私の生きる場所を見つけるまでの物語

お米育ち

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4.ルーカスは

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 ルーカスがフェイを拾ってから数日後。
 
 ある日の夜半前、宿の窓辺で丸くなっているフェイを眺めて、ルーカスはフェイとの今日までの出来事について考えていた。
 
 ――フェイは猫としてだいぶ異質な存在ではないか?
 ――本来であれば主食であろう、虫や生肉を絶対に食べたがらない。魚は生でも平気なようだが、肉は火の通ったものを好んで食べているようだった。それに、グルーミングが下手にもほどがある。あれでは汚れが溜まる一方じゃないか。

 いつだったか、ルーカスはフェイに対しグルーミングをしている姿を見たことがないと思い、直接聞いてみた。フェイは若干の間の後に渋々といった様子で前脚を舐め始めたのだが、少しするとフェイが口を開けてもがき始めた。
 ルーカスはただ事ではないとフェイの様子を確認すると、フェイの口の中にはグルーミング中、口に入ったであろうフェイの長くて白い毛が多く残されていた。ルーカスはフェイの口に指を入れて毛を取り除いてやると、フェイは息も絶え絶えといった表情でうつ伏せになり、ルーカスを恨みがましそうに見ていた。

 ――あの後は機嫌を取るのが大変だったな……。なんとか、俺がフェイの体を洗うことで許してもらえたが、よく病気にならなかったものだ。

 最初は渋っていた宿屋の主人も、手当てがされて元気になったフェイを見て厨房以外であれば宿の中を連れまわしていいと許しを得られた。おかげで今や他の宿泊客からも人気の存在となっている。
 人気になるのも当然だとルーカスは考える。フェイは光を浴びると白銀のような長い毛がちらちらと煌めくうえに、蜂蜜のような透明感のあるアンバーの瞳が毛色と合わせて神秘性を引き上げている。そんな不思議な存在感を持つ猫が、人懐っこく接してくれるのだから。
 
 ――今はまだカンがいいと思われる程度で済んでいるが、長時間接していればおそらく人の言葉を理解している特異性はバレてしまうだろう。

「早めに予定を終わらせるとするか……」

 ルーカスが呟くと、フェイが耳を傾け近寄ってきた。
 フェイを抱きかかえるように持ち上げ、ルーカスは聞かせるように話し始めた。

「俺は明日の朝、街の南の森にあるとされている、光る湖を探しに出ようと思う」
「フェイは出会ったとき葉っぱやら泥やら大量に付けていたが、もしかしてそこの森の出なのか?」

 ルーカスが問うと、腕の中のフェイはこくりと頷いた。
 
「……そうか、よかったらフェイに案内を頼めないか?」

 抱きかかえられたフェイは「にゃあ」と機嫌よさそうに鳴き、尻尾を器用に揺らして返事をしてきた。

「ありがとう、じゃあ今日はしっかり寝ないとな。」

 ルーカスは抱きかかえたままベッド入り、フェイを自身の枕元に下ろした。

「明日戻ってくるときフェイに渡したいものがあるんだ。楽しみにしていてくれ」
「それじゃあ、おやすみ」

 ルーカスはベッドサイドの照明を消し、明日に備えて目を閉じた。
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