りの剣と、真実の愛〜

みらい

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六十話、空の上の謝罪

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 雲海の中。
 雲に隠れながら帰路に着く。
 ふと地上を見ると、竜の背骨の山脈が近かった。
 既に陽が傾いていて、長くて短い一日がゆっくりと終る。

 とても長い一日だった。
 ギルドの人――赤髪じゃないからイグニス民ではない。
 その人たちが銃でもなんでもなく、魔法を使っている。
 夢じゃない。

「ところで、何故ゼロを連れてっている?」

 アッシュ様がやっと気づいた。
 なんか放っておけなくて、後ろ足で気絶している彼を持っていっていた。

 もしかしたら、あの五つ子のように、ゼロも叔父様の子かもしれないし……。陛下を好きそうだから、召使いくらいにはできそう。

 それにあなたを取られる気はない。
 とは言葉にはできず、ぐぅ……と唸る。
 彼女はふう、と息を吐いた。

「まあ、いい。セレスタ、聞いて」

 下を見下げていると、声がかかった。

「すまなかったな」

 一言だけ言って、また私のツノを握りしめた。
 言葉が話せないので、黙っているしかないのが辛い。
 それでもどこかで、気づいてくれているのかもしれない。
 続けて語りだす。

「……私は少し、寂しかったのだろうな。それに、妬けていたのかもしれない」

 良かった。
 ……もし、私が人間の姿だったらにやけていただろうなあ。
 と、同時にホッとした。
 多分、陛下も操られていた時の私の言動も覚えてないだろうし……。

「しかし、まさかバリストンと同じように、執着していたなんて思いもしなかったな。たまにはああやって誘拐されるのもいいかもしれんな。……セレスタの本心が聞こえるから」

 ……うぐ。
 覚えてるの……。
 もう陛下の顔見られないかも。

「……ああ。君の顔と声が観られないのが残念だなあ」
「……」

 なにも言い返しできないのも困るなあ。
 私が何も伝えられないでいると、つらつらと赤面するような言葉を吐いていく。

 そうして二人で上空を闊歩していると夜が始まる前には王国に着くことができた。



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