ハイエルフの幼女は異世界をまったりと過ごしていく ~それを助ける過保護な転移者~

まぁ

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1章 異世界トラバース

1章ー18 幼女は支援する

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 アークデーモンとの膠着状態が続く。

 僕とエレナの魔法は有益なダメージソースにはならず、ヤマトの攻撃も決定打には程遠い。

 「この程度の力なのか、それではさっさと贄を集めてくるか」

 「まて、デーモン野郎。しょうがねー、俺のとっておきを見せてやるぜ」

 膠着状態の中、先ほどから小声でヤマトが俺に指示や確認を何度もしてきた。どうやら奥の手があると。そして可能であれば手を貸してほしいとも。

 そして、僕たちは見事期待に応えることができるらしい。

 『我が魔力よ 集いて力となれ、ATKブースト 』
 『暁よ 輝き癒す眩き光の加護よ 傷つき嘆く我が同胞を見守りたまへ リジェネ』
 『だぼぉ~』

 ヤマトの奥の手その1はどうやら魔法でATKを上げるもののようだ。

 僕は念のために継続回復のリジェネを。ブースト系の魔法は自身の体に多少のダメージを受けるらしい。

 そして、ハイエルフ固有のものなのかわからないけれど、ブースト系の上昇値を2倍にする【だぼぉ~】(たぶん)。

 「穿て 聖剣エクスカリバー」

 ヤマトが再び呪文(?)を唱えると今度は剣の形が変わり、先ほどよりも鋭さが増したように見える。そして、一足で最大まで加速し、全体重を乗せアークデーモンを突き殺さんと突進する。

 ヤマトの最大のスピードを避けるのは難しかったのか、アークデーモンはその右手で剣を受け止める。がしかし、補助魔法の利いた全身全霊の攻撃、それにその補助魔法の効果をさらに高める【だぼぉ~】つきである。

 今回は先ほどと違いエクスカリバーはやつの腕で阻まれることなく、その強固な防御を貫きやつの胸までエクスカリバーが届く。

 が、まだ足りない。体にまとった結界が強力なのか、素のステータスの問題なのかはわからないが、もう一歩たりなかった。

 僕はエレナに別の補助魔法をかけるように伝える。

 いや、それよりも早くにヤマトの声が轟く。

 「アクセルゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」

 先の攻撃でアークデーモンの防御を崩し決定打まであと少しで再び両者の攻撃と防御が拮抗した。

 膠着状態は打破できた。けれど、奴を倒すにはもう一歩必要だ。

 僕は彼一人ではその一歩にとどかないと思ったが、そんなことお構いなしにヤマトは再び吠えた。

 結果、拮抗していた二人の攻撃と防御のバランスが崩れ、勝利の女神がヤマトに微笑んだ。エクスカリバーはアークデーモンの胸を貫き、そのまま剣ごと地面へと2人は落下、加速し奴を地面へとエクスカリバーが縫い付ける。
  
 「ぐはぁ、まさか我がこんなところで・・・・・・」

 あれだけ強敵だと思ったアークデーモンもエクスカリバーに体力をどんどん奪われ最後には魔石を残し消えてしまった。

 あっけない、な。とふと思ってしまった。

 「サンキューな、助かったよ。俺だけだったらもっと危なかった」

 「いえ、あまりお役に立てたと思いませんが」

 「そんなことない、補助魔法がなければ正直もっと手こずっていたはずだ」

 勝てなかったとは言わない。さすがこの国最強の冒険者だ。

 「そうおっしゃるのならそうかもしれませんね。と、僕たちはこれで」

 さっさと帰ろうとした僕たちをヤマトは止める。いったいこれ以上なにがあるっていうのだ。

 「ちょっと待った。お礼がしたいから、あとでギルドにきてくれ。悪い話じゃない、聞くだけでもいいから」

 どちらにせよギルドにはいくつもりなので、僕は了解しましたと伝えこの場を去る。

 今回のデーモン騒ぎ、幸か不幸か死人はいなかった。やつの魔力に充てられて気分を悪くしたり精神的にやつれてしまった人たちはいたが人的被害もほぼ皆無。さらに戦場がほぼ空中だったこともあり建物などへの被害も軽微なものに収まっている。

 いまだに若干の混乱は見られるも、いたるところに日常生活の風景が戻っている。

 現代の地球ならあんな騒ぎになればいろいろな機関がマヒに陥り、数億円とかの被害総額が出ると思うが、この異世界ではそこまで気にする人は皆無みたいだ、少なくても今の僕の周りにいる冒険者や市井の人たちの間では。

 日が落ち夜も更けた頃、僕は1人でギルドへと向かう。今回のことの顛末を聞くためとヤマトとの約束があるからね。エレナは宿ですでにぐっすりとお休みだ。今日はいろいろあって疲れただろう。いや、お子様だからか?

 「よう、おそかったな」

 「ヤマト様、すみませんおそくなってしまって。いろいろと心の整理をしていたらこんな時間に」

 嘘は言っていない。僕はあの戦闘のあと、自分たちのLVを確認してスキルも見直しておいたのだ。

 「まぁ、あんな奴の相手したわけだしな、気にするな。それで、礼のことだが―」

 「それは俺の方から説明しよう、その方が早いだろう」

 ヤマトの言葉を遮りゴンザさんが話し始めてしまう。ヤマトは少し不服そうだけど、いいのかな。

 「クロノには今回の件で2つの褒章が与えられる。まず一つめは今日からBランクの冒険者を名乗れ。先の戦いだけど本当にそこまでの力があるかなんて正直俺には判断できん。が、あんな物騒なやつ相手に躊躇なく乗り込んで無事に帰って来たんだ、おまけにヤマトの助けにもなったと聞いた。これなら俺の一存で譲渡可能なBランクならなんの問題もない。俺の期待を裏切るんじゃねーぞ」

 僕は何とも微妙な表情で言葉を返す。

 「ありがとうございます。身に余る光栄ですが、精一杯がんばります」

 がははと笑いながら僕の背中を叩くゴンザさん。

 痛いよ、もっとやさしく叩いてくださいね。もとSランクの冒険者さん!?

 「それと、もう一つ。これはヤマトが断ったからという流れだから不快に思ったらすまんがお前さんに騎士の称号を授けよう。これはここの領主である公爵様からの褒美だ」

 この世界にも貴族がいる。王様を筆頭に公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵・準男爵と6爵位あるのだが、騎士というのは貴族ではなく、何かしら武勲や功績を残した平民に一代限り与えられる称号であり、貴族のように報酬があるわけではなく、名誉のみのものだ。

 しかし、この称号を持っているものは準男爵と同等に扱われる権利がある。僕はメリットとデメリットいろいろ考え結論をだしゴンザさんへと返事をする。

 「問題なければこの短剣を受け取り魔力を流せ。奪われれば騎士の称号もはく奪されてしまうんだ大切にしろよ」

 僕は結局、騎士の称号を受けることにした。報酬もないが義務もない。名前が登録されたりすることもなくただこの騎士の証の短剣を携えていればいいと。それだけならデメリットはなにもないはずだ。ハイエルフのことを調べるにしてもこの身分は助けになるもなるだろうし。

 「そういえばヤマト様はなんでこの報酬を断ったんですか?」

 「あぁ、俺にはもっとでっかい夢があるからな。他の国のお姫様ともお近づきになりたいから変に爵位を持つとやっかいなんだよ。ぶっちゃけもう王様とかとは気軽に話せるポジションだし」

 なるほどね、どうやらこの国の上層部はヤマトをこの国に縛り付けたいけど、ヤマトはそれを望んでないと。今回もあわよくばと思ったが見事断られて僕にそのおこぼれがきたわけだ。

 「ちなみにヤマト様はなにを掲示されたんですか? まさか騎士とかではないですよね?」

 「うーん、王様?」

 えっ。

 「そのままの意味じゃないぞ。現王様の一人娘の王女様との結婚を認めるって言われたんだよ。あいつとは仲良くさせてもらってるけど、国がついてくるとなると考えるよな?」

 僕に聞かないでほしい、このラノベ野郎。

 この後ヤマトやゴンザさんと飲みながらいろいろと情報を教えてもらった。特に役立ったのは迷宮とハイエルフの昔話だ。
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