誰か私と結婚してくれ。〜婚活の邪魔をしていたのは公爵家の幼馴染みでした〜

こたきんぐ

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第13話

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その後の行く末は、僕の代わりに情報屋に見守ってもらった訳だが……。
上手く思い描いた結果になってくれたようでよかった。


数日もしないうちに、アンジュ嬢はモイフナー殿の元へマクニール家との仕事の内容を詳しく聞きに行った。それだけでは無いことは確かだけど。

モイフナー殿は、完全に事業が軌道に乗った後に報告する予定だったと彼女に伝えた。
しかしわざわざ聞きに来たアンジュ嬢に、これ以上隠すのも変かと、今進めている酒販売について希望に満ちた目で話していたそうだ。


__レマダリ家もこれで少しは裕福になりそうなんだ
__それは、よかった
__……アンジュ、その、彼とは……仲良くやれそう?
__……どうかしら、貴方より仲良くなるのは難しそうかも
__アンジュ……


そんな2人の逢引を、情報屋は細々とメモし僕に渡してくれる。恋愛小説の一部分を切り取ったような文章がそこに綴られているわけだが、情報屋はいったいいつもどんな気持ちで書いているんだろうね。


__今からでも、アンドレとの婚約を無かったことには出来ない、かな。すごく裕福には暮らせないかもしれないけど……、今のレマダリならっ……
__無理よ、そんなの……。今更婚約破棄なんてしたら、私も、貴方だって、なにをされるか……
__それでも僕はアンジュにそんな顔させたくない、君には笑顔でいて欲しいんだ……。アンドレと結婚して、君は笑っていられるの……?
__それ、は……


言いよどみ顔を伏せる彼女の手をモイフナー殿は掴み、ぐっと引き寄せた(と書いてある)。


__ごめん、もっと僕に力があればよかったのに。
でもね、アンジュが笑ってられるなら、今アンドレに立ち向かうことだって、一緒に逃げることだって僕はできるんだよ?だから
__モイフナー、……ありがとう。でも私、家族も大切なの。家族を置いて逃げることなんてできないし、彼に逆らって貴方を巻き込むなんてことしたくないの
__っ、けど君は
__もう、いいの。


アンジュはそっと、彼の手を解く(と書いてある)。


__モイフナー、私ね……。もし、もし来世があるとしたら……
__……!アンジュ、待って、言わないで
__来世は貴方の隣で、ずっと、笑っていたいと思ってる


アンジュ嬢はそう言って笑い、去って行ってしまったらしい。
モイフナー殿は涙し、自分の力の弱さに打ちひしがれていたようだ。

来世、なんてそんなの僕には待てないけど。
今世も来世も、そのまた来世も僕は絶対ラティといたい。
そのためにはなんだって、どんなことだってする。

もしライバルが出てきたって、立ち向かうだの、逃げるだのしない。
戦う前にそんな芽は潰す。



「……うん、2人の恋心はまだ消えないね」



障害はあればあるほど、恋は燃えるって言うしね。


情報屋にもらった恋愛小説……じゃなくて2人の会話を記したメモをビリビリに破って、ゴミ箱に捨てる。

障害なんてモノ、僕の場合邪魔でしかないからさっさと片付けてしまいたい。

僕は目の前にある、机に置かれたアンドレ・ダヴィアンの資料を指で撫でた。


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