くるみの木のパン屋さん

雪村みおり

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 くるみおばさんはあわてながら、パンのたなからミックスクリームパン三つとレンゲハチミツパン三つを取り出し、それぞれ別々べつべつのふくろに入れて、口をしっかりととめました。
 それをかごに入れると、

「いってきます! 店をよろしくおねがいします!」

 と、店を飛び出しました。

 お気に入りの赤い自転車じてんしゃに乗ると、さあ、森の南のほうへ出発しゅっぱつ
 
 まずは、ここから近い、くまのアップルさんの家へ。



 しばらく行くと、とちのき村に入りました。

一丁目いっちょうめ十四番地じゅうよんばんち……。ああ、ここだわ!」

 やっと、アップルさんの家を見つけました。
 
 二つのうち一つのふくろを取り出して、アップルさんの家の木のをトントン。
 するとすぐに、アップルさんが顔を出しました。

「少しおそかったですねえ。ああ、パンをどうもありがとう。これ、お金だから……」

 アップルさんはうれしそうにふくろを受け取ると、くるみおばさんにお金をわたしました。

「おそくて、ごめんなさいね」


 くるみおばさんがあやまっているのが、アップルさんには聞こえないようです。
 にこにこしながら、家へ入ってしまいました。
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