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旭陽生誕6 おまえが足りない

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「ッぅ゛、ァ、ぁ……っ」

 そっと唇が重ねられて、おそるおそる舌が挿し込まれてくる。
 慎重な動きでも、狂わされている最中の体はまた酷い絶頂に陥った。

 ぼたぼたと新たな涙を落としているおれに、イっていると理解したらしい晃が困っているのが伝わってきた。
 できるだけ摩擦が少ないように気を付けているのが分かる緩慢な動きで、痙攣している舌をそうっと押さえられる。
 泣き声も碌に出せない喉へ、息が吹き込まれてきた。

「ッヒ、ぅ゛、ぁアッあ……っ!」

 まともな呼吸を取り戻させようとしてくるだけの行為にも、イき続ける体は反応する。
 ガクガクと痙攣している腕に、ふと思い出したように指が触れてきた。

「ぁ、あ゛、ア……ッ」

 重い頭を無理矢理動かして、否定の仕草を示す。
 僅かな動きに気付いた晃が、微かに息を飲むのが聞こえた。

「でも、旭陽……」
「ぃ……ぃ゛ッ、……ら、ぁ……っ」

 いい。外さなくていい。そのまま。
 今拘束を解かれたら、弾みで魔力まで暴発させちまいそうだ。

 晃におれの意思以外で傷負わせるよりは、ずっとマシだ。
 このままで、いいから。

「ぃ……ぇ゛、ろ……ッ」
「…………え!? でも……っ」

 呂律が回らない。
 碌な言葉が出てこないが、視界が全く利かない目で見上げれば遅れて晃が驚きの声を上げた。
 伝わったみてえだな。

「旭陽、さっき凄い痙攣してたんだぞ!」
 それはいつも最後はそうなってんじゃねえのか……

「いや、いつもよりなんか……苦痛がずっと勝ってるって感じに見えて……」

 何言ってんだと思っていれば、困惑声で晃が続けた。
 そりゃな。晃がやりたくてイかされまくってんのと、晃が望んでねえところからイかされまくんのとじゃ違えんだよ。

 元々、おれにとっちゃ他から勝手に押し付けられるってだけで酷え苦痛なんだから。
 おまえが特別なだけ。
 なんて、おれと晃自身について以外は把握してねえ男が想像できるわけもねえんだが。

「だから、今日は……」
「ゃッ……ぁ……ぃ、らっ……!」

 帰って休もう。
 そう促してこようとする晃を遮って、体を寄せようとする。

 身じろいだだけでも快感が弾けるが、晃の体温が足りねえほうが遥かにでかい。
 このまま気ィ使われながら抱き上げられて、ベッドで体が収まるまで一人悶えてろって?
 御免に決まってんだろ、ンなこと。

 キツい時こそ、おまえの体温が必要だって何度言わせりゃ覚えんだ。

「ッ、……ぇ゛……挿、……れッ、……て、ぇッ……っぁ、き……ッ」

 どうにか足を動かそうとするが、自分の意思じゃもう四肢を操れない。
 壊れた涙腺は、たったそれだけの事にも新たな雫を滴らせた。

 晃が欲しいのに。
 唇に歯を食い込ませていると、晃がふらりと上体を倒してくる。

「ぁ…………」

 あきら。
 名前を呼ぼうとして、見上げた先の丁子染に言葉を忘れた。

 もう正気を取り戻したはずなのに、さっきよりもずっと鋭さを増した熱が渦巻いている。
 怒っているように見えるが、そうじゃねえのは知ってる。

 これは、欲情している目だ。
 ……それも、理性が一気に焼き切れた時の。

「ぁっ、…………ッ」

 カッと腹の奥が熱くなる。
 犯したくてぐちゃぐちゃに乱して泣かせたくて堪らない、って瞳の底から語りかけられて。
 晃の熱が染み込み切っている胎が、早く食われたくて堪らないと一気に疼きを思い出した。

「っは、ぁ、ンぁあッ……!」

 背筋が勝手に仰け反った。
 びくびくと震えるおれに、晃が低く喉を震わせる。

「イったの、あさひ。……何も触れてないのに、俺の視線だけでイったんだな」
「っぁ゛、ア、言っ……な、ぁッ……!」

 晃の言葉に、首から上に快感とは別の熱が集まってくるのを感じた。
 とろりとまた逸物が精を零した。

 つつ、と熱い指が腹筋を辿ってくる。

「ひ、ぁ、あっ……ッ」

 違う。
 ナカに欲しい。外も中も、おまえの熱を寄越せよ。
 腰が揺れれば、晃が甘ったるい吐息を零した。

「ッンぁっあ……!」

 全身に覆い被さられて、擦れ合う肌の温もりにまた新たな絶頂が広がる。
 さっきよりずっと、きもちいい。
 満足と――少しの安堵に息を吐けば、嚥下の音が頭上から降ってきた。

「ッぁ、ァッ……~~~ヒッぁ゛ああァアあ゛ーーッッ!!」

 一気にアナルを抉じ開けられて、激しく精が噴き上がった。
 悶えた体が押さえ込まれることはなかったが、すぐに引き戻されてますます深く咥え込まされる。

「ッかっぁ゛ッ、ぁヒッ、ひぅ゛ゥあッ……!」

 苛烈な絶頂に喉が痙攣すれば、唇に噛み付かれて舌を深く絡め取られた。

「ぁ゛ッァ、ンぅッう゛ー……ッ!」

 舌腹同士を擦り合わせられて、ガクガクと腰が震える。
 分かってはいたが、何をされてもいつも以上に強い絶頂が襲ってくる。

 きつい。だがやめろとは思わない。
 きもちいい、から。もっと、あきら。

「ッンぁ゛あっ! ひッうっ、ぁあアッ!」

 言葉が出せなくとも、欲しいと思えばすぐに晃は反応した。
 舌を吸い上げながら、ずりずりと腹のナカを擦り上げられる。
 胎の奥に熱い迸りを叩き付けられて、バチッと視界が弾けた。

「ッぁ゛っぁあーッ! っひゃぅッ、ァッ、ぁ――ぁ゛ヒぃっ! はっぁ゛ああッ!」

 激しい絶頂に全身が跳ね上がる。
 意識が飛びそうになれば、力強く捻じ込まれて次の絶頂に叩き起こされた。
 息もできないほど泣きじゃくりながら身を捩れば、抱き寄せられながら息を口移しに吹き込まれる。

 今はそれが、欲しかった。
 頭も体も、晃の意思で狂わされてえ。
 おれの願いを理解しているかのように、変質が終わるまでずっと、いつもよりも手加減なく犯し抜かれた。
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