1/4の奇跡👓

シナモン

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翼をください

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「いらっしゃ~い!」

 約束の日、満面の笑みで迎えられた。
 オートロックの高そうなマンション。
 ドアを開けた瞬間、あのときのデパコスの匂いがぶあ~って。
 ああ、素敵・・・。

「きゃあ~、翼ちゃん? やだー、かわいい、思った通り」

 声が通る。
 お母さんこそ・・・きれいすぎ。テレビと同じ。
 こんなきれいな人がお母さん・・・片山君を見れば想像つくけど、やっぱ実際見るとすごい。

「・・何度も(画像で)見てんだろうが・・。早く上げろや」駅まで迎えに来てくれた片山くんが隣でぼやく。
「そうね、真琴、どうぞ、入って」

 案内された玄関フロアは床ピカピカで塵一つ落ちてなくて、廊下もひっろ~い。薄いベージュのスリッパを出されて恐る恐る足を入れる。

「いつも真琴がお世話になってます。お母さんもいつもすみませんね、大変でしょう、お弁当作りなんて」
「いえいえ、こちらこそ助かります」

 お母さんのキャラ弁攻撃が少しでも分散してくれて。

「さあ、どうぞ」

 広ーいリビングダイニングの、ダイニングテーブルに着かされる。片山くん、隣に着席。今さらドキドキし出す。
 お母さんは一時退散して、奥の冷蔵庫から大きな皿を取り出した。

「さあ、食べて、食べて。言っとくけど、私の手作りじゃないわよ」
「見たらわかるわ」

 片山くんが茶々入れたそれは、見るからに高そうなお寿司だった。
 これまた高そうなお皿にきれいに整列して。ジュースと、お茶と、グラスが足つきでおしゃれ。おしゃれな雑貨のお店に並んでそう。
 部屋の空気からして違う。よそいきの匂いだ。

「やぁだぁ~、本当に思った通りじゃない。○△□♡…にそっくり!」

 お母さんは向かい側に座って、うちのお母さんが前言ってたミュージシャンの名前を口にした。

「ああ、それ、母にも言われました」
「でしょ~? もしかして・・・お母さまも彼女のファン?」
「はい。そう言ってました」
「まあ、ホント? うれしいぃ、いつかお会いしたいわ!!」

 ずっとテンション高いままで、いつの間にか瞳がウルウルしてる。

「母さん、泣くと化粧が崩れるよ」

 片山くん、顔をしかめる。

「大丈夫よ、今日はほぼ眉しかいじってないから」

 ・・・・! えっ、それって、ほぼ素顔!?
 すごーい。お母さんとほぼ同年代だよね!?
 透き通る肌、唇もうっすらピンク色。
 目もパッチリ。アイラインなしでそれ?
 嘘でしょーーー。

「そうは言ってもねえ。トシなんだからさ、ハメ外さないよう気をつけろよ」
「ハイハイ」

 ・・・これが母と息子の会話かぁ。シンママだからか、片山くん、なんだか息子というよりプチ旦那みたい。

「ぷふっ・・・」

 これが胸に刺さり、あたしは吹き出しそうになった。
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