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翼をください
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片山くんのメガネ姿に萌え~ってなるのはどうやらあたしだけのようで、嬉しいことにみんなの視線が前ほど気にならなくなった。
それに加えて弁当仲間が一人増えた。女の子だ。
「あたし、ウィンナーとさつま揚げが死ぬほど好きなの。毎日入れてって頼んだんだ」
見事な茶色弁当…。いくら好きでも毎日それって。
「野菜入れてもらったら。ブロッコリーとか」
ある時見かねて言ってみた。
「あたし野菜大っ嫌いなんだ」
「めちゃくちゃ偏ってない? せめてフルーツ食べれば」
知多さんていう子。目つきがきっとしていて黒いギザギザ髪。
さつま揚げって魚のすり身を揚げたもの。
確かに美味しいけどうちのお母さんは弁当に入れないなあ。
色が茶色くなっちゃうからって…。
家でもあんまり食べない。
はんぺんやちくわぶの方が出番があるくらい。
せめてかまぼこにするとか……。
「うん……」
頷いていたけどその後も茶色弁当は変わることはなかった。
「お母さん野菜多めにしてくれる? あと果物も食べたいな」
「まあ、真琴くんリクエスト?」
「う、うん、あのその、一緒にリンゴとか食べたいなって……」
「わかったわ。任せて」
うちのお母さんに言った方が早い。お任せしまーす。
次の日用意されてたのは丸いタッパーがいくつも積み重ねてある、椀子そばを食べる時の器くらいの大きさだ。お母さん考えたな。
「これみんなでつつこうよ」
昼休みあたしはそれを真ん中に広げた。
お花畑、顔つきウインナー、相変わらずすごいけどキャラ弁度は分散されてるわ。ご飯の器は二つ。お肉と惣菜と果物の入れ物に分かれてる。「ほら、食べて」
「うん……」
彼女は遠慮してたけど、うさぎりんごに箸を伸ばした。
「ん、美味しい」
よかったー。
「ねえ、遠慮せず食べてよ。うちのお母さん、作りすぎなんだ」
「ありがとう」
お母さんも喜ぶわ。
照れ臭そうに、知多さんの目つきが少し緩んだ。
「いくら好きでも毎日加工品はきついよ。塩分とか意外と多いし」
お母さんの受け売りだ。
「好きなのはホントだよ。でもお母さん忙しいし、弁当あたしだけだし」
知多さん、いくら好物でも教室で食べるの気が引けたのかな……。
屋上で一人で食べてて声をかけたんだけど。
「弁当作ってもらうのも食べるのも気をつかって・・」ボソッと。「でも、助かったー、ありがとう」
ウンウン、あたしもよかった。基本女2男2になったことでますます注目されることを逃れたのだ。
ところで毎日の弁当写メを片山くんのお母さんに送るのも続いていて、結構な数たまっただろう頃、片山くんが言った。
「あのさ、親が挨拶したいって言ってるんだけど。いつも弁当食べさせてもらって、その、何かお礼がしたいって」
それに加えて弁当仲間が一人増えた。女の子だ。
「あたし、ウィンナーとさつま揚げが死ぬほど好きなの。毎日入れてって頼んだんだ」
見事な茶色弁当…。いくら好きでも毎日それって。
「野菜入れてもらったら。ブロッコリーとか」
ある時見かねて言ってみた。
「あたし野菜大っ嫌いなんだ」
「めちゃくちゃ偏ってない? せめてフルーツ食べれば」
知多さんていう子。目つきがきっとしていて黒いギザギザ髪。
さつま揚げって魚のすり身を揚げたもの。
確かに美味しいけどうちのお母さんは弁当に入れないなあ。
色が茶色くなっちゃうからって…。
家でもあんまり食べない。
はんぺんやちくわぶの方が出番があるくらい。
せめてかまぼこにするとか……。
「うん……」
頷いていたけどその後も茶色弁当は変わることはなかった。
「お母さん野菜多めにしてくれる? あと果物も食べたいな」
「まあ、真琴くんリクエスト?」
「う、うん、あのその、一緒にリンゴとか食べたいなって……」
「わかったわ。任せて」
うちのお母さんに言った方が早い。お任せしまーす。
次の日用意されてたのは丸いタッパーがいくつも積み重ねてある、椀子そばを食べる時の器くらいの大きさだ。お母さん考えたな。
「これみんなでつつこうよ」
昼休みあたしはそれを真ん中に広げた。
お花畑、顔つきウインナー、相変わらずすごいけどキャラ弁度は分散されてるわ。ご飯の器は二つ。お肉と惣菜と果物の入れ物に分かれてる。「ほら、食べて」
「うん……」
彼女は遠慮してたけど、うさぎりんごに箸を伸ばした。
「ん、美味しい」
よかったー。
「ねえ、遠慮せず食べてよ。うちのお母さん、作りすぎなんだ」
「ありがとう」
お母さんも喜ぶわ。
照れ臭そうに、知多さんの目つきが少し緩んだ。
「いくら好きでも毎日加工品はきついよ。塩分とか意外と多いし」
お母さんの受け売りだ。
「好きなのはホントだよ。でもお母さん忙しいし、弁当あたしだけだし」
知多さん、いくら好物でも教室で食べるの気が引けたのかな……。
屋上で一人で食べてて声をかけたんだけど。
「弁当作ってもらうのも食べるのも気をつかって・・」ボソッと。「でも、助かったー、ありがとう」
ウンウン、あたしもよかった。基本女2男2になったことでますます注目されることを逃れたのだ。
ところで毎日の弁当写メを片山くんのお母さんに送るのも続いていて、結構な数たまっただろう頃、片山くんが言った。
「あのさ、親が挨拶したいって言ってるんだけど。いつも弁当食べさせてもらって、その、何かお礼がしたいって」
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