君に、炎を捧ぐⅢ〜偽りの剣と、真実の愛〜

みらい

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六十二話、継がれる焱

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*ヴェラノラ視点

 王国に戻って数十日。
 立て直すために四苦八苦。
 魔法が使えるようになってから、魔石よりも鉄鉱石なども欲するところが増えてきた。
 魔法と一緒に使えるからだろうか?

 内政も疎かになっていた。
 日はすぐに過ぎ去っていく。
 今日も今日とて、夜もすがら。
 既に国花が色めく頃合い。

 最初のおやすみが恋しくなってきた。

 そんな中。
 レイに似た人物が四つん這いになる。

「どうぞ、ヴェラノラ。休息は必要だ」
「……」

 ゼロを拾ってきたセレスタ。
 彼を私の側近にした。
 彼女の思いとしては、遠くに行った時守る者がいたら安心なのだろう。
 ――が、これはちょっと予想外だ。

「……座らないのか?」

 ここまで下僕化しているのは、バリストンのせいだろう。
 置き土産のつもりか。
 新たな悩みに頭を抱えた。

 そして、笑い声。

 そちらを振り向く。
 久しぶりにルミナリアの光ではなく、蝋燭を使っていた。
 そこから聞こえる声。
 聞き慣れたーー黄金の竜のもの。

『面白いな~。座ってやんないの?』

 私にしか聞こえない。
 過去、兄の言っていた声やら妖精さんやらの正体はこれか。

『しかし、案外このかんじも悪くないな。ヴェラノラ様、試してみる?』

 ずーーーーっと喋っている。
 今まで己が秘密にしていた分、反動のように。

 執務室の椅子に座れば、ゼロがうるさい。
 公務をしていれば、火が一緒喋る。
 私は二重に頭を抱えた。

「ゼロも休んでいい。あ、明日椅子にでもなるがいい……」

 私が折れたら、さっとお辞儀する。
 心配そうにチラチラ私を見ていた。

「私も休むよ」

 そう添えると、頷いて退室してくれた。
 好きだと言っていたことは本当だったらしい。

「さて」
『お礼はもういいから』
「そうか……」

 初代女王に捧げたかったはず。
 だからこそ、最初謝った。

 しかし、案外気にしていないらしい。
 己の名前の入った、ルミナリアの子孫までも愛していたのだろう。
 ……我が祖先は本当に、ロマンチックだな。

『――それはそうと、まだ君の中には蒼い、彼女の焱の半分がある。これからはおれの焱みたいに、ずっとずっと継いで』

 ――コンコン。

『ほら、来たみたいだよ。おれはお邪魔かな』

 そう言って声が消えた。

 少し控えめなノック。
 やはりまだ、力加減に不安があるのだろうか?
 それとも、昔の名残りだろうか?

 どちらにしろ、懐かしい。

「入っておいで」

 そう言って、青い焱の片割れを促す。
 風が揺れ、蝋燭の火が一瞬だけ青く染まった。
 その光を見つめながら、私は静かに微笑んだ。

「――おかえりなさい」


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