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外伝

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「な……何が、したい?」

 意味が分からない。贄とはこういうものだったか?
 混乱している私に、人間共の方が疑問を浮かべた。
 そんな顔をされる謂われはないぞ!

「え、俺たちって性欲処理用のイケニエなんでしょ? 務めを果たそうと思って」
「どういう、内容なのかは……主を待っている間に、エルマから聞いた。精一杯努めさせて頂く」

 一方はへらりと笑って、もう一方は渋面ながら至極真剣に、それぞれが答えてきた。
 ……初耳なんだが!?
 更に混乱が深まる私を置いて、銀の雄が両肢をそっと、慎重ながらも躊躇わずに押し広げてきた。

「っま、待て人間……っ!」
「やだなあ、ちゃんとウルススって呼んであげて。イケニエだって一応個性は持ってるんだからね!」

 広げられた足の間に顔が近付いてくるのを見て、情けなくも悲鳴のような声で叫んでしまった。
 背後から軽い声で咎めを受け、顔を掴んで振り向かされる。
 だから、人間に気安く触れられる筋合いはないと……!

「俺の名前は? ちゃんと覚えてる?」

 馬鹿にしているのか。エルマだろう。
 そのくらい覚えている。

 睨み付けると、雄――エルマが笑った。
 人間の、よく食事できるものだと感心していた、小さすぎる口が私の口に触れてくる。

「っ…………!」

 驚きのあまり、うっかり頭を吹き飛ばしそうになる。
 ギリギリで堪えれば、今度は下肢にぬるりと濡れた感触が接触してきた。

「ッウ、ウっ!?」

 咄嗟に体を反らそうとした拍子に、牙が人間の口に当たって血の味が滲んだ。
 痛みが走ったはずだが、傷付いたはずの雄はますます顔を引き寄せてくる。

 これ以上、魔王様から頂いたものに傷を作るわけにはいかない。
 口を大きく開いて、小さい頭に噛み付いてしまわないようにする。

 何故か、嬉しそうに笑った音が聞こえた。
 人間よりもかなり長い舌の先を、小さな口に咥え込まれる。

「ッぅ、ウウ……っ!?」

 混乱しながらも、今口を閉じたら傷が付くどころでは済まない。
 口端から涎が流れるままに開き続けるしかない。
 下肢では、性器を収納しているスリットに何度か触れた何かがぬるりと押し入ってきた。

「ア゛ッ、ウウッ!」

 経験したことがない感覚に、ガクリと腰が揺れた。
 ぬるぬると蠢きながら入ってきて、じゅっと音を立てて吸い付かれる。
 そこでようやく、舌が差し込まれたのだと気付いた。

「ァ゛ッ、ャ、ヤめろ……ッ! ンッゥウうッ!」

 いつか伴侶を得るまで触れるはずがなかった場所へ、不躾にも押し入られている。
 酷い屈辱と混乱が、視界をぼやけさせた。
 今すぐ吹き飛ばしてやりたいが、そんなことをしたら壊してしまう。

「……なんか反応がすごく……あれ、もしかして……誰ともヤったことない?」

 あるわけないだろう! 何人とでも交わる人間と一緒にするな!
 侮辱された気分になって、眦がつり上がる。

「えー、初物のご主人かあ。ちょっと嬉しい。お前と一緒だね、ウルスス」

 金の雄――エルマが、私のスリットを無遠慮に舐めている雄に声を掛けた。
 何だと、初めてでこんなことをしているのか……!?
 益々混乱する私を他所に、答えは返さなかったウルススが指を添えてきた。

「まっ、てッ、それ以上……!」

 慌てて制止しようとする。
 言葉は間に合わず、舌が挿っている割れ目にぐっと指も押し込まれた。
 一本かと思えば、続け様に背後からも腕が伸ばされて白い指も押し込まれる。

「ッヒ、グ! ゥッ、っァ゛あ!」

 そのままバラバラに内部を掻き混ぜられて、下腹の辺りが熱くなる。
 ムクムクと大きくなる感覚がして、内部が空気に触れるような不思議な感覚がした。

「あは、出てきた」

 表皮に弾んだ人間の声が触れ、スリットの奥から露出した性器に触れられる。

「これが……」

 露出した勢いで飛んだ分泌液を顔に付着させたウルススは、驚嘆の声を漏らしてもう一本の性器に触れてきた。
 一方は手馴れた様子で、一方は拙く、思い思いに扱き上げてくる。

 竜人は、龍同様に二本の性器をスリットの奥に秘めている。
 今まで何とも思っていなかったが、二つの手にバラバラに弄られるなら一本の方が良かったのではないかと初めて感じてしまった。

「ッァぐ、ぐうウッ! ヤ、めッ、触るでない……ッ!」

 どちらの頭も体も掴むわけにはいかず、シーツを握って堪える。
 魔法? そんなもの、手が滑ってペシャンコに潰してしまう予感しかせぬわ!

 ぐい、と腰を押されて体が前のめりになる。
 浮いた腰に、小麦色の腕が巻き付いてきた。

「ッゥッアアっ!?」

 ずぷり、と性器が何かに呑み込まれた。
 何だ!? 何が起こった!
 確認しようにも、両肢の間に顔を埋めている雄が邪魔で何も見えない。
 熱い粘膜に、一本だけだが性器が包み込まれてぬるりとしたものに巻き付かれる。

 残されたもう一本には、硬いものが何本も絡み付いてきた。
 これは……人の、指か?
 堪らず、人間の背中に抱き着くようにして体を丸める。
 すると、自然と浮いた尻につるりとしたものが触れた。

「ハッ、ァう……ッ!?」

 性器に巻き付いているのと同じ、ぬるぬるとしたものが後孔に押し込まれてくる。
 さっきスリットの中を舐め回してきたのと同じ、短くも熱い感触だ。
 つまりこれは、人間共の舌か!

 気付いて愕然と目を見開く。ま、前はともかく何故後ろまで……!?
 混乱が頂点に達している私を余所に、後ろへ硬く細いものも押し込まれてくる。
 これも覚えがあるぞ……指、か?

「ウルスス、もっと深く咥えて差し上げなきゃ。そんなんじゃいつまでもご主人がイけないよ」
「ッぐぅ゛っ」

 混乱しすぎて、現状を無意味に解析していた。
 ふと蹲っている人間と私の腹の間に、白い腕が割り込んでくる。
 股間部に埋もれている顔がぐっと押し込まれる気配がして、性器が一層深く熱い粘膜に包み込まれた。

 苦しげな呻き声が響く中、私も背筋を丸めてぐっと息を詰める。
 勝手に喉から高い声が漏れていた。

 刺激が強すぎる。
 後ろの激しい違和感を呑み込むほど、ぬるぬるとした場所に包み込まれる感覚が激しい。

 腰が溶けそうだ。
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