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12.魔王討伐
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西の神殿の向こうにデビルマウンテンあり。
そこは魔王が封印された呪われし地なり。
私とクルトは今、フレドリック殿下の執務室におります。
「昨今の聖句が消えた現象は、魔王復活の兆しだということが判明したんだ」
フレドリック殿下は重々しい口調でそう言いました。
『知ってます……!』
「ええっ、なっ、なんだって?これは大変です!」
クルトがわざとらしく驚いてます。
「ああ、今のうちなら魔王復活は阻止出来るかも知れない。あるいは復活してもすでに三つの聖句は修復済みだ。かの者は力を削がれている可能性が高い。魔王、闇よりいずる時、封印の乙女もまたあかつきよりいずる……」
フレドリック殿下はその後、辛そうに言葉を続けます。
「リーザが覚醒したのは、魔王を封じる乙女、『封印の聖女』という力らしい」
「えっ、聖女って種類があるんですか?」
全然知りませんでした。
「ああ、そうみたいだ。リーザの髪と瞳はあの時桃色に輝いていた。古文書によればあれは封印の聖女の証らしい」
とフレドリック殿下は教えてくれました。
「西の神殿で聖女が祈りを捧げると虹の橋というのが掛かる。それを渡ると、デビルマウンテンに行けるそうだ。リーザ、封印の聖女だけが、魔王を眠りにつかせることが出来る。君の力が必要なんだ……」
「フレドリック様」
「すまない。リーザを危険な目に遭わせたくなんかない。でもリーザのことは私が必ず守るから……」
「はい。行きます。皆できっと無事に帰りましょう!」
「リーザ……」
「お二人が行くなら僕だって行きますよ」
「クルト……二人ともありがとう」
西の神殿に行ってお祈りすると美しい虹の橋がかかりました。大勢の兵士達と共に出発……のはずでしたが。
「あれ?」
人数制限があったみたいで、フレドリック殿下と私とクルトとデュモンド卿とセーガン卿が乗ると虹の橋のたもとは消えてゆきます。他の人達は乗れません。
「よし、この五人で行く。急ぐぞ!」
仕方がないので五人で出発しました。
そして、無事に魔王の復活を阻止しました。
あっさりなのは、あっさり出来ちゃったからです。
魔王は寝起きみたいでぼんやりしてましたし、フレドリック殿下が黒騎士に変身するとすごく強くて、魔王は起きたと同時に一瞬のうちにまた封印されてしまいました。
……なんか、すみません。
***
魔王討伐も完了して、ようやく平和になりました。
私は王立学園中等部一年生に、フレドリック殿下は中等部三年生になりました。
一年だけだけど、一緒に学園に通えます。
放課後、待ち合わせて一緒に帰ったりも出来ます。
新しいノートと参考書が欲しいので、今日は街に寄り道して帰ります。
買い物の帰りに、
「リーザ、久しぶりにエッグタルトの店に寄っていかないか?」
とフレドリック殿下に誘われました。
ピクンと体が跳ねます。
あのお店は、お姉様の前世では聖女だったアンナさんのお母さんが勤める食堂の隣、アンナさんもいるかもしれません。
でもエッグタルト、久しぶりに食べたいです。
私はためらいながら頷きました。
「は、はい」
エッグタルトのお店は買い物客でちょっと混雑してました。夕方なので、みんなおやつを買い求めて来たようです。
「このくらいならいいか、並ぼう」
とフレドリック殿下と一緒に順番を待ちます。
「あっ……」
チラッと見ると、隣のお店にはピンク色の髪の毛の女の子がいます。遠目で分かりませんが、アンナさんだと思われます。
でもそれよりフレドリック殿下です。
「あ、あの人、格好いい」「王立学園の制服だ」とか言われてます。見られてます。
フレドリック殿下は聞こえているでしょうが、堂々としてます。
きゃあきゃあ言われてますが、とりあえず王子様だとバレてません。
「黒髪で素敵ー」
えっ、黒髪?
思わず見上げると、フレドリック殿下はやっぱりいつもの金髪です。別の人?でもお姉さん達の視線はフレドリック殿下に注がれています。
フレドリック殿下と目が合ってしまいました。
「闇魔法の隠蔽擬態を使っているんだ」
フレドリック殿下はフッと笑うと私の耳元で囁きます。
「ある程度の魔力以下の人間は私の髪の色が違って見えている」
「あ、そうなんですか」
内緒話ですから、耳に唇が付きそうな距離です。ドキドキします。
「はい、次の方ー」
ドキドキで死にそうな時に、順番が来ました。
エッグタルトを食べましょう。
またベンチに並んで腰掛けてエッグタルトを食べましたが。
「むむむっ!」
思わずうなりました。
「気付いた?リーザ」
フレドリック殿下は愉快そうに微笑みます。
「このエッグタルト、更に美味しくなってます」
「そう、水を替えたんだ。街の水はあまり水質が良くなかったんだが、魔法具を使って浄化している」
「お水が美味しいから美味しさもアップしたんですね。美味しいです」
「リーザなら絶対気付くと思ったよ」
和気あいあいと話しながら、エッグタルトを食べ終わります。
「あまり遅くなるといけない、帰ろうか?」
「はい、そうですね」
椅子から立ち上がろうとしたその時です。
「きゃっ」
と声がして、目の前で女の子が転んでいます。
大変です。
「だっ、大丈夫ですか?」
駆け寄ろうとしたらフレドリック殿下が「駄目、リーザはここに居て」と肩を押されて椅子に座らされます。
「でも」
「私が見に行くから、席を立たないで」
とフレドリック殿下自らがその子に近づきます。
『あ、ピンクの髪』
え、この人、もしかして、アンナさん?
『もしかしてもしかして』
ついにフレドリック殿下とアンナさんが出会ってしまうのでしょうか?
「大丈夫ですか、お嬢さん」
フレドリック殿下が、アンナさんに声を掛けました。
ここからはフレドリック殿下の背中だけしか見えません。
どんなお顔で、アンナさんを見ているのでしょうか?
「は、はい。ありがとうございます」
フレドリック殿下は手を差し伸べて、アンナさんを立たせてあげます。
「怪我は?」
「あ、膝を擦りむいたみたいです」
「そう……」
「でも大丈夫です。ほらっ!」
アンナさんは魔法を使って膝の擦り傷を治します。
「私、光魔法が使えるんです!」
アンナさんは元気よく言いました。
「そう、良かった。じゃあこれで」
フレドリック殿下の表情は分かりません。でも、それだけ言うと、アンナさんから離れます。
「あ……」
アンナさんは、切なげにそれを見送ります。
「リーザ、お待たせ」
満面の笑みです。
「は、はい……」
アンナさんはいいんですかね?
「じゃあ、帰ろうか?お土産にリーザの家の人の分も包んで貰ったよ。温かいうちに帰ろう」
「えっ、よろしいんですか?」
いつの間にか、クルトは大きなバスケットを抱えています。使用人皆の分ありそうです。
「うん、リーザの家のお菓子も美味しいけど、たまにはいいだろう?」
「はい、皆喜びます!」
フレドリック殿下はいつものように公爵邸まで送ってくれました。
「リーザ」
馬車を降りる直前にキスをされました。恥ずかしいです。
キスは中等部のうちは、一日一回一秒までって決まってるんです。
そこは魔王が封印された呪われし地なり。
私とクルトは今、フレドリック殿下の執務室におります。
「昨今の聖句が消えた現象は、魔王復活の兆しだということが判明したんだ」
フレドリック殿下は重々しい口調でそう言いました。
『知ってます……!』
「ええっ、なっ、なんだって?これは大変です!」
クルトがわざとらしく驚いてます。
「ああ、今のうちなら魔王復活は阻止出来るかも知れない。あるいは復活してもすでに三つの聖句は修復済みだ。かの者は力を削がれている可能性が高い。魔王、闇よりいずる時、封印の乙女もまたあかつきよりいずる……」
フレドリック殿下はその後、辛そうに言葉を続けます。
「リーザが覚醒したのは、魔王を封じる乙女、『封印の聖女』という力らしい」
「えっ、聖女って種類があるんですか?」
全然知りませんでした。
「ああ、そうみたいだ。リーザの髪と瞳はあの時桃色に輝いていた。古文書によればあれは封印の聖女の証らしい」
とフレドリック殿下は教えてくれました。
「西の神殿で聖女が祈りを捧げると虹の橋というのが掛かる。それを渡ると、デビルマウンテンに行けるそうだ。リーザ、封印の聖女だけが、魔王を眠りにつかせることが出来る。君の力が必要なんだ……」
「フレドリック様」
「すまない。リーザを危険な目に遭わせたくなんかない。でもリーザのことは私が必ず守るから……」
「はい。行きます。皆できっと無事に帰りましょう!」
「リーザ……」
「お二人が行くなら僕だって行きますよ」
「クルト……二人ともありがとう」
西の神殿に行ってお祈りすると美しい虹の橋がかかりました。大勢の兵士達と共に出発……のはずでしたが。
「あれ?」
人数制限があったみたいで、フレドリック殿下と私とクルトとデュモンド卿とセーガン卿が乗ると虹の橋のたもとは消えてゆきます。他の人達は乗れません。
「よし、この五人で行く。急ぐぞ!」
仕方がないので五人で出発しました。
そして、無事に魔王の復活を阻止しました。
あっさりなのは、あっさり出来ちゃったからです。
魔王は寝起きみたいでぼんやりしてましたし、フレドリック殿下が黒騎士に変身するとすごく強くて、魔王は起きたと同時に一瞬のうちにまた封印されてしまいました。
……なんか、すみません。
***
魔王討伐も完了して、ようやく平和になりました。
私は王立学園中等部一年生に、フレドリック殿下は中等部三年生になりました。
一年だけだけど、一緒に学園に通えます。
放課後、待ち合わせて一緒に帰ったりも出来ます。
新しいノートと参考書が欲しいので、今日は街に寄り道して帰ります。
買い物の帰りに、
「リーザ、久しぶりにエッグタルトの店に寄っていかないか?」
とフレドリック殿下に誘われました。
ピクンと体が跳ねます。
あのお店は、お姉様の前世では聖女だったアンナさんのお母さんが勤める食堂の隣、アンナさんもいるかもしれません。
でもエッグタルト、久しぶりに食べたいです。
私はためらいながら頷きました。
「は、はい」
エッグタルトのお店は買い物客でちょっと混雑してました。夕方なので、みんなおやつを買い求めて来たようです。
「このくらいならいいか、並ぼう」
とフレドリック殿下と一緒に順番を待ちます。
「あっ……」
チラッと見ると、隣のお店にはピンク色の髪の毛の女の子がいます。遠目で分かりませんが、アンナさんだと思われます。
でもそれよりフレドリック殿下です。
「あ、あの人、格好いい」「王立学園の制服だ」とか言われてます。見られてます。
フレドリック殿下は聞こえているでしょうが、堂々としてます。
きゃあきゃあ言われてますが、とりあえず王子様だとバレてません。
「黒髪で素敵ー」
えっ、黒髪?
思わず見上げると、フレドリック殿下はやっぱりいつもの金髪です。別の人?でもお姉さん達の視線はフレドリック殿下に注がれています。
フレドリック殿下と目が合ってしまいました。
「闇魔法の隠蔽擬態を使っているんだ」
フレドリック殿下はフッと笑うと私の耳元で囁きます。
「ある程度の魔力以下の人間は私の髪の色が違って見えている」
「あ、そうなんですか」
内緒話ですから、耳に唇が付きそうな距離です。ドキドキします。
「はい、次の方ー」
ドキドキで死にそうな時に、順番が来ました。
エッグタルトを食べましょう。
またベンチに並んで腰掛けてエッグタルトを食べましたが。
「むむむっ!」
思わずうなりました。
「気付いた?リーザ」
フレドリック殿下は愉快そうに微笑みます。
「このエッグタルト、更に美味しくなってます」
「そう、水を替えたんだ。街の水はあまり水質が良くなかったんだが、魔法具を使って浄化している」
「お水が美味しいから美味しさもアップしたんですね。美味しいです」
「リーザなら絶対気付くと思ったよ」
和気あいあいと話しながら、エッグタルトを食べ終わります。
「あまり遅くなるといけない、帰ろうか?」
「はい、そうですね」
椅子から立ち上がろうとしたその時です。
「きゃっ」
と声がして、目の前で女の子が転んでいます。
大変です。
「だっ、大丈夫ですか?」
駆け寄ろうとしたらフレドリック殿下が「駄目、リーザはここに居て」と肩を押されて椅子に座らされます。
「でも」
「私が見に行くから、席を立たないで」
とフレドリック殿下自らがその子に近づきます。
『あ、ピンクの髪』
え、この人、もしかして、アンナさん?
『もしかしてもしかして』
ついにフレドリック殿下とアンナさんが出会ってしまうのでしょうか?
「大丈夫ですか、お嬢さん」
フレドリック殿下が、アンナさんに声を掛けました。
ここからはフレドリック殿下の背中だけしか見えません。
どんなお顔で、アンナさんを見ているのでしょうか?
「は、はい。ありがとうございます」
フレドリック殿下は手を差し伸べて、アンナさんを立たせてあげます。
「怪我は?」
「あ、膝を擦りむいたみたいです」
「そう……」
「でも大丈夫です。ほらっ!」
アンナさんは魔法を使って膝の擦り傷を治します。
「私、光魔法が使えるんです!」
アンナさんは元気よく言いました。
「そう、良かった。じゃあこれで」
フレドリック殿下の表情は分かりません。でも、それだけ言うと、アンナさんから離れます。
「あ……」
アンナさんは、切なげにそれを見送ります。
「リーザ、お待たせ」
満面の笑みです。
「は、はい……」
アンナさんはいいんですかね?
「じゃあ、帰ろうか?お土産にリーザの家の人の分も包んで貰ったよ。温かいうちに帰ろう」
「えっ、よろしいんですか?」
いつの間にか、クルトは大きなバスケットを抱えています。使用人皆の分ありそうです。
「うん、リーザの家のお菓子も美味しいけど、たまにはいいだろう?」
「はい、皆喜びます!」
フレドリック殿下はいつものように公爵邸まで送ってくれました。
「リーザ」
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キスは中等部のうちは、一日一回一秒までって決まってるんです。
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