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10.レッスン2:ムネ
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「断る!」
と王子が叫んだ。
私は思わず胸の前で腕をクロスした。
「断るなよ、絶対後悔しますよ、触らせて貰えって」
と衝立の向こうからアラン様が怒鳴り返す。
「…………」
私は声も出せず、長椅子に縮こまった。
お母様、エルシーはお家に帰りたいです。
だが、アラン様は言った。
「エルシー様、エルシー様、おっぱい触らせるとすぐに仲良くなれます。王子の機嫌も直ります。イチコロです」
「えっ、本当ですか?」
「本当です。王子、おっぱいは今まで一番いい。触らせて貰え」
「しかし……」
王子は渋っている。
だが、声に先ほどの勢いはない。
「服の上からちょっと触るだけです」
「……ちょっと……ですか?」
と私はアラン様に聞いた。
「はい。ちょっとです。どうせ痛いですから」
「えっ、痛いの?」
「痛いらしいですよ、よく知らないけど、エルシー様、十六歳でしょう。おっぱい成長終わってませんから、お肉付いてなくて固いんです。あと触られ慣れないと痛いらしいですよ」
「すっごく詳しいですよ!痛いのか……」
どうしよう。
痛いのは嫌だな。
「経験です。触らせないと痛いままです」
「経験……」
ふと、視線を感じ、そっちを見ると王子であった。
私の胸を見ている。
「経験……」
ちょっとだけ、触らせることにした。
どうせ痛いからちょっとだけらしいし、服の上からだし。
私が今日着ているのは、若草色のデイドレスだ。
デイドレスというのは、昼間に着るロングドレスで露出は少ない。
今日の私の出で立ちも八分袖にハイネック、そしてスカート丈はロングとほとんど素肌が見えない。
王宮に行くので手持ちの昼間用ドレスでは一番良いものだから、生地も滑らかかつしっかりしている。
この状態で触ってもあまりムネ触られている感はない……はず。
私は自分の手でムネをトントンと叩いた。
私にあんまりムネはない。
まったくないわけではないが、大きくはない。
普通である。
だが私の二番目の姉は巨乳だ。
あれは確かに触ったら癒やされる。むにゅんだ。
ちなみにその姉の夫は次期伯爵だ。
あのムネで落としたという話を聞いている。
私のムネにそこまで劇的な効果はあるだろうか。
王子は私の様子……というかムネをじっと見ていた。
「あ、どうぞ」
椅子に座り直して王子の方を向いて触りやすいように背筋を伸ばし、胸を反りぎみに前に突き出す。
上からそっとぱふっと触られた。
「王子、どうですか?」
というアラン様の声に王子は答えた。
「暖かい……柔らかいかは分からん」
そりゃ、そうだろう。
良い仕事しているな、デイドレス。
ちなみにデイドレスの下に下着も付いてるからな。
私程度のムネでは触ったごときでは何が何だか分かるまい……ふふふっ。
「エルシー様、ナデナデさせてあげて良いですか」
「あっ、どうぞ」
と私はアラン様に答える。
何故、隣り合う我々はアラン様ごしに話しているのか?
ナデナデされた。
「りっ、両手で良いか?」
と王子は直に私に聞いた。
「いいですよ」
王子はもう怒ってないみたいだ。
おっぱい、すごい。
仲直り出来た気がする。
それにしてもでっかい手だ。
ぽふっと手が乗って、ナデナデでされた。
「おおっ……」
感動したような吐息と共に、王子の両手がムネを寄せるようにする。
優しく触られているから痛くはないけど、確かにこれそーっと触られてなければ痛くなるかも。
「あるの、分かりますか?」
「手の中にかすかにしてささやかだが、何か良いものの存在が感じ取れる」
うっとりとそう言われた。
ささやかで悪かったな。
うーん、でもちょっと恥ずかしいかも。
ハグする時少し触れることはあってもこんなにぽぷぽふ触られたことはないし。
そして凝視されたこともない。
……冷静に考えるとかなり恥ずかしい。
……などと考えていたら。
「…………っ!」
急に王子は立ち上がった。
「どうかしたんですか?」
私はそう尋ねたのだが、彼は無言で衝立の向こうに歩き出した。
「どうしたんですか、王子」
とアラン様達も聞いている。
「ちょっと、離席する」
王子は素っ気なく答えた。
「いけません、殿下にはお役目があります」
テレンス様が怒ったような声で王子を止める。
「エルシーはここで一晩泊めればもう良い。今日出会ったばかりなんだぞ」
あの勢いはトイレか?
トイレなら行かせてあげなよ、何か切羽詰まってるみたいだし……と私は衝立の向こうを覗いた。
「駄目です、今日です。ヌキたいなら、エルシー様として下さい」
アラン様の表情もさっきと全然違う。
「……?」
えっ、私の話か?
「エルシー様をお妃にするには今日、初夜を迎えるしかない。最初からご説明していたでしょう」
えっ、そうだったの?
と王子が叫んだ。
私は思わず胸の前で腕をクロスした。
「断るなよ、絶対後悔しますよ、触らせて貰えって」
と衝立の向こうからアラン様が怒鳴り返す。
「…………」
私は声も出せず、長椅子に縮こまった。
お母様、エルシーはお家に帰りたいです。
だが、アラン様は言った。
「エルシー様、エルシー様、おっぱい触らせるとすぐに仲良くなれます。王子の機嫌も直ります。イチコロです」
「えっ、本当ですか?」
「本当です。王子、おっぱいは今まで一番いい。触らせて貰え」
「しかし……」
王子は渋っている。
だが、声に先ほどの勢いはない。
「服の上からちょっと触るだけです」
「……ちょっと……ですか?」
と私はアラン様に聞いた。
「はい。ちょっとです。どうせ痛いですから」
「えっ、痛いの?」
「痛いらしいですよ、よく知らないけど、エルシー様、十六歳でしょう。おっぱい成長終わってませんから、お肉付いてなくて固いんです。あと触られ慣れないと痛いらしいですよ」
「すっごく詳しいですよ!痛いのか……」
どうしよう。
痛いのは嫌だな。
「経験です。触らせないと痛いままです」
「経験……」
ふと、視線を感じ、そっちを見ると王子であった。
私の胸を見ている。
「経験……」
ちょっとだけ、触らせることにした。
どうせ痛いからちょっとだけらしいし、服の上からだし。
私が今日着ているのは、若草色のデイドレスだ。
デイドレスというのは、昼間に着るロングドレスで露出は少ない。
今日の私の出で立ちも八分袖にハイネック、そしてスカート丈はロングとほとんど素肌が見えない。
王宮に行くので手持ちの昼間用ドレスでは一番良いものだから、生地も滑らかかつしっかりしている。
この状態で触ってもあまりムネ触られている感はない……はず。
私は自分の手でムネをトントンと叩いた。
私にあんまりムネはない。
まったくないわけではないが、大きくはない。
普通である。
だが私の二番目の姉は巨乳だ。
あれは確かに触ったら癒やされる。むにゅんだ。
ちなみにその姉の夫は次期伯爵だ。
あのムネで落としたという話を聞いている。
私のムネにそこまで劇的な効果はあるだろうか。
王子は私の様子……というかムネをじっと見ていた。
「あ、どうぞ」
椅子に座り直して王子の方を向いて触りやすいように背筋を伸ばし、胸を反りぎみに前に突き出す。
上からそっとぱふっと触られた。
「王子、どうですか?」
というアラン様の声に王子は答えた。
「暖かい……柔らかいかは分からん」
そりゃ、そうだろう。
良い仕事しているな、デイドレス。
ちなみにデイドレスの下に下着も付いてるからな。
私程度のムネでは触ったごときでは何が何だか分かるまい……ふふふっ。
「エルシー様、ナデナデさせてあげて良いですか」
「あっ、どうぞ」
と私はアラン様に答える。
何故、隣り合う我々はアラン様ごしに話しているのか?
ナデナデされた。
「りっ、両手で良いか?」
と王子は直に私に聞いた。
「いいですよ」
王子はもう怒ってないみたいだ。
おっぱい、すごい。
仲直り出来た気がする。
それにしてもでっかい手だ。
ぽふっと手が乗って、ナデナデでされた。
「おおっ……」
感動したような吐息と共に、王子の両手がムネを寄せるようにする。
優しく触られているから痛くはないけど、確かにこれそーっと触られてなければ痛くなるかも。
「あるの、分かりますか?」
「手の中にかすかにしてささやかだが、何か良いものの存在が感じ取れる」
うっとりとそう言われた。
ささやかで悪かったな。
うーん、でもちょっと恥ずかしいかも。
ハグする時少し触れることはあってもこんなにぽぷぽふ触られたことはないし。
そして凝視されたこともない。
……冷静に考えるとかなり恥ずかしい。
……などと考えていたら。
「…………っ!」
急に王子は立ち上がった。
「どうかしたんですか?」
私はそう尋ねたのだが、彼は無言で衝立の向こうに歩き出した。
「どうしたんですか、王子」
とアラン様達も聞いている。
「ちょっと、離席する」
王子は素っ気なく答えた。
「いけません、殿下にはお役目があります」
テレンス様が怒ったような声で王子を止める。
「エルシーはここで一晩泊めればもう良い。今日出会ったばかりなんだぞ」
あの勢いはトイレか?
トイレなら行かせてあげなよ、何か切羽詰まってるみたいだし……と私は衝立の向こうを覗いた。
「駄目です、今日です。ヌキたいなら、エルシー様として下さい」
アラン様の表情もさっきと全然違う。
「……?」
えっ、私の話か?
「エルシー様をお妃にするには今日、初夜を迎えるしかない。最初からご説明していたでしょう」
えっ、そうだったの?
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