会長にコーヒーを☕

シナモン

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5話 天敵とモール

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「モールの計画うまくいくといいですね」

皆さんがお帰りになった後、皿を片しながら私は言った。後半はすっかりくつろいで、柚木さんはハニーシロップを手に嬉しそうに帰っていった。

「君たちはまあ他社の話を延々と…。楽しそうに喋るんだね。結構なことだ」

冷ややかな言葉が返ってくる。会長の机のカップをトレイにのせたところだった。
ギクギクーー。そうだった! 思い切り他社じゃありませんか! イ◯ンイ◯ンて…

「それだけ我が社が遅れをとっているわけだな。全くノーマークだったからね」呆れ顔で会長は深くため息をおつきになる。

「いやあのその」田舎はソレしかないのですよ。あの人たちもそうだったわけで。そりゃ盛り上がるってばよー。

「それだけ浸透しきっている所に新規参入か。どうだろうねえ。若い連中はやる気になっているようだが」

「は、はあ」

「君はよく行くのか、モール」

「え? いえ、まあ、田舎に帰ったらしょっ中行きますけど。東京にいる間はあんまり…」

「そうか。……そういえば君の地元は人口二十万前後の都市が点在しているね。どんな感じだろうか、地方の商業施設は」

どんなって言われても。いつ行っても老若男女賑わってますけど? なにせそこしか行くとこないと言っても過言じゃない。主に話題のイ〇ンだが。(笑)

「都会のスーパーとデパートを足して2で割って庶民にも行きやすくした感じですかね。結構混んでますけど。会長はいらっしゃいませんか、モール」

「うーーん、ピンとこなくてね」

「軽井沢でゴルフされる時行かれませんか。ありますよね、大きなショッピングモール」あるのです、有名なアウトレット…。私、大学時代わざわざ行ったな。

「軽井沢? ああ、あれか。行かんな。食事くらいはしたかもしれんが」

くっ、不毛…。ホントに興味ないんだな。声の調子でわかるわ。ゴルフのついでじゃなくても東京に無数にあるのに。行かないって…。どんだけ浮世離れしてんの。

「フードコートとやらが目玉らしいが楽しいのか」

楽しいのかって。その雰囲気を出すために今日もわざわざフードコート風のレイアウトにしたんじゃないのですか? ホントずれてるな。何を考え込んでたんだろう。

「ええ、まあ。そうですね…社員食堂をオシャレにした感じですかねー」ここの社食もかなりオサレだ。

最後テーブルを拭き終えて私はキッチンに向かった。この後業者が回収に来るのよね。しばらくキッチンで作業してようかな。なんて考えながら。

「君たちの話を聞いてると大学の構内が浮かぶのだがね。カジュアルなライブラリーのような空間がいくつもあった。そのような場所で気の合うもの同士話が弾む。よいことだ」

会長は立ち上がりこちらへ来た。振り返った私を囲むようにばあんと手を壁につけ、

「ーー今日は君の行きたい店だったな。予定通り終わりそうだから一緒に行くか」

「は、はい」

????何で今更?念を押す?

ジッと睨まれてドキドキしながら答える私。

そうです。
会食の後は
ご褒美のディナー……お決まりの。
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