ハイエルフの幼女は異世界をまったりと過ごしていく ~それを助ける過保護な転移者~

まぁ

文字の大きさ
7 / 54
1章 異世界トラバース

1章ー7 ママじゃありません。おにいちゃんです。

しおりを挟む
 とりあえず、目の前の傷ついた子を癒すために魔法を使う。もちろん【ARMS】で。自分ならいざ知らず他の人に回復を神気でやろうものなら加減が難しすぎる。失敗したら命の保証もない。

 僕はスマホの画面の【光魔法】をタップする。次に攻撃・補助・防御・回復の項目から回復を選ぶ。
そして、次は魔法の位階を選ぶ、奥義・最上位・上位・中位・下位とあったのでとりあえず最上位を選んだ。いくつか魔法が出てきたので僕は【エクストラヒール】を選ぶ。

 これで終わり? と思ったら次は対象を選択するように指示を出された。対象の選択はカメラで捉えるか、【マップ】スキルと連動するかを設定できるみたいだ。

 とりあえず、連動させておこう。≪連動モード≫をタップすると周辺のマップが表示され、目の前の幼女の存在も確認できた。

 僕が幼女をタップすると”【エクストラヒール】を実行しますか?” とメッセージが表示された。僕はそのまま≪はい≫をタップする。

 すると、スマホの画面に文字が表示されたので、それを読み上げる。

 『暁よ 輝き癒す眩き光の加護よ 傷つき嘆く我が同胞を癒せ エクストラヒール』

 すると目の前の幼女が淡い光に包まれ、その傷がたちまち癒えていく。さっきまでの苦しそうな表情が一転し気持ちよさそうに寝ている。

 起きはしないんだね?

 とりあえず、ここに置いていくのもまずそうだし一緒に宿に連れて戻るか。

 僕は幼女を抱え、宿の自室まで転移する。

 さて、幼女をベッドに横にさせ、考えること数秒。

 って僕はロリではないので、安心してほしい。これは大事なので先に言っておこう。

 僕は【ARMS】で【鑑定】スキルをダウンロードしてこの子に使ってみる。数回ポチポチとタップすると【鑑定】が発動する。

  ”名前:エレナ  種族:ハイエルフ  性別:女  年齢:5歳
 LV:1  HP:203  MP113  
 スキル:なし    加護:精霊女王の加護 
 STR:51  DEF:47 INT:63  MND:67 SPD:43” 

 種族を見た僕は思わず息を吹き出しそうになる。

 ハイエルフ、それは古の時代に神々が精霊をこの世界を創生するために生み出したとき、その手足となる初めの生命としてこの地に生まれた。その能力は現存する4種族(人間・獣人・エルフ・ドワーフ)に比べ高く、寿命も長い。そして、すべての精霊から愛され、強力無比な魔法を自由自在にあつかう。その証拠として彼ら、彼女らは神の使いともいわれた時代がかつて存在したほどだ。

 けれど、今のこの世界では姿を見ることはないと言っても過言ではない。後に生まれた4種族と交わるものが増え血が薄れていき、純粋なハイエルフはいなくなったというのがこの世界の常識。

 もちろん、師匠はそうは言ってなかった。極端に数が少ないとは言われたが。

 「マ、マ。ママ」

 母親の夢でも見ているのだろうか? 僕の【鑑定】に反応したかのように動き出す幼女。寝ぼけながらベッドの上で体を起こす。

 意識が戻ったみたいでよかった。

 眠たそうに両手で目をこすり、あたりをきょろきょろと見渡す。そして、僕と目が合う。

 「ママ?」

 僕は男だけど?

 「ママじゃない?」

 キョトンとした表情で首をかしげる幼女。

 「僕はクロノ、ママじゃないかな。それでお嬢ちゃんは?」

 「エレナ、5歳」

 右手をピーンと上げ答えるエレナ。なんだか心がほんわかするよ。

 「僕は森の中で採取をしてたら、エレナが変な人(?)達に囲まれているのを助けたんだけど、あの人たち知り合いとかじゃないよね」

 「うん、あの人たちわりゅい人なの」

 僕はほっと胸をなでおろす。よかった。もし知り合いだったら僕はエレナの知人を殺したことになる。そして、エレナさんや。あれは人ではないと思うが? ハイエルフの価値観はちょっとわかんないかもしれない。

 「そっかぁ。それでエレナはどうしてあんなところに?」

 「わかんない。ママとパパがわりゅい人たちとケンカしてて、それで危ないってエレナをぽいって・・・・・・」

 エレナの表情がだんだんと暗くなっていくのがわかる。安心していろいろ思い出したら、急に不安になってきたのだろう。

 「うっぐぅ、それで、それで、ぐす」

 あぁ、涙が流れてきちゃったよ。

 「無理に思い出さなくてもいいからね。とりあえず、これからどうしようか? 僕と一緒にいく? もしかしたらお母さんたちに会えるかもよ?」

 子どもを適当にほかるはずはないだろう。放り出したからには見つけ出す手段を持っているはずだから、その悪者たちをやっつけたら両親が迎えにくるはずだ。それまでの間は僕が守ってあげよう。乗り掛かった舟だし、こんな子をほかっておくのは精神衛生上よくない。

 「いぃ、いいのぉ?」

 目をうるうるさせたままそういうエレナ。泣くのを我慢してるんだね、偉いよ。

 「もちろん。それじゃ、今日はゆっくりして明日にでも洋服とか買いに行こうか? その服はずいぶんとボロボロになっちゃってるからね」

 「うん」

 僕はそのあと、エレナと宿の食堂でご飯を食べ、お風呂に入り、お互いのことを話したりした。まぁ、ほとんどがエレナの要領の得ない話を僕が聞くという感じだ。ベッドに横になり、始終夢中で話すエレナはとりあえずは不安から脱することができたみたいだ。

 両親の話を楽しそうにしてくれる。それでも、次第にエレナの頭が右にふら~と。左にふら~と、揺れたと思ったら今度はカクンと下にくずす。

 今日はいろいろあったみたいだし、そうでなくてもまだ子どもだ。そろそろ眠くなる時間だ。 

 「それでね、ママがね、パ・パと・・・・・・」

 話に夢中になったエレナがとうとう夢の世界に誘われる。 

 すぅ~、ぴぃ~、すぅ~。

 寝息を立ててそのまま寝てしまった。僕はエレナを抱きかかえ体勢を整え、毛布をかぶせてあげる。そして寝ているエレナを横に僕も体を楽にして思考に埋もれる。

 僕の目的は【神威】を極めることだ。これはいつでもどこでもできるし、最悪極める必要はないんだよね。それならエレナのために旅をするのもいいかもしれない。なんだかんだいってあのかわいらしい姿に僕は心惹かれてしまっているのだから。

 かわいいは正義だ。

 この世界に来て初めての日に起きた出来事。もしかしたら、師匠もこれを予想して? さすがにそれは深読みしすぎか。まさか僕があそこに行くことなんて予想できないだろうし。

 それでも、知らない世界、知り合いもいない世界で、さそっくかわいらしい仲間ができたのだ。

 これから、楽しい旅になるといいな。

 そう思い、僕も夢の世界に誘われる。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪
ファンタジー
ある日、バイト帰りに熱血アニソンを熱唱しながら赤信号を渡り、案の定あっけなくダンプに轢かれて死んだ 『壽命 懸(じゅみょう かける)』 しかし例によって、彼の求める異世界への扉を開くことになる。 だが、女神アウロラの陰謀(という名の嫌がらせ)により、異端な「回復魔王」となって……。 異世界ペンデュース。そこで彼を待ち受ける運命とは?

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

俺、何しに異世界に来たんだっけ?

右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」 主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。 気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。 「あなたに、お願いがあります。どうか…」 そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。 「やべ…失敗した。」 女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

処理中です...