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女の楽園
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真夜中を過ぎたころ、カイナが弟妹を連れて女の楽園へやって来た。
「ダダ…なぜいるの?」
私の前には私服に着替えたダダもいる。
「俺はザザと出所が同じだから尋問はされる。安い給金にはうんざりしていたし団長のビズラは俺の尻を使うからな…もう…体を売る年でもない」
私はダダまで巻き込んだことに胸が痛む。
「気にするなよ。礼は金貨でいい」
ダダは軽く言ってくれるけど、もしかしたら罪人になってしまうかもしれないのに…
「ザザは…隠れて生きていくのよ…あなたも…そんな…」
私は女の楽園に着いてから冷静になりザザの未来を考えていた。逃亡は自分の願いだったけど罪人にはならない…けれどザザは私の同意があったといえ貴族夫人を拐った罪人にされてしまう…
「エルマリア」
隣に座るザザが私の手を握った。大きくて硬い手がとても熱く感じる…
「俺は捕まらん」
その自信はどこからくるのかと首を傾げてしまう。
「フローレン騎士団は野菜屋の主人を見つけたぞ」
ダダの言葉に体が揺れる。
「荷馬車で逃げたと知られた…ところまで俺は見ていたがシモンズへ報せを送る様子はなかった」
侯爵が報せなくても父は…
「父はきっと明日には異変に気づくわ…それは侯爵も理解していると思う」
侯爵はもう黙っていることはできないと思うわ。
「きっと明日…もう今日ね…今日中に報せるわ…そして機を見て父は乗り込む…イーゴを連れて…」
私は目蓋を下ろして記憶から懐かしい庭を拾う。落ち葉をかき分け掘った土の匂いと汚れた手を思い出す。
「エルマリア」
ザザの声に目蓋を開けてダダを見る。
「何を考えている?」
温めるように私の右手を握るザザの手の上に左の手を重ね、男のわりには華奢で綺麗な面差しのダダを見つめて話すことに決めた。
「…ガダードは戻らない?ここに耳はない?」
私の言葉の意味を理解したザザはダダに鍵をかけるよう手で合図を送った。
「声を落としていい…ダダには届く」
ザザの言葉に頷きとても小さく呟く。
「…シモンズ邸の北…奥庭園…大きな木の周り…角が取れた丸い石を探して」
真剣な顔のダダを見つめる。
「その下を掘るとあるわ…一つじゃないわ」
ザザはダダに視線を移した。
「持ち出す機会がなかったの…箱には入りきらなかったものよ…ダダ…父が邸を出ると警備が手薄になる…北は…母の場所なの。父は今も保っていて…庭師の小屋があるから…」
「いいのか?」
ダダの言葉に頷く。逃走資金は多い方がいいわ。
「父が玩具として母に与えたの。母と私はそれを隠した」
ダダに母の話はしたことがないから意味を理解できない部分があっただろうけど口を挟むことはしなかった。
「捕まらない自信があるなら取っていって…五百以上よ」
私の告げた数に息を飲む音が聞こえるほど部屋は静寂にあった。
「ザザ、どこへ向かう?」
私はダダの言葉にザザを見る。焦げ色の瞳は険しくダダを見ていた。
「ザザ、俺がいたほうが便利だろ」
「金貨を持って逃げていいのよ?」
わざわざ共にいることはない…危険を冒すことはない…
「どこかで腰を据えるんだろ?俺もそんな暮らしをしたい…働かずな…」
「北の辺境」
「北?だが土砂崩れがあったろ」
ダダの言葉のあとザザは私に視線を移した。
「ダダがいるならカイナたちを任せて俺たちは先に向かう。お前を抱いて山を越える」
私を抱えて…山…
「嘘だろ…ザザ…いくつの山を越えるっていうんだよ」
「土砂崩れ起こした山だけ大きく迂回して歩いて越える…その後は馬に乗る。エルマリア」
見つめ続ける焦げ色の瞳に頷く。
「風呂に入れんが耐えてくれ」
「わかったわ」
「エルマリア様、私たちは邪魔ではないですか?」
口を閉ざしてソファに座っていたカイナと弟妹が不安そうに私を見ていた。
「カイナ、本当の名は?」
「カインです」
「年は?」
「…十二です」
想像していたより幼いカインの年に微笑む。
「あなたたちは選んでいいの。首都は出なければならないけど性別を誤魔化していたことが幸いだわ。ダダが安全な場所まで送るわ…もちろん金貨も渡す」
「エルマリア様…わた…僕…僕…エルマリア様と一緒に生きたい」
涙を耐えるカインに微笑み頷き、ダダを見る。
「ダダ」
「ああ…俺の子供として馬車に乗ればいい。念のため変装するけどな。カイン、髪は切るぞ」
「カイン、弟と妹の名を教えて」
私は状況を理解できず震える小さな子供たちに視線を移す。
「はい。弟のアベル、妹のセツです」
「アベル、セツ…怖くはなかった?」
二人の荷物が少ない…急いで家から来たとわかるわ。
「少し…」
アベルの視線はザザにあった。セツもザザをちらちらと見て瞳に涙を溜めていた。
「ふふ、ザザはこんな顔だけど怖くないのよ」
私はザザの頬に手を伸ばして頬を摘まんで引っ張る。
「こんなことしても怒らないわ」
動かないザザにアベルとセツは頷く。
「ザザ、いつ発つ?」
「すぐだ」
その時、部屋の扉の握りが音を立てて回された。
「なんで鍵を閉めてる?開けろ」
ガダードの声にダダが鍵を開ける。
「ダダもいるのか…懐かしいもんだな」
「ガダード、数日この子供らを預かってくれ」
ザザの言葉にガダードはソファに座る三人を見る。
「侯爵家の騎士が探しに来てもこいつらのことじゃない」
「ふうん…奴らに見せても平気ってことだな?」
「ああ…カイン…服を着替えろ…ダダ」
部屋からダダとカインたちが出ていった。
「ガダードさん」
私は対面に座ったガダードを見つめる。険しい顔のガダードはあごを上げ、話せと言っている。
「フローレン侯爵以外にもシモンズ子爵から人が来ます」
「アイザック・シモンズ…か…賢い男はお前を捕まえるぞ」
「…たぶん…探します」
父は探すだろうけど…それはいつまでなのか私にはわからないわ。価値のなくなった私のことは時期をみて諦めるかもしれない。
「ガダード、金髪の女の死体を見つけたらドレスを着せて見つかりにくい場所に放ってくれ」
「急ぐか?」
「いや、下手に動いて悟られても困る。偶然手に入れたものでいい…」
「…それをシモンズの令嬢だと噂でも流せばいいか?」
「ああ」
「いつになるかわからないがな。ザザ、罪人だぞ」
ガダードの言葉に触れているザザの手を強く掴む。
「ああ」
「そこまでの覚悟かよ…奴隷のほうがマシだろ」
私はガダードの言葉に頷きたくなったけどザザの決心を傷つけたくなかった。
「夜の一族か」
ガダードの言葉にうつむいていた顔を上げる。
「…元奴隷商だぞ…博識なんだよ」
「彼らがどこにいるのか知っているの?」
母様はあまり話してくれなかった。
「知らないな。奴らは流浪の一族だ…一つの土地に居着かない……昔…夜の一族の男が女を探しに俺のもとへ来たことがある。名は忘れたがな…」
母様のことかもしれないし、違うかもしれない…
「エルマリア、その一族と会いたいのか?」
ザザの言葉に顔を傾けると険しい瞳が睨むように見ていた。重なる手が熱を増した気がする。
「いいえ、会ったことのない人たちよ…会っても…」
意味がないわ。もしかしたら母様の家族…私の血縁がいるかもしれないけど…
「外で見かけたら見たい…そんな程度よ」
「そうか」
ザザの顔から少しだけ険しさが消えた。
「ダダ…なぜいるの?」
私の前には私服に着替えたダダもいる。
「俺はザザと出所が同じだから尋問はされる。安い給金にはうんざりしていたし団長のビズラは俺の尻を使うからな…もう…体を売る年でもない」
私はダダまで巻き込んだことに胸が痛む。
「気にするなよ。礼は金貨でいい」
ダダは軽く言ってくれるけど、もしかしたら罪人になってしまうかもしれないのに…
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私は女の楽園に着いてから冷静になりザザの未来を考えていた。逃亡は自分の願いだったけど罪人にはならない…けれどザザは私の同意があったといえ貴族夫人を拐った罪人にされてしまう…
「エルマリア」
隣に座るザザが私の手を握った。大きくて硬い手がとても熱く感じる…
「俺は捕まらん」
その自信はどこからくるのかと首を傾げてしまう。
「フローレン騎士団は野菜屋の主人を見つけたぞ」
ダダの言葉に体が揺れる。
「荷馬車で逃げたと知られた…ところまで俺は見ていたがシモンズへ報せを送る様子はなかった」
侯爵が報せなくても父は…
「父はきっと明日には異変に気づくわ…それは侯爵も理解していると思う」
侯爵はもう黙っていることはできないと思うわ。
「きっと明日…もう今日ね…今日中に報せるわ…そして機を見て父は乗り込む…イーゴを連れて…」
私は目蓋を下ろして記憶から懐かしい庭を拾う。落ち葉をかき分け掘った土の匂いと汚れた手を思い出す。
「エルマリア」
ザザの声に目蓋を開けてダダを見る。
「何を考えている?」
温めるように私の右手を握るザザの手の上に左の手を重ね、男のわりには華奢で綺麗な面差しのダダを見つめて話すことに決めた。
「…ガダードは戻らない?ここに耳はない?」
私の言葉の意味を理解したザザはダダに鍵をかけるよう手で合図を送った。
「声を落としていい…ダダには届く」
ザザの言葉に頷きとても小さく呟く。
「…シモンズ邸の北…奥庭園…大きな木の周り…角が取れた丸い石を探して」
真剣な顔のダダを見つめる。
「その下を掘るとあるわ…一つじゃないわ」
ザザはダダに視線を移した。
「持ち出す機会がなかったの…箱には入りきらなかったものよ…ダダ…父が邸を出ると警備が手薄になる…北は…母の場所なの。父は今も保っていて…庭師の小屋があるから…」
「いいのか?」
ダダの言葉に頷く。逃走資金は多い方がいいわ。
「父が玩具として母に与えたの。母と私はそれを隠した」
ダダに母の話はしたことがないから意味を理解できない部分があっただろうけど口を挟むことはしなかった。
「捕まらない自信があるなら取っていって…五百以上よ」
私の告げた数に息を飲む音が聞こえるほど部屋は静寂にあった。
「ザザ、どこへ向かう?」
私はダダの言葉にザザを見る。焦げ色の瞳は険しくダダを見ていた。
「ザザ、俺がいたほうが便利だろ」
「金貨を持って逃げていいのよ?」
わざわざ共にいることはない…危険を冒すことはない…
「どこかで腰を据えるんだろ?俺もそんな暮らしをしたい…働かずな…」
「北の辺境」
「北?だが土砂崩れがあったろ」
ダダの言葉のあとザザは私に視線を移した。
「ダダがいるならカイナたちを任せて俺たちは先に向かう。お前を抱いて山を越える」
私を抱えて…山…
「嘘だろ…ザザ…いくつの山を越えるっていうんだよ」
「土砂崩れ起こした山だけ大きく迂回して歩いて越える…その後は馬に乗る。エルマリア」
見つめ続ける焦げ色の瞳に頷く。
「風呂に入れんが耐えてくれ」
「わかったわ」
「エルマリア様、私たちは邪魔ではないですか?」
口を閉ざしてソファに座っていたカイナと弟妹が不安そうに私を見ていた。
「カイナ、本当の名は?」
「カインです」
「年は?」
「…十二です」
想像していたより幼いカインの年に微笑む。
「あなたたちは選んでいいの。首都は出なければならないけど性別を誤魔化していたことが幸いだわ。ダダが安全な場所まで送るわ…もちろん金貨も渡す」
「エルマリア様…わた…僕…僕…エルマリア様と一緒に生きたい」
涙を耐えるカインに微笑み頷き、ダダを見る。
「ダダ」
「ああ…俺の子供として馬車に乗ればいい。念のため変装するけどな。カイン、髪は切るぞ」
「カイン、弟と妹の名を教えて」
私は状況を理解できず震える小さな子供たちに視線を移す。
「はい。弟のアベル、妹のセツです」
「アベル、セツ…怖くはなかった?」
二人の荷物が少ない…急いで家から来たとわかるわ。
「少し…」
アベルの視線はザザにあった。セツもザザをちらちらと見て瞳に涙を溜めていた。
「ふふ、ザザはこんな顔だけど怖くないのよ」
私はザザの頬に手を伸ばして頬を摘まんで引っ張る。
「こんなことしても怒らないわ」
動かないザザにアベルとセツは頷く。
「ザザ、いつ発つ?」
「すぐだ」
その時、部屋の扉の握りが音を立てて回された。
「なんで鍵を閉めてる?開けろ」
ガダードの声にダダが鍵を開ける。
「ダダもいるのか…懐かしいもんだな」
「ガダード、数日この子供らを預かってくれ」
ザザの言葉にガダードはソファに座る三人を見る。
「侯爵家の騎士が探しに来てもこいつらのことじゃない」
「ふうん…奴らに見せても平気ってことだな?」
「ああ…カイン…服を着替えろ…ダダ」
部屋からダダとカインたちが出ていった。
「ガダードさん」
私は対面に座ったガダードを見つめる。険しい顔のガダードはあごを上げ、話せと言っている。
「フローレン侯爵以外にもシモンズ子爵から人が来ます」
「アイザック・シモンズ…か…賢い男はお前を捕まえるぞ」
「…たぶん…探します」
父は探すだろうけど…それはいつまでなのか私にはわからないわ。価値のなくなった私のことは時期をみて諦めるかもしれない。
「ガダード、金髪の女の死体を見つけたらドレスを着せて見つかりにくい場所に放ってくれ」
「急ぐか?」
「いや、下手に動いて悟られても困る。偶然手に入れたものでいい…」
「…それをシモンズの令嬢だと噂でも流せばいいか?」
「ああ」
「いつになるかわからないがな。ザザ、罪人だぞ」
ガダードの言葉に触れているザザの手を強く掴む。
「ああ」
「そこまでの覚悟かよ…奴隷のほうがマシだろ」
私はガダードの言葉に頷きたくなったけどザザの決心を傷つけたくなかった。
「夜の一族か」
ガダードの言葉にうつむいていた顔を上げる。
「…元奴隷商だぞ…博識なんだよ」
「彼らがどこにいるのか知っているの?」
母様はあまり話してくれなかった。
「知らないな。奴らは流浪の一族だ…一つの土地に居着かない……昔…夜の一族の男が女を探しに俺のもとへ来たことがある。名は忘れたがな…」
母様のことかもしれないし、違うかもしれない…
「エルマリア、その一族と会いたいのか?」
ザザの言葉に顔を傾けると険しい瞳が睨むように見ていた。重なる手が熱を増した気がする。
「いいえ、会ったことのない人たちよ…会っても…」
意味がないわ。もしかしたら母様の家族…私の血縁がいるかもしれないけど…
「外で見かけたら見たい…そんな程度よ」
「そうか」
ザザの顔から少しだけ険しさが消えた。
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