転生幼女は魔王様のペットになります

睦月

文字の大きさ
16 / 28

護衛がつきます4

しおりを挟む
「遅かったな。」
「ごめんなさい。」
「どこまで行っていた。」
「厨房まで。」
「料理人か。」
「うん。」
「何か収穫はあったのか?」
「私が魔法を使えないのは私がまだ幼女だからかもしれない事と、オネエの精神攻撃は魔法よりすごいって事。」
「楽しかったようだな。」
「うん!」

私はご機嫌でレオの膝によじ登った。レオの膝に座るのも慣れたものよ。私はすぐにベスポジを見つけると、レオの硬いお腹に寄り掛かった。
遠出したから疲れたな。どれどれ、昼食の時間まで少しお昼寝でもするか。

「リナ様。」

うとうとしている私を起こすようにサムエルが声をかけた。

「…なあに?」
「少しは歩かれましたか?人間の生態を少し調べましたが、健康を保つためにはバランスの良い食事と適度な運動が必要なようですね。」
「そうだねー。」
「それで、歩かれましたか?厨房までは距離がありましたから、ご自分で歩かれたのであればさぞかし疲れたことでしょう。」
「…抱っこしてもらってました。」

そうだよね、少し前までは当たり前のように歩いていた筈なのに、気がついたら全然自分で歩いてないや。確かに子供ってすぐ退化しちゃうし、このままだと筋力が落ちて本当に歩けなくなるかも。

「ミーア、あなたもあまり甘やかさず歩かせてください。」
「はい、申し訳ありませんでした。」
「ごめんなさい。」

しゅんとする私の頭頂部を見ながらレオが口を開いた。

「健康を害するとどうなるんだ。」
「体力がなくなり、病気に罹りやすくなったりします。」
「病気に罹るとどうなるんだ。」
「発熱、倦怠感、食欲減退などの症状が出て、最悪の場合死に至ります。」
「ふむ…」

ちょと待って。この言い方だと、まるでレオは今まで病気に罹った事がないみたいじゃない。

「レオは病気した事ないの?」
「魔族は病気になど罹らん。」
「良いなあ。」
「お前はあるのか。」
「うん。風邪くらいしかないけど…熱が出て、でも誰も看病してくれる人がいなかったから自分でご飯準備したり…大変だった。」
「ふむ…リナ、今から俺以外の者に抱きかかえられることを禁じる。自分で歩け。」
「はーい。」

ま、そりゃそうなるか。私は素直に頷いた。

「サムエル、大陸一の医者を呼び寄せ城に住まわせろ。」
「かしこまりました。」

いや、そこまでしてもらわなくてもいいんだけど。だってまだ風邪すら引いてないし。一日全裸だった日もあるのにまだ一度も体調を崩してない。この身体頑丈じゃない?勇者だからなの?今度ケンジさんに風邪引いたことあるか聞いてみよう。

それより今のやりとりですっかり目が覚めてしまった。昼まで暇だな。レオの仕事の邪魔するのも悪いし、大人しくしてなきゃ…ぐう。


ーーーーーーーーー


「…ナ、リナ。起きろ。」
「むにゃ…」
「餌の時間だぞ、起きろ。」
「ふぁい…」

寝ちゃった。目が覚めたとか言ってすぐ寝ちゃったよ。子供ってこんなに寝るものなの?それともこの身体がロングスリーパーなだけ?
お腹に手を当ててみると、キュルルと鳴った。こんなに寝てばかりでも、腹は減る。

「お待たせいたしました。」

ミーアが持ってきてくれたご飯は、今までとは違っていた。小さく切られた野菜がたっぷり入ったミネストローネに、千切りキャベツのミニサラダ。ドレッシングはすり下ろし人参?大皿にはハンバーグ、エビフライ、チキンライス。そして丸いチキンライスの頂上には、手作りの小さな旗。
お子さまランチ。まごう事なきお子さまランチ。子供の憧れ、お子さまランチ!すごく嬉しい。子供の頃は貧乏だったから、お子さまランチなんて頼めなかった。大人になったら自分のバイト代でお子さまランチくらい買えたんだけど、大の大人が頼むの恥ずかしいし、年齢制限ある所が多いんだよね。だから憧れでも一度も食べた事がなかった。それが今、目の前に!まさか異世界でお目にかかれるとは。ケンジさんありがとう!

「わあい、いただきます!」

量も子供向けだったので、私はペロリと完食した。お皿に残った旗を拾い上げて眺めてみる。黒い背景に、赤い星が3つ並んでいるシンプルなデザインだ。

「これ何の旗?」
「大魔王国の国旗ですよ。」
「え、このシンプルなのが?獅子とかドラゴンとかじゃないの?」
「人間の国はそのようなものが多いですね。そもそも人間の文化ですから。人間の国とやり取りするのに国旗があった方が格好がつくという事で、先代の魔王様が1分で考えたデザインです。」
「おおう…」

レオにも国旗作れって言ったらこんな感じの作りそう。先代も似たような人だったのかな?

「それよりデザートがございますがいかがなさいますか?」
「食べるー。」

ミーアが持ってきてくれたのはプチケーキの盛り合わせ。ショートケーキ、モンブラン、フルーツタルト、等々。一つ一つは小さいけど、こうも集まればすごい量だ。子供のデザートってレベルじゃない。それにこのクオリティ…ケンジさん、さてはこれ、レオの為に作ったな。

「レオ、食べきれないから一緒に食べよう?」
「仕方ないな。」

レオは執務机から私の座るソファに移動した。私はレオの膝によじ登り、小さくかじったケーキをレオの口に丸ごと放り込んだ。

「美味しい?」
「甘いな。」

素っ気ない返事だけど、差し出したケーキは全部食べてくれたところを見るに、レオも食事を楽しんでるんじゃないかな。

「はい、最後の一個。フルーツタルト。」

タルト生地が硬くてフォークが上手く刺さらない。でも手で持って食べさせるのはお行儀が悪い気がしたので、フルーツとカスタード部分にフォークを刺しそーっとレオの口元に運ぶ。

ぽと

「あ。」

いや少し考えればわかるよね、落ちるよねそりゃ。思考回路も幼女化してしまったのか私は。重力に従いまっすぐに落ちた愛しのフルーツタルトは、レオの上等な黒い服を鮮やかに彩った。

「ご、ごめんなさい…」

魔王の服を汚すなんて…なんたる不敬。捨てられてもおかしくない所業。私は慌ててナプキンでグシャグシャになってしまったタルトを取り除いた。でもカスタードは取りきれなくて白い染みと甘い匂いが残ってしまった。涙目でゴシゴシ擦ろうとした私をレオの大きな手が止めた。

「これくらい問題ない。」

レオがパチンと指を鳴らせば、レオの服は時間が巻き戻ったかのようにあっという間に綺麗になった。

「すごい…それも魔法?」
「そうだ。だから気にするな。」
「うん…」

私は安心してレオにギュッと抱きついた。レオはガシガシと頭を撫でてくれる。頭はボサボサになったけど、やっぱりレオの手は暖かくて落ち着く。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

ハイエルフの幼女に転生しました。

レイ♪♪
ファンタジー
ネグレクトで、死んでしまったレイカは 神様に転生させてもらって新しい世界で たくさんの人や植物や精霊や獣に愛されていく 死んで、ハイエルフに転生した幼女の話し。 ゆっくり書いて行きます。 感想も待っています。 はげみになります。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

おせっかい転生幼女の異世界すろーらいふ!

はなッぱち
ファンタジー
赤ん坊から始める異世界転生。 目指すはロマンス、立ち塞がるのは現実と常識。 難しく考えるのはやめにしよう。 まずは…………掃除だ。

義弟の婚約者が私の婚約者の番でした

五珠 izumi
ファンタジー
「ー…姉さん…ごめん…」 金の髪に碧瞳の美しい私の義弟が、一筋の涙を流しながら言った。 自分も辛いだろうに、この優しい義弟は、こんな時にも私を気遣ってくれているのだ。 視界の先には 私の婚約者と義弟の婚約者が見つめ合っている姿があった。

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

異世界に転生したので幸せに暮らします、多分

かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。 前世の分も幸せに暮らします! 平成30年3月26日完結しました。 番外編、書くかもです。 5月9日、番外編追加しました。 小説家になろう様でも公開してます。 エブリスタ様でも公開してます。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

レティシア公爵令嬢は誰の手を取るのか

宮崎世絆
ファンタジー
うたた寝していただけなのに異世界転生してしまった。 公爵家の長女レティシア・アームストロングとして。 あまりにも美しい容姿に高い魔力。テンプレな好条件に「もしかして乙女ゲームのヒロインか悪役令嬢ですか?!」と混乱するレティシア。 溺愛してくる両親に義兄。アームストロング公爵の他に三つの公爵家のそれぞれ眉目秀麗な御子息三人も、才色兼備で温厚篤実なレティシアに心奪われ三人共々婚約を申し出る始末。 十五歳になり、高い魔力を持つ者のみが通える魔術学園に入学する事になったレティシア。 しかし、その学園はかなり特殊な学園だった。 全員見た目を変えて通わなければならず、性格まで変わって入学する生徒もいるというのだ。 「みんな全然見た目が違うし、性格まで変えてんだからもう誰が誰だか分からない!! 乙女ゲームの舞台かも知れないなんて知ったこっちゃない! 恋愛ど素人には荷が重いから、レティシアとバレずに平穏な学園生活送りたい! お願いだからモブとして学生生活エンジョイさせて!!」 果たしてレティシアは正体がバレる事なく無事卒業出来るのだろうか?  そしてレティシアは誰かと恋に落ちることが、果たしてあるのか? レティシアは一体誰の手(恋)をとるのか。 これはレティシアの半生を描いたドタバタアクション有りの痛快学園コメディ……ではなく、れっきとした異世界ファンタジー感のある恋愛物語である。

処理中です...