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第二章
04.家族、増えました
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「伯父上、その条件以外は飲めない。無理に我が子をあなたの国に連れて行こうとはなさるな」
王子はキッとしてアルステアの陛下に宣言した。
アルステアのことは何とかなりそう……と思った時、アルステアの陛下は言った。
「では我が子、リーンを託そう。リーン、エルシーは我が国の王の母となる。妙なる秘宝だ。命を懸けお守りしなさい」
「はい、父上」
アルステアの陛下はすごいこと言って、リーン王子もすごい言葉に頷く。
「えっ、あの、リーン王子は駄目です。お国に戻った方が良いと思います」
私はあわてて言った。
リーン王子は六歳か、七歳だ。こんな小さい子が親戚の家とは言え、一人で外国で暮らすなんて可哀想だ。
だが、チャールズ陛下が言った。
「姫、これはアルステアの王の望みなのだ。受け入れてあげた方がリーン君のためだ」
多分、それは王命ということだ。
王の息子であるリーン王子もこれは従わねばならない。
だが、そういうものか?いいのか?
悩んでいるうちに、リーン王子は悲壮な表情で子供らしい声で、なのにとても大人びたことを言う。
「命に代えて妃殿下様をお守り申し上げます。どうかお側にあることをお許し下さい」
明らかに言わされてる感ある。
チラリと見上げると王子はもう怒ってはいない。
いつもの王子に戻っている。無表情で無関心だ。
王子、もうアルステアのことは、どうでもいいらしく、私のこと撫でている。
ということで私は自分でリーン王子に言った。
「あの、じゃあ王子様」
そう言うと頭の上で「何だ?」と王子が反応した。
陛下も周りの方々も反応した。
辺り一帯が王子様か元王子様の巣窟である。
「あっ、グレン様ではないです。リーン王子殿下、一緒に暮らしましょう」
握手するため、手を差し出すと、リーン王子は私に小さい手を差し出し、二人で握手した。
これが本当に良いことなのか分からないけど、リーン王子は少しホッとしたようだ。
「ほら、グレン様も」
せっつくと王子は面倒くさそうにリーン王子に片手を差し出す。リーン王子はそのでっかい手を握り返す。
「では皆で仲良く暮らしましょう」
「妃殿下様、僕のことはリーンとお呼び下さい」
「じゃあ、私のこともエルシーって呼んで下さい」
家族、増えました。
***
混乱はすぐに収まり、「竜の国に続き、アルステアのお世継ぎも望まれるとは、お妃様は責任重大ですな。一刻も早く跡継ぎ様を産まなくては、わはは」
……などと定番なお言葉を皆々様から掛けられる。
花嫁あるあるである。
王子はこういうのに免疫ないらしく、その度にビクッとして私の顔色をうかがう。
「大丈夫ですよ」
と言うと、涙ぐむ。
「本当だな、決して俺を捨てるなよ」
王子はとっても人聞きの悪いことを言う。
宴の他にも今日は王宮の大門が開かれ、一般の人々も自由に出入り出来る。
国中から集まったのではというくらい、色々な民族や変わった服装の人々が庭にひしめいている。
王子と二人、王宮の庭に面した大バルコニーからお集まりの人々に向かってご挨拶し、手を振る。
その後も宴は続く。
夜の晩餐の部が終わり、夜の部のメインイベント、舞踏会が始まる。
舞踏会でファーストダンスと呼ばれる結婚して最初のダンスを二人で踊った後、私と王子は静かに王宮から離宮に戻った。
――初夜なんである。
王子はキッとしてアルステアの陛下に宣言した。
アルステアのことは何とかなりそう……と思った時、アルステアの陛下は言った。
「では我が子、リーンを託そう。リーン、エルシーは我が国の王の母となる。妙なる秘宝だ。命を懸けお守りしなさい」
「はい、父上」
アルステアの陛下はすごいこと言って、リーン王子もすごい言葉に頷く。
「えっ、あの、リーン王子は駄目です。お国に戻った方が良いと思います」
私はあわてて言った。
リーン王子は六歳か、七歳だ。こんな小さい子が親戚の家とは言え、一人で外国で暮らすなんて可哀想だ。
だが、チャールズ陛下が言った。
「姫、これはアルステアの王の望みなのだ。受け入れてあげた方がリーン君のためだ」
多分、それは王命ということだ。
王の息子であるリーン王子もこれは従わねばならない。
だが、そういうものか?いいのか?
悩んでいるうちに、リーン王子は悲壮な表情で子供らしい声で、なのにとても大人びたことを言う。
「命に代えて妃殿下様をお守り申し上げます。どうかお側にあることをお許し下さい」
明らかに言わされてる感ある。
チラリと見上げると王子はもう怒ってはいない。
いつもの王子に戻っている。無表情で無関心だ。
王子、もうアルステアのことは、どうでもいいらしく、私のこと撫でている。
ということで私は自分でリーン王子に言った。
「あの、じゃあ王子様」
そう言うと頭の上で「何だ?」と王子が反応した。
陛下も周りの方々も反応した。
辺り一帯が王子様か元王子様の巣窟である。
「あっ、グレン様ではないです。リーン王子殿下、一緒に暮らしましょう」
握手するため、手を差し出すと、リーン王子は私に小さい手を差し出し、二人で握手した。
これが本当に良いことなのか分からないけど、リーン王子は少しホッとしたようだ。
「ほら、グレン様も」
せっつくと王子は面倒くさそうにリーン王子に片手を差し出す。リーン王子はそのでっかい手を握り返す。
「では皆で仲良く暮らしましょう」
「妃殿下様、僕のことはリーンとお呼び下さい」
「じゃあ、私のこともエルシーって呼んで下さい」
家族、増えました。
***
混乱はすぐに収まり、「竜の国に続き、アルステアのお世継ぎも望まれるとは、お妃様は責任重大ですな。一刻も早く跡継ぎ様を産まなくては、わはは」
……などと定番なお言葉を皆々様から掛けられる。
花嫁あるあるである。
王子はこういうのに免疫ないらしく、その度にビクッとして私の顔色をうかがう。
「大丈夫ですよ」
と言うと、涙ぐむ。
「本当だな、決して俺を捨てるなよ」
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王子と二人、王宮の庭に面した大バルコニーからお集まりの人々に向かってご挨拶し、手を振る。
その後も宴は続く。
夜の晩餐の部が終わり、夜の部のメインイベント、舞踏会が始まる。
舞踏会でファーストダンスと呼ばれる結婚して最初のダンスを二人で踊った後、私と王子は静かに王宮から離宮に戻った。
――初夜なんである。
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