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第二章
05.初夜① グレン王子
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グレン王子は一目その少女を見た瞬間から心を奪われた。
――美しい。
かのように美しい人は見たことがない。
少女はグレン王子を見て驚いた様子で目を丸くしたが、すぐに視線を離し、また竜ゲルボルグを見上げ近づいていく。
だがグレン王子は食い入るように少女を見つめ続けた。
エルシーの声に姿に胸が高鳴る。
瞬きすら惜しいと思う。
エルシー・ヴィリアーズは出会ったその場で彼の妻になることが決まったが、心が通い合ってのことではない。
子爵の娘であるエルシーを世継ぎの王子の正妃とするのには、その日のうちに王子がエルシーの純潔を奪う、これのみであった。
妻としての教えも夫としての教えも受けず、心構えの一つもなく、今日出会ったばかりで二人は枕を共にする。
エルシーは愛を捧げられることはなく、グレン王子も愛を誓われることもない。
そういう初夜であった。
エルシーは性交が済んだ後も「痛い」と呪文か何かのようにずっと呟いていた。
可哀想に思うが、何をしていいのかは分からない。
嫌がらないので抱きしめていた。
腕の中でエルシーはグレン王子の肩に頭を置き、しばらくもぞもぞ動いて丁度収まりが良いところを見つけるとすぐに寝た。
静かに寝息を立てたので、おそるおそる髪に触れてみた。
小さい、可愛い、ふにふにしている。
これが手に入るのなら結婚は非常に良い。
匂いを嗅ぐととても良い匂いがするが、かすかに自分が付けた匂いもする。
それはなお良かった。
これは自分のものだ。
***
そうして半年が過ぎ、二人は結婚した。
「ああ、ようやく手に入れた」
グレン王子は、初夜の床で新妻を抱きしめ、ため息と共にそう漏らした。
正式に婚姻すれば自分のものになると考えていたが、いざその日を迎えても実感は薄かった。
やはりエルシーは気に入らないことがあれば、スルリと腕から逃げ出す気がした。
「もう逃げるなよ」
しっかりと抱きしめ直して、念を押すと、彼のお妃は不満げに唇を尖らす。
「逃げませんよ」
エルシーは抱きしめると自分の腕に丁度良く収まる。
157センチメートルと聞いたが、この前一センチ伸びたのだと得意げであった。
可愛い。
「本当だな」
「本当ですよ」
エルシーの声は鈴の音のようだ。
聞いていて飽きない。
「ただ……」
「ただなんだ?もう俺はお前の夫だぞ。捨てるなよ」
「捨てませんよ、失礼な。他にすごいの隠してないですよね?グレン様」
「すごいのとは?」
「どこかの別の国のお世継ぎ問題ですよ。目と髪の次は……何でしょう?歯の生え方とか、指の形?」
「曾祖母も外国の王女だが、その国は王子が多すぎて揉めている。特に身体的な制約があると聞いたことはない」
「そうですか。普通ないですよね」
「普通はないな」
エルシーは何がおかしいのか笑う。
「ふふふっ」
花がほころぶようだ。
グレン王子は、その唇に吸い寄せられるように口付けした。
抱き寄せて夢中でキスする。
「…ふっ……」
長い口付けの後、腕の中でエルシーの唇は、か細く息を吐いた。
「愛している」
一度目の夜にはそれは言えなかった。
あの時は、この胸の疼きが、全身の高揚が、心がざわめくさまが、愛だとは知らなかった。
愛とは、甘美なものと聞いていたが、実際のそれは、心の奥底にしまいこんだものをすくわれるような恐ろしさがあった。
心地良いまどろみから無理矢理目を覚ましたように、世界は急激に変化した。そんなものが、恋だと知らなかったのだ。
エルシーはあの丸い茶色の瞳をさらにまん丸くする。
見る間に頬が赤く染まり、顔をグレン王子の胸にこすりつける。
小さい声でエルシーは言った。
「あっ、あの、私も……グレン様のことあっ、あああ、愛してますよ」
「エルシー」
そっと抱きしめてキスして、そっと抱きしめて小さく柔らかな体を撫でる。
警戒心が強いエルシーは、意に沿わぬことをするとすぐに身を固くする。
だが反面、気を許した者には甘えてくる。
「……グレン様」
ネグリジェの上から体を撫でて、顔や髪に唇を付けるだけの前戯とも呼べないものだが、エルシーは無防備に白い体を預けてくる。
ネグリジェをずらして、肩を撫でてもエルシーは「んっ…」とため息のような声を漏らしただけだ。
きめ細かい肌の感触に夢中になって彼女を抱きしめ、撫でた。
「エルシー」
我慢出来ずに押し倒して、ネグリジェをはぎ取り、肩を撫で、胸元を撫で、腰を撫で回し、尻を揉む。
エルシーの肌は、なめらかで触り心地がいい。
筋肉の欠片もなさそうな柔く、肉の薄い体は、ほんの少しの強さで愛撫を痛がる。
意識して力を抜きやんわり揉む。
コツとツボは何となく覚えてきた。元から騎士として人体については、一定の知識もある。
「グレン様……」
いつになく艶っぽいような声と共に首にエルシーの腕が回る。細い腕に抱きしめられる。
嫌がってない。
思いつく場所は全部キスして、そっと撫で回す。
「そっ、そんなところ……」
と恥じらう姿にそそられて彼女が欲しくてたまらなくなる。
胸をすくい上げ、抱きかかえて乳首を口に含んで舐めて舌で潰してきつめに吸ってと白い胸を弄くり回す。
「きゃっ……あんっ」
と恋した娘は腕の中で嬌声を上げる。
可愛い。
秘所に手を這わすとエルシーが指を掴んでくる。
「ゆっ、指は嫌……」
最初に一度イく方が楽だと聞いていたのでそうしたが、エルシーは嫌がるようになった。
恋する娘が自分の腕の中で絶頂する様には悦びを感じた。
何度も見たい、感じさせたいと思ったが、本人にとって絶頂は苦しいらしい。
確かにエルシーは王都住まいのごく一般的な貴族の娘である。
運動といえば、ダンスか散歩しかしない。
グレン王子は無類と呼ばれるまでに己を鍛え上げた騎士である。
自分に比べて、エルシーの何もかもが小さく華奢で壊れ物のようであった。
グレン王子はこのガラス細工のような娘が好きで好きでたまらないのだ。
彼は壊さないように怯えながらエルシーに触れているが、それもまた楽しいと思えた。
目の縁を赤くしてこっちをそっと伺う。
「グレン様……もうして……」
甘えるように訴えられる。
エルシーは頼み込めば他の体位を試させてくれたので、何度かコトに及んだが、結局二人の好みは正常位だった。
エルシーは抱きしめられる体位を好み、グレン王子はエルシーの顔が見たかった。
夜しかしない表情に、声に夢中になった。
「んっ……」
組み敷かれて男を受け入れると、エルシーは辛そうに喉をそらす。
心配で仕方ないが、同時に眉をきゅっとひそめるその表情には非常にそそられる。
せめてそっと動いてやるくらいしかないが、そういう彼女とは裏腹に膣は男を待ちかねていたように蠢く。
かなり気持ちいい。
「あ……」
それでもゆっくり動いていると、苦痛の吐息を漏らした唇から赤い舌がちろりと出てくる。
「…これ…すき……」
美しく清純な顔に、淫らな表情が浮かぶ。
次第に自制が効かなくなる。
「エルシー」
グレン王子は愛しい娘を貪った。
-*-*-*-*-*-
夜にもう一話更新します。
――美しい。
かのように美しい人は見たことがない。
少女はグレン王子を見て驚いた様子で目を丸くしたが、すぐに視線を離し、また竜ゲルボルグを見上げ近づいていく。
だがグレン王子は食い入るように少女を見つめ続けた。
エルシーの声に姿に胸が高鳴る。
瞬きすら惜しいと思う。
エルシー・ヴィリアーズは出会ったその場で彼の妻になることが決まったが、心が通い合ってのことではない。
子爵の娘であるエルシーを世継ぎの王子の正妃とするのには、その日のうちに王子がエルシーの純潔を奪う、これのみであった。
妻としての教えも夫としての教えも受けず、心構えの一つもなく、今日出会ったばかりで二人は枕を共にする。
エルシーは愛を捧げられることはなく、グレン王子も愛を誓われることもない。
そういう初夜であった。
エルシーは性交が済んだ後も「痛い」と呪文か何かのようにずっと呟いていた。
可哀想に思うが、何をしていいのかは分からない。
嫌がらないので抱きしめていた。
腕の中でエルシーはグレン王子の肩に頭を置き、しばらくもぞもぞ動いて丁度収まりが良いところを見つけるとすぐに寝た。
静かに寝息を立てたので、おそるおそる髪に触れてみた。
小さい、可愛い、ふにふにしている。
これが手に入るのなら結婚は非常に良い。
匂いを嗅ぐととても良い匂いがするが、かすかに自分が付けた匂いもする。
それはなお良かった。
これは自分のものだ。
***
そうして半年が過ぎ、二人は結婚した。
「ああ、ようやく手に入れた」
グレン王子は、初夜の床で新妻を抱きしめ、ため息と共にそう漏らした。
正式に婚姻すれば自分のものになると考えていたが、いざその日を迎えても実感は薄かった。
やはりエルシーは気に入らないことがあれば、スルリと腕から逃げ出す気がした。
「もう逃げるなよ」
しっかりと抱きしめ直して、念を押すと、彼のお妃は不満げに唇を尖らす。
「逃げませんよ」
エルシーは抱きしめると自分の腕に丁度良く収まる。
157センチメートルと聞いたが、この前一センチ伸びたのだと得意げであった。
可愛い。
「本当だな」
「本当ですよ」
エルシーの声は鈴の音のようだ。
聞いていて飽きない。
「ただ……」
「ただなんだ?もう俺はお前の夫だぞ。捨てるなよ」
「捨てませんよ、失礼な。他にすごいの隠してないですよね?グレン様」
「すごいのとは?」
「どこかの別の国のお世継ぎ問題ですよ。目と髪の次は……何でしょう?歯の生え方とか、指の形?」
「曾祖母も外国の王女だが、その国は王子が多すぎて揉めている。特に身体的な制約があると聞いたことはない」
「そうですか。普通ないですよね」
「普通はないな」
エルシーは何がおかしいのか笑う。
「ふふふっ」
花がほころぶようだ。
グレン王子は、その唇に吸い寄せられるように口付けした。
抱き寄せて夢中でキスする。
「…ふっ……」
長い口付けの後、腕の中でエルシーの唇は、か細く息を吐いた。
「愛している」
一度目の夜にはそれは言えなかった。
あの時は、この胸の疼きが、全身の高揚が、心がざわめくさまが、愛だとは知らなかった。
愛とは、甘美なものと聞いていたが、実際のそれは、心の奥底にしまいこんだものをすくわれるような恐ろしさがあった。
心地良いまどろみから無理矢理目を覚ましたように、世界は急激に変化した。そんなものが、恋だと知らなかったのだ。
エルシーはあの丸い茶色の瞳をさらにまん丸くする。
見る間に頬が赤く染まり、顔をグレン王子の胸にこすりつける。
小さい声でエルシーは言った。
「あっ、あの、私も……グレン様のことあっ、あああ、愛してますよ」
「エルシー」
そっと抱きしめてキスして、そっと抱きしめて小さく柔らかな体を撫でる。
警戒心が強いエルシーは、意に沿わぬことをするとすぐに身を固くする。
だが反面、気を許した者には甘えてくる。
「……グレン様」
ネグリジェの上から体を撫でて、顔や髪に唇を付けるだけの前戯とも呼べないものだが、エルシーは無防備に白い体を預けてくる。
ネグリジェをずらして、肩を撫でてもエルシーは「んっ…」とため息のような声を漏らしただけだ。
きめ細かい肌の感触に夢中になって彼女を抱きしめ、撫でた。
「エルシー」
我慢出来ずに押し倒して、ネグリジェをはぎ取り、肩を撫で、胸元を撫で、腰を撫で回し、尻を揉む。
エルシーの肌は、なめらかで触り心地がいい。
筋肉の欠片もなさそうな柔く、肉の薄い体は、ほんの少しの強さで愛撫を痛がる。
意識して力を抜きやんわり揉む。
コツとツボは何となく覚えてきた。元から騎士として人体については、一定の知識もある。
「グレン様……」
いつになく艶っぽいような声と共に首にエルシーの腕が回る。細い腕に抱きしめられる。
嫌がってない。
思いつく場所は全部キスして、そっと撫で回す。
「そっ、そんなところ……」
と恥じらう姿にそそられて彼女が欲しくてたまらなくなる。
胸をすくい上げ、抱きかかえて乳首を口に含んで舐めて舌で潰してきつめに吸ってと白い胸を弄くり回す。
「きゃっ……あんっ」
と恋した娘は腕の中で嬌声を上げる。
可愛い。
秘所に手を這わすとエルシーが指を掴んでくる。
「ゆっ、指は嫌……」
最初に一度イく方が楽だと聞いていたのでそうしたが、エルシーは嫌がるようになった。
恋する娘が自分の腕の中で絶頂する様には悦びを感じた。
何度も見たい、感じさせたいと思ったが、本人にとって絶頂は苦しいらしい。
確かにエルシーは王都住まいのごく一般的な貴族の娘である。
運動といえば、ダンスか散歩しかしない。
グレン王子は無類と呼ばれるまでに己を鍛え上げた騎士である。
自分に比べて、エルシーの何もかもが小さく華奢で壊れ物のようであった。
グレン王子はこのガラス細工のような娘が好きで好きでたまらないのだ。
彼は壊さないように怯えながらエルシーに触れているが、それもまた楽しいと思えた。
目の縁を赤くしてこっちをそっと伺う。
「グレン様……もうして……」
甘えるように訴えられる。
エルシーは頼み込めば他の体位を試させてくれたので、何度かコトに及んだが、結局二人の好みは正常位だった。
エルシーは抱きしめられる体位を好み、グレン王子はエルシーの顔が見たかった。
夜しかしない表情に、声に夢中になった。
「んっ……」
組み敷かれて男を受け入れると、エルシーは辛そうに喉をそらす。
心配で仕方ないが、同時に眉をきゅっとひそめるその表情には非常にそそられる。
せめてそっと動いてやるくらいしかないが、そういう彼女とは裏腹に膣は男を待ちかねていたように蠢く。
かなり気持ちいい。
「あ……」
それでもゆっくり動いていると、苦痛の吐息を漏らした唇から赤い舌がちろりと出てくる。
「…これ…すき……」
美しく清純な顔に、淫らな表情が浮かぶ。
次第に自制が効かなくなる。
「エルシー」
グレン王子は愛しい娘を貪った。
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