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感情薄めな剣聖と狂宴の道化師

食事をしたいだけなのに何故こんな事に…?

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“ガヤガヤガヤガヤ…”


本日も大人気なギルドの飲み場。


クエストに出る前の景気付けであったり、お疲れ様会だったりと色んなグループが入り乱れている。


まぁ、俺もその1人なんだが…


ようやくクエストが終わり、こうして飯にありつこうとしていたところだ。


…だがまぁ、思った以上に疲れていて、あまり食べれてないが。


「あら、シャール。どうかしたの?。あまり食べてないみたいだけど…」


マリーナが意外そうに問いかけてきた。


「ちょっと疲れがな…一息つける時だってのに…」


「腕が動かないって話なら、食べさせてあげるわよ?」


「いや、それは遠慮しとくわ。疲れてるのは本当だか、何も手が動かないほどってわけじゃないし」


それに、いくら何でも恥ずかしい。


主に俺が。


「あら残念」


「俺みたいなので残念がるなよ…」


マリーナみたいな美人から食べさせてもらうとか、憧れてるやつも多いというに…





さて。


「毎度の事だが、いつの間に来たんだ?」


「秘密っ~」


…まぁ、今までも話してくれた事ないからいいけどよ。


気がついたらいらっしゃるんだよなぁ。


この魔女様は。


「てか、来てたんなら声かけろって。何か飲み物でも……いや、もう頼んでるか」


と、すでに彼女が手に持つグラスを見ながら呟いた。


「えぇ~、コクの実のワインいただいてるわぁ~」


「あぁ、コクの実の…ってこら、また原液で飲んでっ……はぁぁぁぁ」


一緒に渡されたであろう水が一滴も減ってねぇ…


そして、ワインの残量が…


もう1杯や2杯程度の話じゃないな、これは。


「いいじゃな~い。こっちのが口に合うんだから~」


「いや、口に合う合わないの問題じゃなくてだな…」


単純に危ないって話だよ。


コクの実のワインはかなり色々と“強い”。


本当に薄めてなんぼの飲み物だってのに…この魔女様は。


「はぁ…まぁいつもの事だし、今更か」


「そうそう~」


「いや、認めるなって……やれやれ」


ただまぁ、マリーナの事だから大事にはならないようにしてるようだし…


…規格外な魔女様に刃向かうのも無駄だな。


「んんっ…それで~シャールっ。今日のクエストどうだった~?」


「ん…どうだったって言われても、いつも通りだが?」


単に採取クエをそつなくこなしてきただけなんだが?


何か引っ掛かることでもあるのだろうか?


「あら、そうなの?」


「そうなのって…一体何を期待してんだよ、魔女様は」


「ん~~、あなたの事だからまた何か厄介毎に巻き込まれたりとかしてるんじゃ無いかなぁって」


失敬な。


「おい、いつも厄介毎に巻き込まれてるように言うんじゃありませんっ」


どっちかっていうと振り回されてるの俺だからなっ?


誰が原因とは言わんがっ。


「えぇ~」


「えぇ~じゃねえよ……てか、道化師に何を求めてんだか…」


評判が悪いのはご存知でしょうに…


「え~、シャールが有能だって、以前の騒動から広まったじゃない」


「以前…あぁ、マルチポイズンスライムの時か……出来る事をしただけだよ」


「出来る事として十分すぎる事をしてるじゃないのよ。それとも、そんな意味の無い事だったって言いたいのかしら?」


意味のない事…か…


「いや、そうじゃないが…てか、極端すぎるだろ。あれはあれ、それはそれだよ」


確かに、前よりかは親しみやすくはなった気もしなくはないが…


それでもあくまで一部での話だ。


全員がガラリと変わったとかではない。


むしろそうなったらなったで不気味でしかないんだが…


「そもそも、あれ自体には賛否両論あるだろ?。それに全員がその場にいたってわけじゃねぇし…」


「それはたしかにねぇ」


「まぁ、実際どんな状態なのかは聞き耳立ててみればわかるさ」


「ん~?」








「何であいつがマリーナさんとっ…」


「相変わらずの寄生なようで…」


「何か活躍とかあったらしいけど、結局勇者達の活躍に便乗…」


「でも、マジで英断だったらしいよ」


「真実はどうかね~?」







「ほらな、わかったろ?。人の評価なんてそうそう変わりはしないんだよ。確かに、インパクト強めな話だったが、それはそれ」


「…」


「まぁ、人命が関わった出来事だったから、耳には入ってるだろうが…100%信用するかも別問題だ。それに、道化師が頑張っただけじゃなく活躍したなんてそう簡単に信じられるわけ」


「“舞い散れ、狂乱の風”」


“うわぁぁぁぁぁ!!?”


「ちょちょちょちょッマリーナさんッ!?。何杖掲げながら詠唱始めてるんですかッ!?」


「ん~?。そりゃ、体に教え込むためじゃない」


何を?、とは言うまいて。


「いや、する必要無いからっ。そういう人だって少なからずはいるんだし、ほっといたって」


「私が気に入らないから潰す。それだけよ」


「いや、発想が物騒っ!」


“ビュゥゥゥウッ…!”


「いやてか風の吹き荒れがひどッ…えっ、上級とか唱えたっ!?」


「いいえ、上級魔法じゃ無いわよ」


「そ…そうかっ…いや、流石にこんな場所でエグい魔法は」


「でも、これ連鎖魔法だから、最終的には上級以上にはなるわね」


「今すぐ止めろそんな物騒なのッ!!?」


そして俺は、許そうとしないマリーナを何とか宥めつつ、周りに対して謝罪と注意喚起を行うという…食事とは程遠い行動をとるのだった。





…いや、どうしてこんな事に?


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