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トマークタス・ベルザイオ
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ベルザイオ王国の首都では貴族も平民もフローレン侯爵家とシモンズ子爵家の離婚の話でもちきりだった。
国一番の美男子として名を馳せた王孫の所業とシモンズ子爵の溺愛する娘の拉致事件、ランド男爵令嬢の性悪さが世間に広まった。
フェリシア・ランドは宿から出ることができず、フローレン侯爵家は一切の社交を止めた。財政難を乗り越えるため上級使用人を大量に解雇し下級使用人もエルマリアへの行為を理由に推薦状、退職金なしで放逐した。
エルマリア・シモンズが拉致されてから一月を過ぎてもアイザックのもとに有力な情報は届いていなかった。
「カイナという下人も見つからないとはな…」
「はい。病気の弟妹がいるのですぐに見つかると思いましたが、渡された書類は古かったらしく貧民街から引っ越した家まで辿り着いても…すでに…」
「…関門も…各領地への要請も…めぼしい情報がないなど」
アイザックは各地から届いた手紙を叩く。
「北の…土砂崩れは解消されたか…」
「はい。手前まで向かいましたがそれらしい者は見ていないと…先へ進むそうです」
アイザックがイーゴの報告を聞いているとき、廊下が騒がしくなり慌ただしく扉が叩かれた。
イーゴが開いた扉の先には先触れも出さずに来訪した国王が杖を手に立っていた。
「ベルザイオ王国に栄華を、国王陛下」
アイザックは内心舌打ちをしながら立ち上がり挨拶をする。
「忍んで来た、かしこまるな」
トマークタスは部屋に入りソファに腰を下ろした。従者と近衛は廊下に待たせ、扉を閉めろとイーゴに手を振った。
「どうかしましたか?」
アイザックは華美な衣装が似合わないトマークタスの対面に座る。
「はは!どちらに行こうかと悩んだがな、倒した杖がシモンズを示した。そんな嫌な顔をしてくれるな」
「王孫レイモンド・フローレン侯爵令息との離婚、残念でなりません」
「はは!残念の顔じゃあないな…そのつもりで結婚させたろう?」
アイザックは表情を変えずトマークタスを見る。
「そんなにいい石が眠っていたのか…元は私の鉱山だった…返してくれるか?」
公正な契約書に則り手に入れた鉱山の権利を言葉一つで覆そうとするトマークタスにアイザックは首を振った。
「では議会で成り行きと書類を精査してから話し合いましょう」
それは数多の貴族たちの集まる議会で今回のことを詳しく説明し、フローレンを今よりも窮地に立たせ国王の身勝手ぶりを見せるとアイザックは伝える。
「そんなことしても鉱山は戻ってこないな…ふむ…私の言葉では駄目か。娘は見つかったか?」
「…いいえ…各方面へ人を送りましたが…まだ」
「ほう…本気で探しているのか?」
「意味がわかりません」
「アイザック、下人に拉致された娘が無事に戻ったとて…飼い殺しだぞ…お前が娘を心配するような人間じゃないことはわかっているからな…嘘を吐くな。騎士隊に捜索の要請を出していないな」
「シモンズの私兵のほうが動きやすいので…税金は使わずとも」
トマークタスは笑いながら頭をかいて背もたれに身を預け姿勢を崩す。
「お前の娘が消える前、アンジェルが援助を願い出てな、過去一番の必死さにたまらなくなった…つい…真実を話したぞ。愚かな娘を作ったと自負していたが…想像よりも出来が悪くてな…笑いが止まらんかった。顔だけが私に似たな、アンジェルは。弱い頭のくせに感情は激しい…ソロモンは引き取ってくれと言うかもしれん」
平凡な面差しを隠すように生えた髭を触りながらトマークタスは笑う。
「これからフローレンはどうなると思う?」
「私にはわかりませんが」
「アイザック、杖がお前を示したと言っただろう?面白い会話ができると思って来たぞ」
気分を悪くさせるなとトマークタスはアイザックを見る。
「…夫人が贅沢を止め…レイモンド侯爵令息の次の結婚相手が金持ちならば存続するでしょう」
「困窮した侯爵家か…笑えるなぁ…瑕疵はすべてフローレン…だ…世間ではお前の娘を同情する声がほとんどだ…知っているよな」
「娘は被害者です」
「はは!そうなるとわかって嫁がせたろうって、はは!」
「まさか」
「レイモンドはアンジェルの頭を継いだな」
「ですね」
「はは!アイザック…私は多少驚いた」
アイザックは口を閉ざしトマークタスを見つめる。
「ランド男爵令嬢の噂を広めただろう?」
エルマリアが受けた疑いのある事柄をすべてフェリシアの命令で行われたと決めつけて噂を広めた。
「男爵令嬢は侯爵夫人になれず純潔でもない…どん底に落ちた娘に追い打ちするような真似をしたお前が意外でな」
「…なにが言いたいのか…」
「娘が消えたことが辛いか?」
アイザックは表情を変えたつもりはなかったがトマークタスは満面の笑みを見せる。
「はは!お前に親心があるとはな!可哀想に!はは!杖がフローレンを示さなくてよかった…お前の無表情が変化する様を見れた」
「ならばお帰りください。用は済んだのでは?」
「そんなこと言うな。関門もどこの宿もお前の喜ぶ情報はくれなかったろ?」
アイザックはトマークタスの言葉に頬をひくつかせた。
「なにか知っている?」
「はは!…だなぁ」
アイザックは目の前の腹の立つ顔を見つめる。
「話す気がないならばお帰りください」
「鉱山の権利」
トマークタスは笑いながら告げる。
「陛下、情報を持っていると教えてくれたこと感謝します。ですが鉱山の権利は渡しません」
「アイザック、芽生えた親心はもう消えたのか?」
アイザックはわずかに口角を上げた。
「陛下の得られる情報ならば私に届くのも遅くはない…ということです」
「はは!」
トマークタスは膝を叩いて笑う。
「…その情報源が生きていれば…だろ?」
「ほう…そこまで鉱山が…陛下…アイザック・シモンズが手にできないものなどない…人も情報も…陛下の犬が話すかもしれない」
アイザックは紫の瞳を細めてトマークタスを見る。平凡な顔は口角を上げた。
「…関門を過ぎて農地が広がる場所の端に住む老夫婦が男に馬を売ったそうだ」
「確かに…素晴らしい情報だ」
「嫌みを言うな、アイザック。北関門…娘が消えた翌日の話だ」
アイザックは理由のつかない痺れを体に感じた。勘がエルマリアを拐った下人だと囁いた。
「陛下」
「なんだ?鉱山をくれるのか?」
「鉱山から石が取れましたら一つ…差し上げます」
指を一本立てるアイザックの姿にトマークタスは口を開けて笑う。
「ははは!大きいのをくれ!私の犬が走り回って得た情報だぞ」
頷くアイザックを見つめながら笑いを止めたトマークタスは真剣に紫の瞳を見つめる。
「…娘が戻りたくないと言ったらどうする?」
トマークタスはまるでエルマリアの意志を察したように呟いた。
「娘が…そう言ったら考えます」
「ふ…お前ならば無理やり連れ戻す。アイザック、私の王座はお前にかかっている」
「いきなりなんです?」
「王太子と賭けをしてな。アイザックが見つけるに王座を賭けたのだ」
「そうですか」
「私は死ぬまで最高権力者で周りを転がし遊びたいからな…探し出せ」
アイザックは鼻で笑い頷いた。
「私に情報を渡すことは…」
「あいつは知らん!はは!秘密にしろよ?ズルをしたと言われては困るぞ」
アイザックはリアが死んでから立ち入ることを止めた北の庭に入った。
「旦那様」
「スベン」
強い日差しが苦手なリアのために金をかけても保ち続けた日の当たらない庭。
「見つけた金貨は百ほどと聞いた」
「はい。丸い石の下に…袋に入れられて埋まっていました」
「…お前は近くで見ていた」
「はい。金貨があることは知っていました」
「…百…なわけない…千近く贈ったんだ」
「…私の知らない場所でしょうか?」
大きな木の下で揺れる葉を見つめながらアイザックは過去を想う。黙ってしまった主にスベンは過去の出来事を口にする。
「騎士を辞めて…この庭に住むようになり…手入れをしていた日に金貨が落ちてきました」
アイザックは見上げていた視線をスベンに向ける。
「…木の下にいたのか?」
「はい」
「はは…邸からリアと投げた…引っかかれと子供のように…」
「落ちた金貨は戻しました」
「そうか…リアからの給金と受け取ってよかった」
「使い道がありません」
アイザックは再び木を見上げる。
「ふ…木が貯金箱と…リアが…言って…いた」
苦しくなる愛しい思い出が溢れだしアイザックの頬を濡らした。
心から愛し、抑えきれない想いをそのままに愛しい人の嘆きにも耐え閉じ込めた素晴らしい日々はアイザックの宝だった。自由を失くし泣き暮らすリアに生きる意味を与えるために子を孕ませ過ごした過去はいつでもアイザックに温もりと悲しさと絶望を与えた。
国一番の美男子として名を馳せた王孫の所業とシモンズ子爵の溺愛する娘の拉致事件、ランド男爵令嬢の性悪さが世間に広まった。
フェリシア・ランドは宿から出ることができず、フローレン侯爵家は一切の社交を止めた。財政難を乗り越えるため上級使用人を大量に解雇し下級使用人もエルマリアへの行為を理由に推薦状、退職金なしで放逐した。
エルマリア・シモンズが拉致されてから一月を過ぎてもアイザックのもとに有力な情報は届いていなかった。
「カイナという下人も見つからないとはな…」
「はい。病気の弟妹がいるのですぐに見つかると思いましたが、渡された書類は古かったらしく貧民街から引っ越した家まで辿り着いても…すでに…」
「…関門も…各領地への要請も…めぼしい情報がないなど」
アイザックは各地から届いた手紙を叩く。
「北の…土砂崩れは解消されたか…」
「はい。手前まで向かいましたがそれらしい者は見ていないと…先へ進むそうです」
アイザックがイーゴの報告を聞いているとき、廊下が騒がしくなり慌ただしく扉が叩かれた。
イーゴが開いた扉の先には先触れも出さずに来訪した国王が杖を手に立っていた。
「ベルザイオ王国に栄華を、国王陛下」
アイザックは内心舌打ちをしながら立ち上がり挨拶をする。
「忍んで来た、かしこまるな」
トマークタスは部屋に入りソファに腰を下ろした。従者と近衛は廊下に待たせ、扉を閉めろとイーゴに手を振った。
「どうかしましたか?」
アイザックは華美な衣装が似合わないトマークタスの対面に座る。
「はは!どちらに行こうかと悩んだがな、倒した杖がシモンズを示した。そんな嫌な顔をしてくれるな」
「王孫レイモンド・フローレン侯爵令息との離婚、残念でなりません」
「はは!残念の顔じゃあないな…そのつもりで結婚させたろう?」
アイザックは表情を変えずトマークタスを見る。
「そんなにいい石が眠っていたのか…元は私の鉱山だった…返してくれるか?」
公正な契約書に則り手に入れた鉱山の権利を言葉一つで覆そうとするトマークタスにアイザックは首を振った。
「では議会で成り行きと書類を精査してから話し合いましょう」
それは数多の貴族たちの集まる議会で今回のことを詳しく説明し、フローレンを今よりも窮地に立たせ国王の身勝手ぶりを見せるとアイザックは伝える。
「そんなことしても鉱山は戻ってこないな…ふむ…私の言葉では駄目か。娘は見つかったか?」
「…いいえ…各方面へ人を送りましたが…まだ」
「ほう…本気で探しているのか?」
「意味がわかりません」
「アイザック、下人に拉致された娘が無事に戻ったとて…飼い殺しだぞ…お前が娘を心配するような人間じゃないことはわかっているからな…嘘を吐くな。騎士隊に捜索の要請を出していないな」
「シモンズの私兵のほうが動きやすいので…税金は使わずとも」
トマークタスは笑いながら頭をかいて背もたれに身を預け姿勢を崩す。
「お前の娘が消える前、アンジェルが援助を願い出てな、過去一番の必死さにたまらなくなった…つい…真実を話したぞ。愚かな娘を作ったと自負していたが…想像よりも出来が悪くてな…笑いが止まらんかった。顔だけが私に似たな、アンジェルは。弱い頭のくせに感情は激しい…ソロモンは引き取ってくれと言うかもしれん」
平凡な面差しを隠すように生えた髭を触りながらトマークタスは笑う。
「これからフローレンはどうなると思う?」
「私にはわかりませんが」
「アイザック、杖がお前を示したと言っただろう?面白い会話ができると思って来たぞ」
気分を悪くさせるなとトマークタスはアイザックを見る。
「…夫人が贅沢を止め…レイモンド侯爵令息の次の結婚相手が金持ちならば存続するでしょう」
「困窮した侯爵家か…笑えるなぁ…瑕疵はすべてフローレン…だ…世間ではお前の娘を同情する声がほとんどだ…知っているよな」
「娘は被害者です」
「はは!そうなるとわかって嫁がせたろうって、はは!」
「まさか」
「レイモンドはアンジェルの頭を継いだな」
「ですね」
「はは!アイザック…私は多少驚いた」
アイザックは口を閉ざしトマークタスを見つめる。
「ランド男爵令嬢の噂を広めただろう?」
エルマリアが受けた疑いのある事柄をすべてフェリシアの命令で行われたと決めつけて噂を広めた。
「男爵令嬢は侯爵夫人になれず純潔でもない…どん底に落ちた娘に追い打ちするような真似をしたお前が意外でな」
「…なにが言いたいのか…」
「娘が消えたことが辛いか?」
アイザックは表情を変えたつもりはなかったがトマークタスは満面の笑みを見せる。
「はは!お前に親心があるとはな!可哀想に!はは!杖がフローレンを示さなくてよかった…お前の無表情が変化する様を見れた」
「ならばお帰りください。用は済んだのでは?」
「そんなこと言うな。関門もどこの宿もお前の喜ぶ情報はくれなかったろ?」
アイザックはトマークタスの言葉に頬をひくつかせた。
「なにか知っている?」
「はは!…だなぁ」
アイザックは目の前の腹の立つ顔を見つめる。
「話す気がないならばお帰りください」
「鉱山の権利」
トマークタスは笑いながら告げる。
「陛下、情報を持っていると教えてくれたこと感謝します。ですが鉱山の権利は渡しません」
「アイザック、芽生えた親心はもう消えたのか?」
アイザックはわずかに口角を上げた。
「陛下の得られる情報ならば私に届くのも遅くはない…ということです」
「はは!」
トマークタスは膝を叩いて笑う。
「…その情報源が生きていれば…だろ?」
「ほう…そこまで鉱山が…陛下…アイザック・シモンズが手にできないものなどない…人も情報も…陛下の犬が話すかもしれない」
アイザックは紫の瞳を細めてトマークタスを見る。平凡な顔は口角を上げた。
「…関門を過ぎて農地が広がる場所の端に住む老夫婦が男に馬を売ったそうだ」
「確かに…素晴らしい情報だ」
「嫌みを言うな、アイザック。北関門…娘が消えた翌日の話だ」
アイザックは理由のつかない痺れを体に感じた。勘がエルマリアを拐った下人だと囁いた。
「陛下」
「なんだ?鉱山をくれるのか?」
「鉱山から石が取れましたら一つ…差し上げます」
指を一本立てるアイザックの姿にトマークタスは口を開けて笑う。
「ははは!大きいのをくれ!私の犬が走り回って得た情報だぞ」
頷くアイザックを見つめながら笑いを止めたトマークタスは真剣に紫の瞳を見つめる。
「…娘が戻りたくないと言ったらどうする?」
トマークタスはまるでエルマリアの意志を察したように呟いた。
「娘が…そう言ったら考えます」
「ふ…お前ならば無理やり連れ戻す。アイザック、私の王座はお前にかかっている」
「いきなりなんです?」
「王太子と賭けをしてな。アイザックが見つけるに王座を賭けたのだ」
「そうですか」
「私は死ぬまで最高権力者で周りを転がし遊びたいからな…探し出せ」
アイザックは鼻で笑い頷いた。
「私に情報を渡すことは…」
「あいつは知らん!はは!秘密にしろよ?ズルをしたと言われては困るぞ」
アイザックはリアが死んでから立ち入ることを止めた北の庭に入った。
「旦那様」
「スベン」
強い日差しが苦手なリアのために金をかけても保ち続けた日の当たらない庭。
「見つけた金貨は百ほどと聞いた」
「はい。丸い石の下に…袋に入れられて埋まっていました」
「…お前は近くで見ていた」
「はい。金貨があることは知っていました」
「…百…なわけない…千近く贈ったんだ」
「…私の知らない場所でしょうか?」
大きな木の下で揺れる葉を見つめながらアイザックは過去を想う。黙ってしまった主にスベンは過去の出来事を口にする。
「騎士を辞めて…この庭に住むようになり…手入れをしていた日に金貨が落ちてきました」
アイザックは見上げていた視線をスベンに向ける。
「…木の下にいたのか?」
「はい」
「はは…邸からリアと投げた…引っかかれと子供のように…」
「落ちた金貨は戻しました」
「そうか…リアからの給金と受け取ってよかった」
「使い道がありません」
アイザックは再び木を見上げる。
「ふ…木が貯金箱と…リアが…言って…いた」
苦しくなる愛しい思い出が溢れだしアイザックの頬を濡らした。
心から愛し、抑えきれない想いをそのままに愛しい人の嘆きにも耐え閉じ込めた素晴らしい日々はアイザックの宝だった。自由を失くし泣き暮らすリアに生きる意味を与えるために子を孕ませ過ごした過去はいつでもアイザックに温もりと悲しさと絶望を与えた。
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