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5.フェイは(2)
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どれぐらい経ったのか、山の斜面が険しくなりルーカスの息が上がり始めていた。フェイはそろそろ着くはずだと付近を見渡すと、ポツンと朽ちた木の看板が見えた。
フェイが急かすように鳴くと、ルーカスもそれに気づいたようで看板へ向かった。
ルーカスと共に看板にたどり着くと眼下には吸い込まれるような透明度の湖が広がっていた。フェイは湖の反対側にある浜辺を確認しながら道のりの長さに溜め息を吐いた。
――ここからでも魔法使いさんと話せればいいのに。
そんなことを思いながら隣を見上げると、いきなり現れた湖に驚いたのか、ルーカスは目を見開いて湖を眺めていた。
「…………これはまた随分と深い湖だな……」
しばらく呆然としていると、ルーカスは看板に目を向けて呟いた。
「この看板はなんて書いてあったんだ……?この湖のことが書いてあったのか?」
看板とにらめっこしているルーカスを眺めていると、足元から何かがひび割れるような音がした。
自身の早まっていく心音と共に、音を詳しく聞こうと固まっていると、その音はどんどん大きくなっていき
視界が揺れた。
次いで浮遊感が訪れた。
『え』
途中で何かに引っ張られた感覚がした後、全身に衝撃が襲った。
何が起きたかわからないまま、息ができず無我夢中で手足をばたつかせようとすると、何かががっちりと自身の体を押さえつけていて満足に動かすことができずにいた。さらには重みでどんどん沈んでいるようだった。
何に押さえつけらえてるのか確認するために目を開けると、そこにはルーカスがいた。
そこでフェイは崖から落ちる時、ルーカスに引っ張られて庇われたのだと気が付いた。よく見ると、ルーカスの体から水に血が染み出ているようであった。
――どうしよう、どうしよう、どうしたら……!
フェイはなんとかルーカスを水面に連れて行きたかったが、動けない。
もがけばもがくほど空気が出ていき、とうとう口からゴボッと空気が浮かんで行ってしまう。
――苦しい。くるし……誰か……誰…………か………………。
目の前が霞んで瞼を閉じたとき、どこからか男性と女性の中間のような声が水中に響いた。
「おや、今日は来客がある日だったかな?」
「ぐっすり眠っていたらお客様を待たせてしまっていたようだね」
そこでフェイの意識は途絶えた。
フェイが急かすように鳴くと、ルーカスもそれに気づいたようで看板へ向かった。
ルーカスと共に看板にたどり着くと眼下には吸い込まれるような透明度の湖が広がっていた。フェイは湖の反対側にある浜辺を確認しながら道のりの長さに溜め息を吐いた。
――ここからでも魔法使いさんと話せればいいのに。
そんなことを思いながら隣を見上げると、いきなり現れた湖に驚いたのか、ルーカスは目を見開いて湖を眺めていた。
「…………これはまた随分と深い湖だな……」
しばらく呆然としていると、ルーカスは看板に目を向けて呟いた。
「この看板はなんて書いてあったんだ……?この湖のことが書いてあったのか?」
看板とにらめっこしているルーカスを眺めていると、足元から何かがひび割れるような音がした。
自身の早まっていく心音と共に、音を詳しく聞こうと固まっていると、その音はどんどん大きくなっていき
視界が揺れた。
次いで浮遊感が訪れた。
『え』
途中で何かに引っ張られた感覚がした後、全身に衝撃が襲った。
何が起きたかわからないまま、息ができず無我夢中で手足をばたつかせようとすると、何かががっちりと自身の体を押さえつけていて満足に動かすことができずにいた。さらには重みでどんどん沈んでいるようだった。
何に押さえつけらえてるのか確認するために目を開けると、そこにはルーカスがいた。
そこでフェイは崖から落ちる時、ルーカスに引っ張られて庇われたのだと気が付いた。よく見ると、ルーカスの体から水に血が染み出ているようであった。
――どうしよう、どうしよう、どうしたら……!
フェイはなんとかルーカスを水面に連れて行きたかったが、動けない。
もがけばもがくほど空気が出ていき、とうとう口からゴボッと空気が浮かんで行ってしまう。
――苦しい。くるし……誰か……誰…………か………………。
目の前が霞んで瞼を閉じたとき、どこからか男性と女性の中間のような声が水中に響いた。
「おや、今日は来客がある日だったかな?」
「ぐっすり眠っていたらお客様を待たせてしまっていたようだね」
そこでフェイの意識は途絶えた。
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