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拾われた猫3
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「ただいま戻りました。」
「おかえりなさいませ、ハナお嬢様。」
「にゃおん」
ハナがクロを拾って一週間が経った。すっかりこの家に馴染んだクロは、ハナが帰ると婆やと共に彼女を出迎えるようになった。
「ふふ、ただいま、クロ。良い子にしてたかしら?」
「にゃあ!」
「今日のクロは干していた洗濯物に飛びついて汚していましたよ。」
「まあ!ヤンチャね、クロは。」
「にゃお…」
しょげた様子のクロをハナが抱き上げると、クロは先程の調子は何処へやら、「にゃおん!」とご機嫌な声を出しハナに顔を擦り付けた。
「クロは本当にお嬢様の事が好きなのですねえ。」
「本当、可愛いわね。寝る時も私の布団に入り込んで、用意した寝床を一度も使っていないのよ。このまま飼ってしまっても良いかしら。」
「旦那様に聞いてみてからですね。お嬢様が頼めば、大抵の事は承諾なさるでしょう。」
「そうね。次来るのは確か二週間後だったかしら。その時に聞いてみるわ。」
「ああ、クロと言えば、この間お嬢様が言っていた鎧を片付けておきましたよ。」
「あら、ありがとう。すっかり忘れていたのよね。何処か欠けたりしていなかった?」
「鎧は無事でございましたよ。ただ、階段の板が少し腐っているようでしたので、暫くは蔵に入らない方がよろしいですよ。今度孫が来た時に見てもらいますからね。」
「危ないわね。分かったわ。蔵に入る用事なんてそうそうないしね。」
「よろしくお願いしますね。」
ハナは婆やとの会話を終わらせると、クロを抱いたまま自室に戻った。襖を閉め、着替える為に袴の紐に手を掛けると、クロが突然騒ぎ出した。
「にゃ、にゃー!」
「どうしたの?今着替えるから少し待っていてね。」
そうして外に出たがるクロを置いてハナは袴を脱ぎ、着物に着替えた。
「お待たせ。今出してあげるわね。」
「にゃん…」
肩を落として部屋から出て行くクロを首を傾げながら見送ると、ハナは女学校の課題を片付けるべく、机に向かった。
ーーーーーーーーー
その夜。ハナはいつもの様にクロを抱いて寝ていた。寝息を立てるハナの腕の中で丸くなっていたクロは、突然目を見開くと、ハナの腕の中から逃れようと暴れ出した。
「んぅ…」
しかし寝ぼけたハナに再び捕まり、布団の中に引きずり込まれた。クロは暫くジタバタと脱出を試みたが、無理と悟ったのか次第に大人しくなっていった。
「にゃう…うぅ…」
クロはブルブルと震えだすと、次第に身体が変化していった。小さく愛らしかった前足はゴツゴツとした大きな手に。愛嬌のある真っ黒な毛に包まれた顔は次第に彫りの深い、男の顔に。クロは見る見るうちに大きくなり、やがてハナの背丈を越した。そして変化が落ち着くと、そこには黒髪の猫獣人の男がいた。
「…んん、クロ…?」
「!!」
腕の中の生き物が突然大きくなった事でハナは目を覚ました。寝ぼけ眼でクロを探すと、目の前に見知らぬ男の顔があることに気がついた。寝起きの働かない頭で男の顔を眺め、視線を下にやると、男の素肌が見えた。そしてハナの露出した腕や脚から感じる確かな体温。
男は全裸だった。
「き、きゃああああ!っ、むぐぐ!」
「!お、おい。静かにしろ。人が来るだろう。」
真っ赤な顔で目に涙を浮かべ絶叫するハナの口を咄嗟に押さえ、男が言った。完全に性犯罪者の口上だ。ハナはこの場から逃げ出そうと、ジタバタと暴れ出した。
「むー!むぐ、むぐー!」
「いて、おい、大人しくしろ。何もしないから。」
「むぐぐ!」
この状況を打開するすべもなく、ハナを押さえつけたまま途方にくれた男だったが、小さな足音がこちらへ向かっているのを聞き、これ以上ここに留まるのは不味いとハナを解放し部屋を飛び出そうとした。しかし、全裸であるという状況を思い出し逡巡している間に、襖が勢いよく開けられた。
「ハナお嬢様!!」
「ば、婆や!逃げて!強姦魔よ!」
「お嬢様に手を出すなどなんたる所業、殺す!」
婆やは手にしていた薙刀を構えた。その只者には出せぬ殺気を受け、男は脱出は困難と判断し両手を挙げ敵意がないことを示し、対話を試みた。
「敵意はない、本当だ。この状況も不可抗力だ。」
「そのような格好で良くも抜け抜けと…」
「ま、待て、槍を下ろせ。バーヤ、私が分からないか?クロだ。」
「クロだと…?では、本当に…?」
「そ、そうだ。バーヤには世話になった。毎日あの不思議な呪文を唱えられる度に少しずつ意識が戻っていったんだ。つい今しがた理性が完全に戻り、人の姿に戻れた。」
婆やは男の話を聞くと、殺気を収め薙刀を下ろした。状況がつかめないハナは尻餅をついた格好のまま呆然と二人をを眺めていた。
「そうか、では本当に…。異界の扉が開いたのか。」
「ああ。俺はそのゲートを通ってこちらの世界に渡った。渡る際に全ての魔力を喰われ、動けなくなったところを穢れにやられたんだ。襲われてから時間が経ってしまったから、汚染が進み理性が飛んで獣化していた。あの時ハナが俺を見つけ、浄化してくれなかったら俺は生涯ただの野良猫として過ごしていただろう。」
そこで男はハナの方を向いた。ハナは状況が全く掴めてはいなかったが、混乱した頭でも一つだけ分かることがあった。
「ひぇ…そ、その、何か服を着てください…」
「…す、すまない。」
男は婆やが持っていた手ぬぐいを受け取ると、それを腰に巻いた。取り敢えず局部は隠れた状態の男を連れ、婆やはハナの部屋を出た。
「お嬢様、少しお待ちください。この見苦しい姿をなんとかしてまいりますから。」
「え、ええ…。」
ハナはその状況についていけず、布団に座ったままそれを見送った。暫くすると、男物の浴衣に身を包んだ男が婆やに連れられハナの元へ戻ってきた。
「それ…」
「旦那様の昔の浴衣です。今は洋装ばかりで着ませんからねえ。丈が足りないのは仕方がありませんね。明日外国人向けの洋服を買ってまいりましょう。」
困惑したままのハナを連れ、三人は居間に移動した。
「さて…では、そちらの状況を話してもらおうかね。」
「おかえりなさいませ、ハナお嬢様。」
「にゃおん」
ハナがクロを拾って一週間が経った。すっかりこの家に馴染んだクロは、ハナが帰ると婆やと共に彼女を出迎えるようになった。
「ふふ、ただいま、クロ。良い子にしてたかしら?」
「にゃあ!」
「今日のクロは干していた洗濯物に飛びついて汚していましたよ。」
「まあ!ヤンチャね、クロは。」
「にゃお…」
しょげた様子のクロをハナが抱き上げると、クロは先程の調子は何処へやら、「にゃおん!」とご機嫌な声を出しハナに顔を擦り付けた。
「クロは本当にお嬢様の事が好きなのですねえ。」
「本当、可愛いわね。寝る時も私の布団に入り込んで、用意した寝床を一度も使っていないのよ。このまま飼ってしまっても良いかしら。」
「旦那様に聞いてみてからですね。お嬢様が頼めば、大抵の事は承諾なさるでしょう。」
「そうね。次来るのは確か二週間後だったかしら。その時に聞いてみるわ。」
「ああ、クロと言えば、この間お嬢様が言っていた鎧を片付けておきましたよ。」
「あら、ありがとう。すっかり忘れていたのよね。何処か欠けたりしていなかった?」
「鎧は無事でございましたよ。ただ、階段の板が少し腐っているようでしたので、暫くは蔵に入らない方がよろしいですよ。今度孫が来た時に見てもらいますからね。」
「危ないわね。分かったわ。蔵に入る用事なんてそうそうないしね。」
「よろしくお願いしますね。」
ハナは婆やとの会話を終わらせると、クロを抱いたまま自室に戻った。襖を閉め、着替える為に袴の紐に手を掛けると、クロが突然騒ぎ出した。
「にゃ、にゃー!」
「どうしたの?今着替えるから少し待っていてね。」
そうして外に出たがるクロを置いてハナは袴を脱ぎ、着物に着替えた。
「お待たせ。今出してあげるわね。」
「にゃん…」
肩を落として部屋から出て行くクロを首を傾げながら見送ると、ハナは女学校の課題を片付けるべく、机に向かった。
ーーーーーーーーー
その夜。ハナはいつもの様にクロを抱いて寝ていた。寝息を立てるハナの腕の中で丸くなっていたクロは、突然目を見開くと、ハナの腕の中から逃れようと暴れ出した。
「んぅ…」
しかし寝ぼけたハナに再び捕まり、布団の中に引きずり込まれた。クロは暫くジタバタと脱出を試みたが、無理と悟ったのか次第に大人しくなっていった。
「にゃう…うぅ…」
クロはブルブルと震えだすと、次第に身体が変化していった。小さく愛らしかった前足はゴツゴツとした大きな手に。愛嬌のある真っ黒な毛に包まれた顔は次第に彫りの深い、男の顔に。クロは見る見るうちに大きくなり、やがてハナの背丈を越した。そして変化が落ち着くと、そこには黒髪の猫獣人の男がいた。
「…んん、クロ…?」
「!!」
腕の中の生き物が突然大きくなった事でハナは目を覚ました。寝ぼけ眼でクロを探すと、目の前に見知らぬ男の顔があることに気がついた。寝起きの働かない頭で男の顔を眺め、視線を下にやると、男の素肌が見えた。そしてハナの露出した腕や脚から感じる確かな体温。
男は全裸だった。
「き、きゃああああ!っ、むぐぐ!」
「!お、おい。静かにしろ。人が来るだろう。」
真っ赤な顔で目に涙を浮かべ絶叫するハナの口を咄嗟に押さえ、男が言った。完全に性犯罪者の口上だ。ハナはこの場から逃げ出そうと、ジタバタと暴れ出した。
「むー!むぐ、むぐー!」
「いて、おい、大人しくしろ。何もしないから。」
「むぐぐ!」
この状況を打開するすべもなく、ハナを押さえつけたまま途方にくれた男だったが、小さな足音がこちらへ向かっているのを聞き、これ以上ここに留まるのは不味いとハナを解放し部屋を飛び出そうとした。しかし、全裸であるという状況を思い出し逡巡している間に、襖が勢いよく開けられた。
「ハナお嬢様!!」
「ば、婆や!逃げて!強姦魔よ!」
「お嬢様に手を出すなどなんたる所業、殺す!」
婆やは手にしていた薙刀を構えた。その只者には出せぬ殺気を受け、男は脱出は困難と判断し両手を挙げ敵意がないことを示し、対話を試みた。
「敵意はない、本当だ。この状況も不可抗力だ。」
「そのような格好で良くも抜け抜けと…」
「ま、待て、槍を下ろせ。バーヤ、私が分からないか?クロだ。」
「クロだと…?では、本当に…?」
「そ、そうだ。バーヤには世話になった。毎日あの不思議な呪文を唱えられる度に少しずつ意識が戻っていったんだ。つい今しがた理性が完全に戻り、人の姿に戻れた。」
婆やは男の話を聞くと、殺気を収め薙刀を下ろした。状況がつかめないハナは尻餅をついた格好のまま呆然と二人をを眺めていた。
「そうか、では本当に…。異界の扉が開いたのか。」
「ああ。俺はそのゲートを通ってこちらの世界に渡った。渡る際に全ての魔力を喰われ、動けなくなったところを穢れにやられたんだ。襲われてから時間が経ってしまったから、汚染が進み理性が飛んで獣化していた。あの時ハナが俺を見つけ、浄化してくれなかったら俺は生涯ただの野良猫として過ごしていただろう。」
そこで男はハナの方を向いた。ハナは状況が全く掴めてはいなかったが、混乱した頭でも一つだけ分かることがあった。
「ひぇ…そ、その、何か服を着てください…」
「…す、すまない。」
男は婆やが持っていた手ぬぐいを受け取ると、それを腰に巻いた。取り敢えず局部は隠れた状態の男を連れ、婆やはハナの部屋を出た。
「お嬢様、少しお待ちください。この見苦しい姿をなんとかしてまいりますから。」
「え、ええ…。」
ハナはその状況についていけず、布団に座ったままそれを見送った。暫くすると、男物の浴衣に身を包んだ男が婆やに連れられハナの元へ戻ってきた。
「それ…」
「旦那様の昔の浴衣です。今は洋装ばかりで着ませんからねえ。丈が足りないのは仕方がありませんね。明日外国人向けの洋服を買ってまいりましょう。」
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