転生幼女は魔王様のペットになります

睦月

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人間の国に行きます2

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「ごめんくださーい。」

なんとか辿り着いた鍛冶場で、私は声を張り上げた。奥の方でカンカンと金属を打つ音が聞こえてくる。

「聞こえないのかな。仕事中かな、どうしよう。」
「少々お待ちください。」

ミーアが部屋の奥に消えていく。私も行こうとしたけど、火が危ないからって却下された。なんかマグマとか湧いてるらしい。私が落ちたら骨も残らないって。私は良い子だから言いつけを破って侵入したりしないよ。鍛冶場の入り口でアロンと待っていると、奥から騒がしい声が近づいてきた。

「だから魔王様のペットだかなんだか知らねえけどよ、人間なんかに俺の武器が使えるわけねーだろうが!」
「ですから作って戴きたいのは武器ではなく乗り物です。」
「だからそれが論外だっつってんだよ!俺は馬車なんて作らねえぞ!」
「馬車ではありません。キックボードという…」
「何訳のわからないこと言ってやがる!!」

なんか交渉決裂?不穏な空気を察して、アロンが私の前に出た。相変わらず無愛想だけど、仕事はちゃんとするんだよね。

「で、その人間は何処にいるんだ!俺が調子乗るなってガツンと言ってやる!!」
「おやめください。魔王様に逆らうおつもりですか。」
「いくら魔王様の頼みだからって言ってもなあ!…ん?なんだこのちっこいのは。」
「こ、こんにちは…」

奥から現れたのは、背が低くて筋肉質な髭のおじさん。これはアレかな、私の知識が正しければ、ドワーフってやつかな。背が低いと言っても前の私の身長くらいかな…こっちの世界では長身が多いから小さく見えるよねえ。ミーアも170超えてるっぽいし。でも筋肉モリモリすぎて、小さいのに存在感はすごい。なんか四角いよね、全体的に。

「ほう…お前さん、人間の赤子か?」
「子供です。」
「初めて見たな、小さいな。俺より小さいのか。飴食べるか?」
「食べる。」

噴火した火山のようにブチ切れていた髭のおじさんは、私を見つけた途端、今まで怒っていたのも忘れて私をかまいはじめた。私はもらった飴玉をコロリと口に放り込んだ。

「美味いか。」
「うん。」
「そうかそうか。それで人間の子供がここに何の用…はっ、その首輪は、もしかして…」
「うん。魔王様のペットのリナだよ。」
「なんてことだ…まさかこんな子供だったとは…それなのにこんなに無骨な首輪を付けられて…いくら魔王様と言えどなんて非道な…」

お、魔族の中にも常識を持ち合わせた人がいるんだ。頑固親父みたいな見た目で小さき者には優しいとか、捨て猫拾う不良みたいなギャップね。

「それで、乗り物を作って欲しいとか言っていたのはお前さんか?」
「うん。魔王様に自分で歩けって言われたんだけど、お城が広すぎて…」
「そうだよなあ、そんなに短い足じゃなあ…少し歩くのも一苦労だろう。可哀想に。」

言い方!

「でも城の中で馬車を走らせるのはダメだぞ。」
「馬車じゃないよ。これ作って欲しいの。見て見て。私が描いたんだよ。」
「ほう?どれどれ…」

驚くほどスムーズ。このおじさん、子供には激甘だ。交渉は私がした方が良さそうだな。
髭のおじさんは甘々な顔で紙を受け取ったけど、私の絵を見てすぐに真剣な眼になった。

「これは…なんだ?見たことのない乗り物だな…」
「キックボードっていうの。ここに乗って、反対の足で蹴って進むの。このハンドルは前輪に繋がっててこれで進む方向決めるの。ブレーキはハンドルについてるバージョンと後輪を踏むバージョンがあるんだけど、できたらハンドルに付けて欲しい。」
「なるほどな…面白そうだ。これは金属で作って良いのか?」
「タイヤは中に空気入れたほうが振動が来ないからこの部分はゴムかな?後は金属だと思う。」
「ちょっと待ってろ。」

おじさんは奥に入って何やらゴソゴソしている。しばらくすると、いろんな金属のインゴッドを持って戻ってきた。

「ほら、好きな色を選びな。」

色で選んで良いんだ。まあ金属の違いなんてわからないし。金、銀、までは良いけど、黒、赤とかまである。なんの金属?
目の前に並べられた沢山のインゴッドに私が首を傾げていると、おじさんが解説を入れてくれた。

「こっちは鋼。これは金、魔鉄、ミスリル、オリハルコン、ヒヒイロカネ…」

うん、鋼と金までは分かったな。あとはあれだわ、ファンタジーな金属だわ。てかたかがキックボードにそんな大層な金属いるか?

「いっぱいあって分からない…普通ので良いよ。」
「そうだなあ…魔王様の隣で乗るなら色が浮かない方がいいか?ほら、この魔鉄は黒いからかっこいい仕上がりになるんじゃないか?」

黒いキックボードか…私の失われし厨二心がくすぐられる。そうだね、服も基本黒いし、この際乗り物も黒に統一するか。他に何も思いつかないし。

「じゃあそれがいい!」
「分かった。今から取りかかれば明日の朝にはできるぜ。楽しみに待ってな。」
「おじさんありがとう!」
「俺の名前はグスタだ。」
「グスタさんありがとう!」

大きく手を振ってグスタさんと別れ、私達はレオの執務室に戻るため長い廊下を歩き始めた。

「ふんふーん。楽しみだなあ。」
「リナ様、お役に立てず申し訳ありません。」
「ううん、適材適所でしょ。今回はミーアより子供の私が交渉相手に適してたってだけで。」
「ですが…」
「いいのいいの!明日楽しみだねえ。」
「…ふふ、そうですね。」
「明日こそは図書館に行こうね。」
「はい。」
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