会長にコーヒーを☕

シナモン

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9話 残り香

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 数日後、緑川は再び会長室にやってきた。「聞いてきたよ~」ソファに座り、早速話し始める。

「俺の知り合いのライターがさ、何年か前、なんかのミステリー大賞に選ばれた作品に、『こんなニュースの寄せ集めみたいな小説が賞を取るなんて』って悔しがってたんだよ。小説家志望だからね。でね、その小説、ひそかにフィクションじゃないんじゃないかって噂が流れたんだ。題名が 『炎上島の怪』、実際、そんな噂のある島があるんだと。」

「へえ」高広は興味を持った。

「会話がリアルでさ。中は新興宗教の信者の巣窟になってて、若い教祖が女の子はべらせてハーレム化してた。その島は古い時代の忌み地で、廃寺や地下牢があって、ホラー展開になっていくんだが…どっかの掲示板で、誰かが、『うちの近くにそんな感じの島がありますけど、もしかしてモデルにされたんですかね』って言いだして…プチ炎上したらしい」


「どこにあるんだ。」会長が訊く。

「さあ。小説の風景描写が事実なら、水平線が見渡せて、朝日も夕陽も遮るものがない場所らしい。島流しの場面もあって、島の船着き場に人を置いていくんだと…」あまりに樫木の話と通じるリアリティに会長は頷くしかない。

「…そいつによれば、そろそろ警察が重い腰を上げるかもしれないってよ。ライターだからな。裏情報も持ってんだよ。ニートや引きこもりをさらって収容所みたいなところに運ぶ闇バイトが問題になってるじゃん」

 それは高広がきいてきた情報とも重なる。

 あとはその実在の島だ。

「千葉…かなあ?」高広は言った。

「それだとあんまり島が多くないから、探せばなんとかいきつくかも。だけどその島、私有地なんだよな。調べようにも上陸はできない。」

「だがそのあとは誰も知らない…」「何があるのか、中がどうなっているのか」緑川は本のキャッチコピーを呟いた。

 樫木が言った言葉と重なる。あの日樫木は憐れむような、遠い目で語った。


「警察の仕事が終わるのを待っておけ、とは、私有地だからか。めんどくせーなー」


 だから衛星か…。高広は不破から仕入れた情報と照らし合わせる。

 見えるのかなあ。でも室内に監禁されてたら?

 元軍事衛星だったらどうかな。業者に当たってみるか。


「だけど、気味が悪いな、新興宗教の教祖だと??」はーれむ…そいつはいただけない。見ていいものとそうでないものがある。

「小説なのでそこはひねってあるかもしれないが」緑川は作品をざっと目を通してみたが、確かに現実とフィクションが混ざってるように思えた。

「ない話じゃないよなあ…」ハーレム、男の夢…ねえ。高広には無縁の感覚だが。


「あいつがそんなところに行きつくかあ? 」…香苗と結びつかない。「だよな。話半分にした方がいいかも。」緑川も頷く。

 もしそんな場所が存在し、そこにいたとして、○接待より世話係やらされてそうだ。料理に掃除に洗濯…そちらのイメージ図ならすぐに浮かぶ。

 色気がないんだよなあ…。
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