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第二章:いざ、5人揃って
第17話:親友からの挑戦
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「しんちゃん。ぐでーってしてどうしたの?」
「お、お嬢っ!?」
文字通りの激闘だった。勝利を収め、椅子の上にぐったりと竜ヶ崎新一にじゃれつくまだ幼ない麗美に、“若い衆”が必死に止めに入る。
「こ、こら! いい加減にせんか麗美っ!」
自他ともに認める親バカの花澤巌男も、疲れ切った新一に構ってもらおうとしながら麻雀牌を珍しそうに弄りまくる娘を、流石に戒めた。
「すまんね新ちゃん。まさかこんな朝早くから起きてくるとは、思わなかったよ…。麗美。目が覚めたのなら学校にいく支度をしなさい」
「ははは、構いませんよ組長さん。何だい? 麗美ちゃんは麻雀に興味あるのかい?」
シャツの第2ボタンまで開け、凝った首をほぐしリラックスする新一。
「んー………。しんちゃんがどうしてもおしえたいっていうなら、きいてあげてもいいよ?」
「お、言うねぇ男殺し」
その日から麗美は関東No.1の裏雀士から、麻雀を教えてもらう日々が始まった。
麻雀のイロハをようやく憶えたところで、契約社員でいう『契約期間満了』という事で、新一が花澤組に代打ちとして再び顔を出す事は無かった。が、小学生にして麻雀にのめり込んだ麗美は、そのまま学生麻雀界を席巻する。
新一から教えてもらった“ブレない気持ち”を武器に連戦連勝、麗美は無名だった久我崎学園を瞬く間に強豪校に押し上げていった。
◇◇◇◇◇
「ちょっとハナちゃん? 何ボーッとしちゃって。疲れてるの?」
幼少期の新一との出会いを思い出していた麗美に、綾乃が声をかける。
「ああ、ごめんごめん。昔を思い出していただけ」
麗美は残った紅茶を、一気に飲み干した。
「いやはや。綾乃のトコの5人目が、新一さんの息子なんて。世の中広いようで狭いね。来週の土曜が楽しみで仕方なくなってきたよ」
そういうと麗美は立ち上がる。
「紅茶ご馳走さま。美味しかったよ」
麗美は迎えに来させるため、スマホで花澤組の“若い衆”に連絡を入れる。ご時世がら極道の娘である事は極力隠している麗美だが、綾乃の前では別だった。
「お粗末様。ハナちゃんにもやる気エネルギーが充満してきたようで、安心したよ」
「何いってんの。私にやる気が無ければ、裏で高レート麻雀なんてやってないって」
麗美は苦笑しながら綾乃に答える。
『もしもしお嬢。マンション前に着きました』
どうやら近くで待機していたようで、麗美のスマホにすぐに若い男の声が飛び込んだ。
「はいはい。ちょっと待ってなさい」
スマホで会話しながら、リビングから集合玄関の監視カメラを覗く。既に若い衆4~5名が、ボルボに乗って待機しているようだ。
「今下に降りるわ。5分待って」
そういうと、麗美はスマホを切る。
「じゃあね、綾乃。今日はここに来て良かったよ。久々に会えたし、面白い話も聞けたし」
「うん。来週の土曜日ね」
綾乃はエレベーターまで麗美を見送る。2人の親友関係は中学を卒業しても消滅した訳ではない。中高一貫校である久我崎に通う麗美は、綾乃とは中学校卒業以来会う機会はめっきり減ったが、おそらく成人しても、今後もそれは変わらないだろう。
「よしっ! お風呂入るかっ!」
麗美を見送った綾乃は、バスタオルや着替えを取りに意気揚々と自室に戻るのだった。
「お、お嬢っ!?」
文字通りの激闘だった。勝利を収め、椅子の上にぐったりと竜ヶ崎新一にじゃれつくまだ幼ない麗美に、“若い衆”が必死に止めに入る。
「こ、こら! いい加減にせんか麗美っ!」
自他ともに認める親バカの花澤巌男も、疲れ切った新一に構ってもらおうとしながら麻雀牌を珍しそうに弄りまくる娘を、流石に戒めた。
「すまんね新ちゃん。まさかこんな朝早くから起きてくるとは、思わなかったよ…。麗美。目が覚めたのなら学校にいく支度をしなさい」
「ははは、構いませんよ組長さん。何だい? 麗美ちゃんは麻雀に興味あるのかい?」
シャツの第2ボタンまで開け、凝った首をほぐしリラックスする新一。
「んー………。しんちゃんがどうしてもおしえたいっていうなら、きいてあげてもいいよ?」
「お、言うねぇ男殺し」
その日から麗美は関東No.1の裏雀士から、麻雀を教えてもらう日々が始まった。
麻雀のイロハをようやく憶えたところで、契約社員でいう『契約期間満了』という事で、新一が花澤組に代打ちとして再び顔を出す事は無かった。が、小学生にして麻雀にのめり込んだ麗美は、そのまま学生麻雀界を席巻する。
新一から教えてもらった“ブレない気持ち”を武器に連戦連勝、麗美は無名だった久我崎学園を瞬く間に強豪校に押し上げていった。
◇◇◇◇◇
「ちょっとハナちゃん? 何ボーッとしちゃって。疲れてるの?」
幼少期の新一との出会いを思い出していた麗美に、綾乃が声をかける。
「ああ、ごめんごめん。昔を思い出していただけ」
麗美は残った紅茶を、一気に飲み干した。
「いやはや。綾乃のトコの5人目が、新一さんの息子なんて。世の中広いようで狭いね。来週の土曜が楽しみで仕方なくなってきたよ」
そういうと麗美は立ち上がる。
「紅茶ご馳走さま。美味しかったよ」
麗美は迎えに来させるため、スマホで花澤組の“若い衆”に連絡を入れる。ご時世がら極道の娘である事は極力隠している麗美だが、綾乃の前では別だった。
「お粗末様。ハナちゃんにもやる気エネルギーが充満してきたようで、安心したよ」
「何いってんの。私にやる気が無ければ、裏で高レート麻雀なんてやってないって」
麗美は苦笑しながら綾乃に答える。
『もしもしお嬢。マンション前に着きました』
どうやら近くで待機していたようで、麗美のスマホにすぐに若い男の声が飛び込んだ。
「はいはい。ちょっと待ってなさい」
スマホで会話しながら、リビングから集合玄関の監視カメラを覗く。既に若い衆4~5名が、ボルボに乗って待機しているようだ。
「今下に降りるわ。5分待って」
そういうと、麗美はスマホを切る。
「じゃあね、綾乃。今日はここに来て良かったよ。久々に会えたし、面白い話も聞けたし」
「うん。来週の土曜日ね」
綾乃はエレベーターまで麗美を見送る。2人の親友関係は中学を卒業しても消滅した訳ではない。中高一貫校である久我崎に通う麗美は、綾乃とは中学校卒業以来会う機会はめっきり減ったが、おそらく成人しても、今後もそれは変わらないだろう。
「よしっ! お風呂入るかっ!」
麗美を見送った綾乃は、バスタオルや着替えを取りに意気揚々と自室に戻るのだった。
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