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第三話 メイドさんはこれで正解
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目が覚めた。暗い部屋の天井が見える。いや、天井というより、ふわっとした・・・天蓋?なんで天蓋付のベッドに寝ている?昨日私は何をした?確かディアとかいう悪魔と魔王と戦って・・・。いやそれを考えるのは後か。今、何かの罠にかけられていたらまずい。バッと飛び起き外を見ると、煌々とした満月が空に瞬いていた。それを見せている窓は壁のように大きく、ワインレッドのカーテンに縁どられている。全体を見回して目に入るものは、アンティーク調の机、いす、本棚、姿見・・・派手ではないものの重厚感のある家具がいくつか置かれていた。静謐かつ広々としていて、どこかの王室のような部屋だ。ここは一体・・・?
コンコンコン
不意にしたノック音の方を見ると、石造りの壁の端にある木の扉が少しばかり開かれていた。
「メイドマモノのサラとモウします。ハイってもヨロしいですか?」
扉の隙間からくぐもった声が聞こえてくる。少し変わっているが不思議と耳触りがよく可愛らしい声だ。『メイドマモノ』というなんだか聞きなれない言葉に首をかしげつつも、返事を返す。今は情報が足りなすぎるし、敵意も感じなかったので肯定の返事を。
「はい。どうぞ。」
「シツレイします。」
そろり、そろりと扉が開き、毛むくじゃらの足が見えた。一本、二本、三本、四本・・・まだある。五本、六本、七本・・・八本。ぎょろりとした目玉も数えること六つあった。早い話クモ・・・それも人間サイズのタランチュラだ。咄嗟に毒防御を張り壁まで飛んで距離をとる。タランチュラと戦ったことはないが、ビジュアルからなんとなくヤバそうな感じがしたのだ。
「あの。」
タランチュラは困ったような(ほとんど表情は分からないが少なくとも私にはそう見えた)顔で、おずおずと喋り出した。
「あの・・・キズつけたりはしないので、オりてモラってダイジョウブですよ。ケンもおしまいになってイタダいて。」
ほぼ無意識に取り出していた剣を仕舞うか迷いつつその顔(?)を見つめる。
「テンジョウとカベのスキマにイるのもツカれるでしょう?その・・・おイヤだったら、スコしハナれますから。」
すりすりと扉の所まで戻ると、タランチュラはなにやら布の入ったバスケットを置いた。
「キガえです。オきワスれていたからワタしてほしいとのことでした。」
着替え・・・昨日戦ったあの人達から?
「はい。イマのままではよくないだろうと。いくつかハイっていますからおスきなものをキなさってください。・・・ではワタシはこれで。ナニかあったらトビラヨコのヨびリンでおヨびクダさい。」
そして扉をそろそろと閉じる。しかし、閉め切る前に足を一度止め、呟くように付け足した。
「ワタシのミたメがフカイだったら、ベツのメイドにカえてもらってカマいませんよ。ごシュジンサマはキョカしてくださるとオモいますから。」
扉が閉まった。バスケットだけが扉の傍に置かれている。天井と壁の間に張り付いたまま、私はまだ剣を手に持っていた。なんだか胸がもやもやする。いい人・・・否、クモだった。これまでに会ったことが無いくらい、【いい相手】だった。でもだからモヤモヤする?そんなことがあるのか?剣を空間に仕舞い床に降り立ち、音もなく置かれたバスケットの中身を覗く。夢にまで見た色とりどりのおしゃれな洋服が綺麗に畳まれ積まれていた。一つ一つ、凄く丁寧に。一番上にあったアップルグリーンのワンピースを取り出し、腕を通して着替えてみる。サイズも丁度いいものを選んでくれたらしい。鏡の前に立ち、新たな自分の姿を見つめる。お姫様のようではないけれど、それでも初めて自分の姿を肯定できた気がした。嬉しく思いつつも、またあのタランチュラの事を考える。
『おイヤだったら、スコしハナれますから』 『ワタシのミたメがフカイだったら、ベツのメイドにカえてもらってカマいませんよ』
彼女もまた悩んでいたのだろうか。竜の目を持つ私の様に。・・・ちょっとまって。私あの時_
咄嗟に毒防御を張り壁まで飛んで距離を取る
『しっ見ちゃダメ・・・あの竜の目が見えないの?』
ビジュアルからなんとなくヤバそうな感じがした
『化け物だしね。』
違う!私はもしもの時を考えただけだ。だって危ないかもしれないじゃないか。毒のある生き物であることは間違いないはずだし。すぐにいくつもの言い訳が思い浮かんだ。でも、避けるような真似をした態度に言い訳が許されるのか?私はあの人たちに言い訳されたら切り捨てたいだとか思うだろう?理由があれば人を乏していいのかと。私は【いい相手】のことを、見た目で判断したんだ。あの人たちと同じように。息を呑み呼吸を整える。それが私のことを気遣ってくれた相手にする対応かよ。あのクモはただの【タランチュラ】じゃない。綺麗に仕事をしてくれるメイドマモノの【サラ】だ。手に持った服を籠に戻し、勢いよく扉を開けた。
「サラ さん!」
目に入ってきた光に目を細め数度瞬きすると、長い廊下の端に大きなサラが見えた。こちらには背を向け一人でいる。呼んだはいいがそのあとを考えていなかったため変な間が出来てしまった。でも、もっと彼女と関わってみたい。だから息を吸って声を出した。勇気と共に、芯のある声で。
「ごめんなさい、えっと・・・聞きたいことが沢山あるんです。部屋に来ていただけますか?」
少し間が開いて、カサカサと音がした。サラがこちらを振り向く音だった。
「ハイ。ワタシでヨかったら・・・!」
サラは六つの目を細め、今度ははっきりと分かる表情で笑った。
「サラさんは、ずっと前からこの城で働いてるんですか?」
部屋に戻り、ベッドに座りながら他愛無い会話を始める。聞きたいことは山ほどあるがまずは彼女のことをよく知りたかった。
「ずっとってホドじゃないですけど・・・ここゴネンくらいは。マオウジョウはカわったホウがオオいのですがみんなヤサしくていいショクバですよ。」
いい職場・・・そんな気はしてたけどやっぱりここが魔王城なんですね。
「はい。イガイとアカるいでしょう?それと。」
それと?
「ワタシはアナタのメイドですから、ワタシにタイしてケイゴじゃなくてもダイジョウブですよ。あ、もちろんケイゴでもいいんですけど。」
「そ・・・っか。」
今まで敵以外には敬語で話していたから敬語でなくてもというのは不思議な感じだった。でも、同時にちょっと距離が縮まった感じがして温かい響きがある気がした。陳腐な表現にはなるが、家族、とか友達、がする会話、みたいな感じだろうか。
「サラ・・・は、今何歳なんだ?」
「ハタチです。ニンゲンよりスコしタンメイなんですが、でもまだまだワカいですよ。」
「ふうん。」
ここで会話が止まった。これまであまり会話という会話をしてこなかったから、こういう時何を話せばいいのか分からなくなる。魔王のこととか聞きたいことは山ほどあるはずなのだが。少しして、今度はサラから話し始めてくれる。
「そちらのフクにされたんですね。とてもよくニアっています。」
まともな服も着たことが無かったため自分ではよく分からないかったが、褒められるとこれでいいのかと納得してしまう。
「ありがとう。改めてにはなるけど・・・さっきはごめんなさい。」
仕事とはいえあの対応を取った私に今も優しく接してくれているサラを見て本当に生き物を見かけで判断するのは辞めようと感じた。魔王城のことはほとんど分からないが、この場所には色々な見た目の人がいるのかもしれない。警戒は勿論大切だが、上手く関係を構築していくことがこの城では大切なことのような気がした。冷静に考えたら、魔王はいつでも自分の手で私を葬ることが出来るのだ。わざわざ殺せるかも不明確な刺客を向けてくる理由がない。
「いいんですよ。いつものことですから。むしろイマこうしてハナせていることもウレしいんです。」
私もだよ。・・・両方の意味で。
「なにかイいましたか?」
いや、別に・・・。私はこれから何をすればいいんだ?
「マオウサマイワくユウジのサイにはタタカってほしいとのことでした。とりあえずキョウはオナじセントウタントウのカンブをショウカイするからイッカイのダイニングルームにキてほしいとサキほどおっしゃってましたよ。」
分かった。案内を頼んでも?
「もちろんです。おマカせクダさい。」
サラはカサカサと動き扉を開けると、会釈して私を先に通した。
「あの・・・そこまでやってもらわなくても大丈夫だよ?自分でできるから。」
そう言われるとサラは少し困ったように微笑んだ。
「やめてほしいというのならやめますが・・・イチオウこれもシゴトなので。エンリョせずドウドウとなさっていればいいのです。ただ・・・」
そこでサラは一度言葉を止め、ふさふさの身体を少しもじもじさせた。こうやっているのをみると、タランチュラは意外とかわいい。
「『ありがとう』とイっていただけたらウレしいです。それがシゴトのやりがいにツナがりますから。」
なんだそんなこと。そう思ったが、これはサラなりの【価値】の感じ方なのかもしれない。思い返すと、私は生まれてこの方お礼を言われたことがなかった。
「わかった。『ありがとう』。サラ。」
また少しサラが微笑んだ。魔王城はいい所だなと、一端から楽観視して、私たちはダイニングルームに向かった。
コンコンコン
不意にしたノック音の方を見ると、石造りの壁の端にある木の扉が少しばかり開かれていた。
「メイドマモノのサラとモウします。ハイってもヨロしいですか?」
扉の隙間からくぐもった声が聞こえてくる。少し変わっているが不思議と耳触りがよく可愛らしい声だ。『メイドマモノ』というなんだか聞きなれない言葉に首をかしげつつも、返事を返す。今は情報が足りなすぎるし、敵意も感じなかったので肯定の返事を。
「はい。どうぞ。」
「シツレイします。」
そろり、そろりと扉が開き、毛むくじゃらの足が見えた。一本、二本、三本、四本・・・まだある。五本、六本、七本・・・八本。ぎょろりとした目玉も数えること六つあった。早い話クモ・・・それも人間サイズのタランチュラだ。咄嗟に毒防御を張り壁まで飛んで距離をとる。タランチュラと戦ったことはないが、ビジュアルからなんとなくヤバそうな感じがしたのだ。
「あの。」
タランチュラは困ったような(ほとんど表情は分からないが少なくとも私にはそう見えた)顔で、おずおずと喋り出した。
「あの・・・キズつけたりはしないので、オりてモラってダイジョウブですよ。ケンもおしまいになってイタダいて。」
ほぼ無意識に取り出していた剣を仕舞うか迷いつつその顔(?)を見つめる。
「テンジョウとカベのスキマにイるのもツカれるでしょう?その・・・おイヤだったら、スコしハナれますから。」
すりすりと扉の所まで戻ると、タランチュラはなにやら布の入ったバスケットを置いた。
「キガえです。オきワスれていたからワタしてほしいとのことでした。」
着替え・・・昨日戦ったあの人達から?
「はい。イマのままではよくないだろうと。いくつかハイっていますからおスきなものをキなさってください。・・・ではワタシはこれで。ナニかあったらトビラヨコのヨびリンでおヨびクダさい。」
そして扉をそろそろと閉じる。しかし、閉め切る前に足を一度止め、呟くように付け足した。
「ワタシのミたメがフカイだったら、ベツのメイドにカえてもらってカマいませんよ。ごシュジンサマはキョカしてくださるとオモいますから。」
扉が閉まった。バスケットだけが扉の傍に置かれている。天井と壁の間に張り付いたまま、私はまだ剣を手に持っていた。なんだか胸がもやもやする。いい人・・・否、クモだった。これまでに会ったことが無いくらい、【いい相手】だった。でもだからモヤモヤする?そんなことがあるのか?剣を空間に仕舞い床に降り立ち、音もなく置かれたバスケットの中身を覗く。夢にまで見た色とりどりのおしゃれな洋服が綺麗に畳まれ積まれていた。一つ一つ、凄く丁寧に。一番上にあったアップルグリーンのワンピースを取り出し、腕を通して着替えてみる。サイズも丁度いいものを選んでくれたらしい。鏡の前に立ち、新たな自分の姿を見つめる。お姫様のようではないけれど、それでも初めて自分の姿を肯定できた気がした。嬉しく思いつつも、またあのタランチュラの事を考える。
『おイヤだったら、スコしハナれますから』 『ワタシのミたメがフカイだったら、ベツのメイドにカえてもらってカマいませんよ』
彼女もまた悩んでいたのだろうか。竜の目を持つ私の様に。・・・ちょっとまって。私あの時_
咄嗟に毒防御を張り壁まで飛んで距離を取る
『しっ見ちゃダメ・・・あの竜の目が見えないの?』
ビジュアルからなんとなくヤバそうな感じがした
『化け物だしね。』
違う!私はもしもの時を考えただけだ。だって危ないかもしれないじゃないか。毒のある生き物であることは間違いないはずだし。すぐにいくつもの言い訳が思い浮かんだ。でも、避けるような真似をした態度に言い訳が許されるのか?私はあの人たちに言い訳されたら切り捨てたいだとか思うだろう?理由があれば人を乏していいのかと。私は【いい相手】のことを、見た目で判断したんだ。あの人たちと同じように。息を呑み呼吸を整える。それが私のことを気遣ってくれた相手にする対応かよ。あのクモはただの【タランチュラ】じゃない。綺麗に仕事をしてくれるメイドマモノの【サラ】だ。手に持った服を籠に戻し、勢いよく扉を開けた。
「サラ さん!」
目に入ってきた光に目を細め数度瞬きすると、長い廊下の端に大きなサラが見えた。こちらには背を向け一人でいる。呼んだはいいがそのあとを考えていなかったため変な間が出来てしまった。でも、もっと彼女と関わってみたい。だから息を吸って声を出した。勇気と共に、芯のある声で。
「ごめんなさい、えっと・・・聞きたいことが沢山あるんです。部屋に来ていただけますか?」
少し間が開いて、カサカサと音がした。サラがこちらを振り向く音だった。
「ハイ。ワタシでヨかったら・・・!」
サラは六つの目を細め、今度ははっきりと分かる表情で笑った。
「サラさんは、ずっと前からこの城で働いてるんですか?」
部屋に戻り、ベッドに座りながら他愛無い会話を始める。聞きたいことは山ほどあるがまずは彼女のことをよく知りたかった。
「ずっとってホドじゃないですけど・・・ここゴネンくらいは。マオウジョウはカわったホウがオオいのですがみんなヤサしくていいショクバですよ。」
いい職場・・・そんな気はしてたけどやっぱりここが魔王城なんですね。
「はい。イガイとアカるいでしょう?それと。」
それと?
「ワタシはアナタのメイドですから、ワタシにタイしてケイゴじゃなくてもダイジョウブですよ。あ、もちろんケイゴでもいいんですけど。」
「そ・・・っか。」
今まで敵以外には敬語で話していたから敬語でなくてもというのは不思議な感じだった。でも、同時にちょっと距離が縮まった感じがして温かい響きがある気がした。陳腐な表現にはなるが、家族、とか友達、がする会話、みたいな感じだろうか。
「サラ・・・は、今何歳なんだ?」
「ハタチです。ニンゲンよりスコしタンメイなんですが、でもまだまだワカいですよ。」
「ふうん。」
ここで会話が止まった。これまであまり会話という会話をしてこなかったから、こういう時何を話せばいいのか分からなくなる。魔王のこととか聞きたいことは山ほどあるはずなのだが。少しして、今度はサラから話し始めてくれる。
「そちらのフクにされたんですね。とてもよくニアっています。」
まともな服も着たことが無かったため自分ではよく分からないかったが、褒められるとこれでいいのかと納得してしまう。
「ありがとう。改めてにはなるけど・・・さっきはごめんなさい。」
仕事とはいえあの対応を取った私に今も優しく接してくれているサラを見て本当に生き物を見かけで判断するのは辞めようと感じた。魔王城のことはほとんど分からないが、この場所には色々な見た目の人がいるのかもしれない。警戒は勿論大切だが、上手く関係を構築していくことがこの城では大切なことのような気がした。冷静に考えたら、魔王はいつでも自分の手で私を葬ることが出来るのだ。わざわざ殺せるかも不明確な刺客を向けてくる理由がない。
「いいんですよ。いつものことですから。むしろイマこうしてハナせていることもウレしいんです。」
私もだよ。・・・両方の意味で。
「なにかイいましたか?」
いや、別に・・・。私はこれから何をすればいいんだ?
「マオウサマイワくユウジのサイにはタタカってほしいとのことでした。とりあえずキョウはオナじセントウタントウのカンブをショウカイするからイッカイのダイニングルームにキてほしいとサキほどおっしゃってましたよ。」
分かった。案内を頼んでも?
「もちろんです。おマカせクダさい。」
サラはカサカサと動き扉を開けると、会釈して私を先に通した。
「あの・・・そこまでやってもらわなくても大丈夫だよ?自分でできるから。」
そう言われるとサラは少し困ったように微笑んだ。
「やめてほしいというのならやめますが・・・イチオウこれもシゴトなので。エンリョせずドウドウとなさっていればいいのです。ただ・・・」
そこでサラは一度言葉を止め、ふさふさの身体を少しもじもじさせた。こうやっているのをみると、タランチュラは意外とかわいい。
「『ありがとう』とイっていただけたらウレしいです。それがシゴトのやりがいにツナがりますから。」
なんだそんなこと。そう思ったが、これはサラなりの【価値】の感じ方なのかもしれない。思い返すと、私は生まれてこの方お礼を言われたことがなかった。
「わかった。『ありがとう』。サラ。」
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