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旭陽生誕5 儀式と伴侶(視点切替)

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「~~~ッぁ゛ああアァあ゛ーーッ!」

 バチン! と耳の奥で大きな音が響いた気がした。
 勢い良く吹き上がった精液が、晃の喉奥に叩き付けられていく。

「ッヒっぃい゛あッ! アッゃああーっ! 吸っ……っ、ぁ゛ッ! の、ぅ゛、なッァあ……っ!」

 全て飲み尽くそうと狭まってくる喉奥に、吐き出している最中の先端が締め上げられる。
 跳ね回ろうとする腰は、晃に掴まれて何処にも逃がせないよう固定された。

 あ、あ、クソッ、またトぶ……!
 意識が途切れそうになって、次の絶頂に叩き起こされる。

「っああ゛ーッ!」

 ひくつくアナルに捻じ込まれた指が、ナカを乱暴に掻き回してくる。
 今日初めて触れられたのに、晃を求めていた場所は喜んで細い指に絡み付いていった。

 大量に滴る涙で、目の前が霞んでいく。
 ここまで影響出るって知ってたら、入り口んとこまでで引き返させてたものを。


 歴代の魔王とその伴侶がねむる場所。
 勿論その場所についても、そこで交わす口吻けの意味についても、説明されるまでもなく本能で理解していた。

 公に知られている儀式はあくまでも補助的なもの。
 魔王の血を引かねえモンが正式の王と同格になる為、本当の儀式を行なう場所はその『ゆりかご』の前だ。

 初代から脈絡と続く王たちの魂の前で、伴侶として体液を交わす。
 傷口から一滴の血を交わすのでもいい。
 晃が選んだように、口吻けを交わすのでもいい。

 互いの体液を交わした時、本質的に“魔王の伴侶”として世界に刻み込まれる。
 国で行なう儀式は、まだ伴侶になってねえ存在へ一時的にここに踏み入る許可を与えるものだ。
 入っても死んじまうようじゃ、誰も伴侶になれねえからな。

 ……晃は、自分で魔王であることを選んだ。
 仮におれがこの世界から消えれば、正しくゆりかごにも認識されるだろう。
 だがおれがこの世界にいる以上、真なる存在として選ばれるのはおれだ。

 晃は魔王でもあり、“魔王の伴侶”でもある。
 そしておれと共にいる以上、世界からの認識としては伴侶側が優先される。
 まだ儀式を交わしていない、魔王であり魔王の伴侶でもある存在。

 バグった空間に晃が攻撃されそうになってんのを抑えるのは、魔力の大半を晃に渡している状態じゃなかなか面倒だった。
 そっちに気ィ取られてて、他のことを分析してる暇はなかったんだが……
 まさか、こんな激しい変質を齎すもんだとは。

 多分これも、本来なら儀式で抑えられるはずの副作用だ。
 それをすっ飛ばした結果、晃の魂は今とんでもない勢いでおれに染まっていってる。

 今まで散々手ぇかけてきて正解だった。
 元々芯がおれの色に染まってなきゃ、衝撃で魂が歪んでたかもしれねえ勢いだ。

 それでも晃に雪崩れ込んでいこうとする衝撃は、元が人間の魂じゃ到底耐えられねえだけの勢いが残っている。
 おれならまあ死にゃしねえと引き寄せたのはいいが……何で感度に変換されてんだ、これ。


 疑問には思っても、手繰り寄せる力を緩めるわけにはいかない。
 ほんの僅かに飛び散った残滓だけでも、晃は目の色を変えて半ば正気を飛ばしかけている。

 晃の魂に残った、『元人間』が『魔王の伴侶』に全て塗り替えられるまで。耐える以外、ねえ。
 ぐっと歯を噛み締めようとしたが、下肢から弾けてきた絶頂の膨大さに口が勝手に開いた。

「ッッぃ゛ッ~~っァアあ゛あああ゛ーーッっ!!」

 ガクガクガクッ!
 全身が大きく痙攣して、晃の咥内へさっき以上の勢いで吐精する。

 か、みやがった……!
 ただでさえ全身が性感の塊のようになっているのに、性器へ牙を突き立てられて目の前がぶれる。

「ッひ、ぁ゛っ、ぁヒッ……っ」

 体が揺れる度に、背中を花弁が柔らかく擽る。
 それにも絶頂しちまうのが嫌で背中を逸らそうとすれば、晃が腰に指を食い込ませてきた。
 おまえを拒否してんじゃねえと言いたくとも、悲鳴以外の声が出てこない。

 息が吸えねえ。
 勝手に跳ねる腕が晃の服に縫い留められる、拘束されているだけの感覚にも射精を伴わない絶頂に陥る。
 どうにか呼吸しようと胸が上下するだけでも、前にも後ろにも快感が響いて精が零れる。

 鈴口を舌先で抉られて、ぶしゃりと潮を吹いたのを感じた。

「かっ……ッァ゛っひゃぅう! ぁっめ、あアぁあ゛ーーッッ!! あ゛ぁぅう゛ッ!」

 ずるりと指が抜けていったかと思えば、一気に四本に増えてぐちゃぐちゃに掻き回してくる。
 牙を立てられた場所に歯が食い込み、強い力で血を吸い出された。

「ぅあ゛ッアあッ! がッぁ゛、あ、ぁ゛、ぁ゛ー……っ!」

 がちがちと煩い音が頭に響く。
 上手く噛み合わせられない歯が鳴るのを抑えられない。

 晃から注がれる絶頂と、晃と魂が繋がっていく快感。
 暴力的な二つの性感に挟まれて、何度も意識が弾けてはまた引きずり戻される。
 何度も全身が跳ね、晃にますます強く吸い上げられた。

 晃と晃以外の気配がする快感が混ざると、ここまで頭ん中ぐちゃぐちゃにされるもんなのか。
 耳鳴りがする。
 体の輪郭がわかんねえ。

「っぁ、ヒッ、かっ……ひゅっ、ッ゛……ひ、ぐっ、ぁ゛ぅ、うっ……ぁ゛、ぃ゛、ぁ……っ」

 あきら、あきら。
 イき方が深すぎて、逆に感覚が遠い。
 あきらの熱が感じれねえ。
 きつい。つらい、あき、あき、ら――

「――旭陽!?」

 ふとあたたかいものが触れて、背中を引き上げられた。

「っぁ゛……ッが、ッ゛、っ……」
 硬直している体が、覚えのあるぬくもりに包まれる。

「旭陽、あさひ、大丈夫かッ? あさひ……っ!」

 焦っている晃の声が、意識へ微かに届く。
 あきら。
 いつの間にか、下肢を飲み込まれている感覚はなくなっていた。

 晃が焦っている。
 そりゃそうだろうな。咥えられるのも、牙でそこを貫かれるのも、何度か経験してきたことだ。
 まさかここまで追い詰めることになるとは思ってなかっただろう。

 ……いや、普段のイき方とは違うって悟ってんのかもしれねえ。
 おれのことに関してだけは、やけに鋭いやつだからな。

「ぁ゛……ゥ……っ」

 あきら。
 名前を呼びたくても、痙攣するばかりで舌が動かない。

 もどかしさを感じていれば、察したのか晃から唇を落としてきた。
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