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フェリシア
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土砂崩れから閉ざされていた道は復旧し、北へ向かう馬車で混雑していた。
「…母さん…ゆっくりだね」
「…そうね…」
同じ馬車に乗り込んだ親子が私を見て囁きあっている。見なくてもわかる…ストールで髪を隠して瞳まで覆っても人の視線を感じてしまうようになった。
フローレンの騎士に連れていかれた宿は高位貴族が泊まるような上等な宿じゃなかった。田舎の下位貴族が使うような狭い部屋に小さな浴槽が端に置かれて日当たりもよくなかった。すべてが侯爵家と違っていた。 質素な部屋で呆然と時間だけが過ぎていって…私の部屋に食事を運ぶ使用人の態度がおかしいことに気づいたのは宿に入れられて何日目だったか…
『噂で聞いた天使のような令嬢が実は裏で人を操って気に入らない相手を…』
『うわ…信じられねぇな…あんなにか弱く見えるのに…女って怖…』
『結局、フローレンの令息はフェリシア様の体に溺れたってことだろ。あそこの絞まりがいいとかさ』
『使用人を唆してシモンズの令嬢を襲わせたってよ』
『ほらな…女は怖いぜ…令息に宝石やドレスを貢がせてたって…女は金のある男がいいんだな』
『でもさ、桃色の髪と青い瞳…可愛らしい令嬢だったよな。俺、次は食事を運ぶわ』
扉の向こうからそんなことが聞こえてきた。
私は扉に耳をつけてなにを言われているのか、どんな噂が広まっているのか、レイは今どうしているのかと毎日盗み聞きをした。
子爵令嬢に起きたことはすべて私の命令だとかレイや使用人に抱かれたとか侯爵夫人の座を得るためにおじ様に媚びて首都で暮らしたとか酷い話を何度も聞いた。
運ばれる食事を受け取るとき使用人がいやらしく指に触れた…あれは偶然じゃないわ…気持ちが悪い…不細工で汚ならしい下人のような使用人にまで馬鹿にされたようで我慢できなくて頭にストールを巻いて宿を飛び出してしまった。
侯爵家がどこにあるのかわからなくて馬車に乗るしかなかった。
暮らしていたフローレン侯爵邸を見て涙が溢れてレイに会いたくて馬車を飛び下りた。ちょうど門のところにいたトラッカーさんに駆け寄って驚いた顔をされてもすがるしかなかった。
『トラッカーさん!お願い…少しでいいの…レイに…』
『…フェリシア様…』
トラッカーさんに腕を掴まれて物陰に連れていかれたときは少し怖かった。
『近づいてはいけない…あなたを恨んでいる使用人が多いのです』
『え…?』
『旦那様はシモンズとの離婚で侯爵家を見直さなければならなくなりました。上級使用人も下級使用人も…下級使用人はフェリシア様に加担したと理由をつけてなにも渡さず解雇です』
私のせいじゃないわ。私を恨むなんて意味がわからないわ。そんなに侯爵家はお金がなかったの?あんなに贈り物をくれたのに信じられなかった。
『ケリーとハンナ…ルイスは?』
『…死にました』
私は耳を疑ったわ。三人とも死んだなんて…でもトラッカーさんの顔は真剣だった…嘘を吐いているように見えなかった。
『フェリシア様、旦那様はランド領地への馬車代と宿代しか渡していないはずですが…ここまでどうやって?』
この時馬車代を使ってしまったから今は平民たちと相乗りになってしまった。
『フェリシア様の宿はあちらです。歩いて戻るのは辛いでしょうが…また馬車を使ってはランドまで辿り着きません』
そんなに心配そうな顔をするなら馬車代くらいくれたらいいと言いそうになったわ。憐れむような顔するなら…トラッカーさんがお金をくれなかったから…宿まで私は…あんなことを聞きながら戻ることになったのよ!
『あれ…フェリシア・ランド…下級使用人に触れさせて…純潔じゃないのよ…穢らわしい…』
『レイモンド侯爵令息に泣きすがっても貧乏男爵家じゃあ相手にされないとわからないのよ。頭が弱いのね…シモンズの令嬢を襲うなんて…第二夫人でいいからと下がれないのかしらね…』
『レイ、レイって茶会で話していたのに…』
『身の程知らず…』
『アンジェル様の話題作りに利用されていたのに』
『何度も聞いたわよね…馬車事故』
見知った貴族令嬢が集まって…わざわざ私に聞こえるように…あんな屈辱!私は侯爵夫人になる…はず…だったのに…う…
「お嬢さん」
「…はい?」
平民から気安く声をかけられるなんて…地味な服とこの馬車のせいよ!
「…涙を拭きなさいな」
平民に憐れまれているわ。でもハンカチは良いものだわ。
「…ありがとう」
柔らかいハンカチで頬を押さえる。繊細な刺繍があるから、平民でも裕福な女かもしれない。子供が三人も…化粧が濃くて体格がいいわね…
「北へ?」
「ランド領地へ行くの」
「まあ、私たちは隣国へ戻りますの。やっと道が通れると…ですがこんなに混んでいるとはね、カ…ぼうや」
「…だね、母ちゃん」
「兄さん…お腹空いた」
子供がこんなにいるならランド領地まで騒がしいのかしら…いやよ…
「待って…はい」
兄さんと呼ばれた子供が香ばしい匂いを放つパンを渡しているのを見て唾液を飲み込む。朝早くに宿の食事を食べてからなにも…夜に着く宿まで我慢しなくちゃならない…お腹を空かせたことなんてないのに!
「お姉さんも食べる?」
欲しい…食べたい…でも平民から施しを受けるなんて…私はどこまで落ちぶれるの?全部…全部…あの女がレイと結婚したせいよ!
「…ありがとう」
「いいよ、お腹の音が聞こえたから」
なんて無神経なの…そんなこと言わなくてもいいじゃない!
思ったより柔らかくて美味しいパンだけど侯爵家のパンのほうが遥かに美味しかったわ…戻りたい…レイ…嘘を吐いてもレイから離れたくなかった…侯爵家に住みたかった…華やかな首都にいたかっただけなの…そうよ…第二夫人でよかった…レイが愛してくれているなら第二夫人だって…でもあの女に惹かれたと言ったわ…信じられない…あんなに愛していると言ったのに!レイが憎いわ!
「フェリシア・ランド様…ですわね?」
体が跳ねてしまう。答えたくないわ…
「街で噂が…容姿が似ていましたから違っていたらごめんなさいね」
「…フェリシア・ランドです」
この親子は隣国へ行くと言っていたわ。なら宿で私の姿を何度も見るもの…ここで嘘を吐いたって…
「あんな噂…全部嘘…シモンズがお金を使って広げたのよ…卑怯なの…」
「まあ、そうでしたの。やっぱり話は本人から聞かないと…噂なんて誇張されていくばかりですもの」
平民でも話の通じる人がいるのね。
「ええ…私には身に覚えのないことばかり」
純潔の証は誤診だし、私はルイスが子爵令嬢の部屋に入るところを見ただけだし…あの女はルイスに襲われたのかしら?ルイスは犯したのかしら…死んでしまっては聞くこともできないわ。
「侯爵家の使用人が子爵令嬢を襲ったんだ…怖かっただろうね…そんな家で暮らしていたなんてさ」
突然子供が話し出して私はうつむいていた顔を少し上げて見る。険しい顔の意味がわからないわ。
「…使用人は優しい人が多かったのよ…子爵令嬢が誘ったらしいわ」
上級使用人はおば様の言いなりで下級使用人は名を覚えて優しく声をかければ皆が私を大切にしたわ。あの大きな下人は子爵令嬢に誘われたに決まってる。あの女こそが純潔ではなかったのに!悔しいわ…
「へぇー本当に噂と違うんだね。侯爵家から解雇された人とも話が違うなぁ」
子供の言葉に驚いてしまう。
「だ…誰と話したの?」
「名前なんて知らないけど食堂で話しているのを聞いたよ。フェリシア様は優しい」
やっぱり…皆はそう言ってくれるのよ!シモンズが噂を…
「でも、変装してまで令息の部屋に入ったって。それも嘘?裸の令息に突撃したって」
トラッカーの言う通り、私に協力した使用人は解雇されたのね…だからってたくさんの人がいる場所で話すの…?だから下級使用人なのよ!質が悪い!
「大袈裟に言っているだけ」
「へぇー、侯爵夫人はお姉さんを許さないって騒いでいるらしいよ」
おば様が?おば様の贅沢のせいなのに?
「おば様は元王女よ。陛下が助けてくれ…」
助けない…陛下は助けないからおば様は怒って周りのせいにしているのね…
「他はなにか知っている?」
子供の顔は険しいまま変わらない。
「…令息は王孫だから政治に使われるかもって。他国まで噂が広がる前に…せっかく綺麗な顔をしているからってさ。本当に綺麗な顔だった?」
「ええ…整った眉に優しい目元…高い鼻に…艶やかな唇…」
レイ…他国へ行くの?政治にって…レイ…
「…母さん…ゆっくりだね」
「…そうね…」
同じ馬車に乗り込んだ親子が私を見て囁きあっている。見なくてもわかる…ストールで髪を隠して瞳まで覆っても人の視線を感じてしまうようになった。
フローレンの騎士に連れていかれた宿は高位貴族が泊まるような上等な宿じゃなかった。田舎の下位貴族が使うような狭い部屋に小さな浴槽が端に置かれて日当たりもよくなかった。すべてが侯爵家と違っていた。 質素な部屋で呆然と時間だけが過ぎていって…私の部屋に食事を運ぶ使用人の態度がおかしいことに気づいたのは宿に入れられて何日目だったか…
『噂で聞いた天使のような令嬢が実は裏で人を操って気に入らない相手を…』
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『結局、フローレンの令息はフェリシア様の体に溺れたってことだろ。あそこの絞まりがいいとかさ』
『使用人を唆してシモンズの令嬢を襲わせたってよ』
『ほらな…女は怖いぜ…令息に宝石やドレスを貢がせてたって…女は金のある男がいいんだな』
『でもさ、桃色の髪と青い瞳…可愛らしい令嬢だったよな。俺、次は食事を運ぶわ』
扉の向こうからそんなことが聞こえてきた。
私は扉に耳をつけてなにを言われているのか、どんな噂が広まっているのか、レイは今どうしているのかと毎日盗み聞きをした。
子爵令嬢に起きたことはすべて私の命令だとかレイや使用人に抱かれたとか侯爵夫人の座を得るためにおじ様に媚びて首都で暮らしたとか酷い話を何度も聞いた。
運ばれる食事を受け取るとき使用人がいやらしく指に触れた…あれは偶然じゃないわ…気持ちが悪い…不細工で汚ならしい下人のような使用人にまで馬鹿にされたようで我慢できなくて頭にストールを巻いて宿を飛び出してしまった。
侯爵家がどこにあるのかわからなくて馬車に乗るしかなかった。
暮らしていたフローレン侯爵邸を見て涙が溢れてレイに会いたくて馬車を飛び下りた。ちょうど門のところにいたトラッカーさんに駆け寄って驚いた顔をされてもすがるしかなかった。
『トラッカーさん!お願い…少しでいいの…レイに…』
『…フェリシア様…』
トラッカーさんに腕を掴まれて物陰に連れていかれたときは少し怖かった。
『近づいてはいけない…あなたを恨んでいる使用人が多いのです』
『え…?』
『旦那様はシモンズとの離婚で侯爵家を見直さなければならなくなりました。上級使用人も下級使用人も…下級使用人はフェリシア様に加担したと理由をつけてなにも渡さず解雇です』
私のせいじゃないわ。私を恨むなんて意味がわからないわ。そんなに侯爵家はお金がなかったの?あんなに贈り物をくれたのに信じられなかった。
『ケリーとハンナ…ルイスは?』
『…死にました』
私は耳を疑ったわ。三人とも死んだなんて…でもトラッカーさんの顔は真剣だった…嘘を吐いているように見えなかった。
『フェリシア様、旦那様はランド領地への馬車代と宿代しか渡していないはずですが…ここまでどうやって?』
この時馬車代を使ってしまったから今は平民たちと相乗りになってしまった。
『フェリシア様の宿はあちらです。歩いて戻るのは辛いでしょうが…また馬車を使ってはランドまで辿り着きません』
そんなに心配そうな顔をするなら馬車代くらいくれたらいいと言いそうになったわ。憐れむような顔するなら…トラッカーさんがお金をくれなかったから…宿まで私は…あんなことを聞きながら戻ることになったのよ!
『あれ…フェリシア・ランド…下級使用人に触れさせて…純潔じゃないのよ…穢らわしい…』
『レイモンド侯爵令息に泣きすがっても貧乏男爵家じゃあ相手にされないとわからないのよ。頭が弱いのね…シモンズの令嬢を襲うなんて…第二夫人でいいからと下がれないのかしらね…』
『レイ、レイって茶会で話していたのに…』
『身の程知らず…』
『アンジェル様の話題作りに利用されていたのに』
『何度も聞いたわよね…馬車事故』
見知った貴族令嬢が集まって…わざわざ私に聞こえるように…あんな屈辱!私は侯爵夫人になる…はず…だったのに…う…
「お嬢さん」
「…はい?」
平民から気安く声をかけられるなんて…地味な服とこの馬車のせいよ!
「…涙を拭きなさいな」
平民に憐れまれているわ。でもハンカチは良いものだわ。
「…ありがとう」
柔らかいハンカチで頬を押さえる。繊細な刺繍があるから、平民でも裕福な女かもしれない。子供が三人も…化粧が濃くて体格がいいわね…
「北へ?」
「ランド領地へ行くの」
「まあ、私たちは隣国へ戻りますの。やっと道が通れると…ですがこんなに混んでいるとはね、カ…ぼうや」
「…だね、母ちゃん」
「兄さん…お腹空いた」
子供がこんなにいるならランド領地まで騒がしいのかしら…いやよ…
「待って…はい」
兄さんと呼ばれた子供が香ばしい匂いを放つパンを渡しているのを見て唾液を飲み込む。朝早くに宿の食事を食べてからなにも…夜に着く宿まで我慢しなくちゃならない…お腹を空かせたことなんてないのに!
「お姉さんも食べる?」
欲しい…食べたい…でも平民から施しを受けるなんて…私はどこまで落ちぶれるの?全部…全部…あの女がレイと結婚したせいよ!
「…ありがとう」
「いいよ、お腹の音が聞こえたから」
なんて無神経なの…そんなこと言わなくてもいいじゃない!
思ったより柔らかくて美味しいパンだけど侯爵家のパンのほうが遥かに美味しかったわ…戻りたい…レイ…嘘を吐いてもレイから離れたくなかった…侯爵家に住みたかった…華やかな首都にいたかっただけなの…そうよ…第二夫人でよかった…レイが愛してくれているなら第二夫人だって…でもあの女に惹かれたと言ったわ…信じられない…あんなに愛していると言ったのに!レイが憎いわ!
「フェリシア・ランド様…ですわね?」
体が跳ねてしまう。答えたくないわ…
「街で噂が…容姿が似ていましたから違っていたらごめんなさいね」
「…フェリシア・ランドです」
この親子は隣国へ行くと言っていたわ。なら宿で私の姿を何度も見るもの…ここで嘘を吐いたって…
「あんな噂…全部嘘…シモンズがお金を使って広げたのよ…卑怯なの…」
「まあ、そうでしたの。やっぱり話は本人から聞かないと…噂なんて誇張されていくばかりですもの」
平民でも話の通じる人がいるのね。
「ええ…私には身に覚えのないことばかり」
純潔の証は誤診だし、私はルイスが子爵令嬢の部屋に入るところを見ただけだし…あの女はルイスに襲われたのかしら?ルイスは犯したのかしら…死んでしまっては聞くこともできないわ。
「侯爵家の使用人が子爵令嬢を襲ったんだ…怖かっただろうね…そんな家で暮らしていたなんてさ」
突然子供が話し出して私はうつむいていた顔を少し上げて見る。険しい顔の意味がわからないわ。
「…使用人は優しい人が多かったのよ…子爵令嬢が誘ったらしいわ」
上級使用人はおば様の言いなりで下級使用人は名を覚えて優しく声をかければ皆が私を大切にしたわ。あの大きな下人は子爵令嬢に誘われたに決まってる。あの女こそが純潔ではなかったのに!悔しいわ…
「へぇー本当に噂と違うんだね。侯爵家から解雇された人とも話が違うなぁ」
子供の言葉に驚いてしまう。
「だ…誰と話したの?」
「名前なんて知らないけど食堂で話しているのを聞いたよ。フェリシア様は優しい」
やっぱり…皆はそう言ってくれるのよ!シモンズが噂を…
「でも、変装してまで令息の部屋に入ったって。それも嘘?裸の令息に突撃したって」
トラッカーの言う通り、私に協力した使用人は解雇されたのね…だからってたくさんの人がいる場所で話すの…?だから下級使用人なのよ!質が悪い!
「大袈裟に言っているだけ」
「へぇー、侯爵夫人はお姉さんを許さないって騒いでいるらしいよ」
おば様が?おば様の贅沢のせいなのに?
「おば様は元王女よ。陛下が助けてくれ…」
助けない…陛下は助けないからおば様は怒って周りのせいにしているのね…
「他はなにか知っている?」
子供の顔は険しいまま変わらない。
「…令息は王孫だから政治に使われるかもって。他国まで噂が広がる前に…せっかく綺麗な顔をしているからってさ。本当に綺麗な顔だった?」
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