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【第二章 第一部】
第六話 明火の森
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さきに街の配送業務補助をこなしてから、ファイアバードの縄張りへと行くことにした俺たち。ローベルト湖の聖水の汲み上げは日取りが決まっているので、後回しだ。
道すがら、ピピは色々なことを教えてくれる。
おもに中層街に関してだが、このドーナツ状の市街は、東西南北で別れており、それぞれ西は工業区、南は住宅街、東は商業区などに別れているらしい。
工房を構えるような《武器屋ドムリエル》のような店舗は工業区に位置していたりと例外はあるが、おおむねそんな感じで、ちなみに北は……あまり言うのがはばかられるような店などや、ならず者どもの街になっているのでなるべく「行っちゃダメ」と釘を刺された。
今いる商業区でまず目に付くのは露店市の存在だ。専用の広場として解放されている部分があり、そこでは多くの人間がシートの上で出店を広げている。
気になった俺はピピに尋ねてみた。
「なぁ……あれは俺たちでもできるのか?」
「できる。ただ、変な物を売らないように街の衛兵が目を光らせてるから下手なことをしたらしょっ引かれる」
「俺、装飾品細工師なんだよね。ああいうところなら店を持たなくても金は稼げるかもな」
「そうなの? どんなものがある?」
ピピが興味を持ったので、俺は荷物の中からケースに収めた装飾品を出して見せた。
細工師ギルドを追い出されてから数か月。その間にいくつか魔物素材の装飾品が作成できている。
《★★★★ 赤牙のチョーカー(装飾品)》
スロット数:2
基本効果:力+30、火炎耐性+10
追加効果:【力+20】【火傷耐性(中)】
《★★★★★ 輝き砂のガラスリング(装飾品)》
スロット数:3
基本効果:体力+50、大地耐性+30
追加効果:【-】【物理攻撃耐性(中)】【体力自動回復(小)】
《★★★★ センチピード・シューズ(装飾品)》
スロット数:2
基本効果:体力+30、大地耐性+10
追加効果:【転倒防止】【移動力上昇(小)】
……などなど。
銘は入れていないが、自分だと分かるように名前の頭文字を目立たないところに入れたそれらを一目見て、途端に彼女は渋面になった。
「売れないと思う」
(きっつ……)
短いが、地味にショックを受けることを言ってくれた。
このセンチピードシューズなど、センチピードの堅い甲殻を生かしつつしなやかな履き心地にするのにかなり心血を注いだというのに……確かにリュカなどには『黒くてカサカサする虫っぽくてちょっとやだ』などと酷評されたが。
「悪い品じゃないと思うんだがなぁ……」
がっかりきた俺は、いそいそとそれらをしまい込む。
だが、彼女の言葉は思っていたのと違う評価だったようだ。
「逆。品質が良すぎる……そんな物買えるような人、あんなとこに来ない」
「ん? せいぜい金貨十枚くらいのつもりだったんだが……そうか、高いか。五枚くらいにしとくか」
するとピピがごほっとむせる。
「それをそんな値段で売るつもり!? ダメ、即転売されるだけ! そんな特殊効果付きのアクセサリーなんて、普通に買えばひとつ金貨百枚とかするから!」
普段と違う勢いでまくし立てるピピの言葉に俺は驚く。
魔物素材はタダだし、他にかかる原価は金属部品程度のものだ。
金属は金>プラチナ>魔銀>銀の順で高価だが、俺が作る装飾品は、値段の高い金属は使っていない。
2g=金貨一枚程度もする純金(通常の金貨には半分ほど混ぜ物が入っているが、それでも高い)は論外として、金の二分の一くらいの値段のするプラチナも使わず、主に使うのは大体が魔銀・銀を混合して強度を高めたシリル合金というもの。純金のものと比べると原価は百分の一くらいで済む。
後は俺の技術料だが、無名の製作者の商品など大したものではあるまい。それを考慮に入れて言ったのだが、ピピの意見はまた違うようだ。
「美術品としての価値は知らない。でも、これは私たちに有用な効果がたくさんついてる……。簡単に量産できるようなものでも無いし、少なくとも冒険者であればそれくらいの価値だと判断すると思う。アクセサリーは武器防具と違って破損や消耗もしにくいし。後で冒険者用のアイテムを取り扱っている装飾品店を教えるから、それと比べて見てみるとわかると思う」
「市場調査ね……わかった。やっておくよ」
別に価格破壊して他の店の人間を路頭に迷わそうという思惑もないから、俺はそのありがたい忠告を受け取ることにした。
「なんか……たべたいよぅ。じゅる……」
他にも色々なものが置かれており、リュカなどは売られている出店などの食べ物に手を出そうとしたが、こっそりピピに耳打ちされる。
「安いけど、止めた方がいい……お腹痛くなるよ。安全に食べられる店はここでは三分の一くらい。私は食品鑑定できるから、今度教えてあげる」
「う、うん……」
値段が異様に安いものは、下処理が不十分で毒が残っていたり、傷んでいる部分があったりするらしい。調理術スキルを所持しているからか、彼女にはそういうものが分かるようだ。
鑑定スキルを駆使して値打ち物を掘り出したりしたいところではあるが、本日は冒険者として依頼の途中だ。後ろ髪引かれながらも俺たちは、立ち並ぶ露店を後にした。
◆
午前中を使って街を巡り配達を終わらせた後、俺たちが向かったのは《明火の森》という場所。
ハルトリアから中層街からも見渡せる場所にあるその森は、年中オレンジ色の赤い葉っぱで覆われているらしく、角度によっては山火事でも起こっているように見える。
「あの木は松明の木って呼ばれてる。実際芯はすごくよく燃えるよ。深く掘り返した人はいないけど、地面の下に強い火の力を持つ魔石が埋まってるって噂もある」
「なるほどな……」
それが納得できるほど、なんとなく周囲は暑い。
そんな中、チロルは早々にへばり出している。
歩いている内に気持ちの整理も着いてきたのか、表情の方は少し明るくなっているのが救いだ。
「はぁ、はぁ。うぁ、あっついのです~……溶けてしまいそうなのです」
「お前、火属性魔法使いの癖に、暑いの苦手なのか? 火炎耐性の腕輪も着けてるだろ」
「耐えれるのと辛いのは別なのだと思うのですよ~。さむいのは平気なのに、どうして~?」
「あはは。おいらはさむい方がやだな。体が動かなくて眠たくなっちゃうんだ」
リュカは元気が取柄なので、体に汗を光らせつつ余裕の表情で前を走る。
ライラはどうだろうというと……自分だけうっすら魔力の障壁で体を包んでいるじゃないか。
「……なによ」
「いや、まあどうぞご自由に」
俺の視線に少し後ろめたさを感じたのか、ライラはぶつぶつとこちらを見て口ごもる。
「……仕方ないじゃない。外に拡げた魔力を維持するのは消費が大きくなるの」
「わかってるさ。余裕があったらチロルくらいは面倒見てやってくれ」
「倒れられても困るものね。チロル、ほら手を繋ぐわよ……そうすれば小さな消費で体を覆えるから」
「あい……」
半ば抱きつくようにライラの体にへばりつくと、チロルはほっとした顔をする。
そんな彼女を見て呆れた様子でピピは言った。
「チロルはもう少し鍛えた方がいい」
「だな……これでもちょっとはマシになったんだが。お、なんだあれ?」
「取ってくる!」
視線の先に突き立った赤いもの。それを見てすぐさま反応して走り出すリュカ。
「バカ、待て!」
「きゅん!」
危険を感じた俺は思わずリュカの尻尾をつかんでしまう。途端彼女は地面にしゃがみ込み、俺を恨めしそうな涙目で睨む。
「あにき~……しっぽはやめてよ! そこはビンカンなのっ!」
「考えなしに突っ込んだお前が悪い。ピピ、あれはなんなんだ?」
「テイルは間違ってない。あれはファイアバードが自分の縄張りを示すために突き立てた尾羽……皆、戦闘の準備を」
すっと表情から感情を消し、ピピは背中の荷物を下ろす。
四角い箱は荷物だろうが、布に包まれた長物は恐らく武器だ。
彼女は手早くそれを解くと、露わになった刀身が光った。
「また、物騒な物を使う……」
――ジャキン。
俺は喉を鳴らす……。
彼女が持っていたのは死神でも手にしていそうな長柄の大鎌だったのだ。
刃の部分は折り畳み式になっており、彼女が一振りすると、それは元のL字の形状に戻る。
「魔物相手だから、見た目とか気にしていられない。――来るよ!」
「皆、ライラの近くで防御態勢を! 相手の出方を見るぞ……!」
ピピの鋭い警告と同時に、木々を縫うように緋色の羽をひらめかせて姿を見せたのは、ファイアバード――Cランク。
「ケエエエェェェッ!!」
大きく羽ばたいた奴らが、火花を飛び散らせながら舞い降りこちらに迫ってくる――。
道すがら、ピピは色々なことを教えてくれる。
おもに中層街に関してだが、このドーナツ状の市街は、東西南北で別れており、それぞれ西は工業区、南は住宅街、東は商業区などに別れているらしい。
工房を構えるような《武器屋ドムリエル》のような店舗は工業区に位置していたりと例外はあるが、おおむねそんな感じで、ちなみに北は……あまり言うのがはばかられるような店などや、ならず者どもの街になっているのでなるべく「行っちゃダメ」と釘を刺された。
今いる商業区でまず目に付くのは露店市の存在だ。専用の広場として解放されている部分があり、そこでは多くの人間がシートの上で出店を広げている。
気になった俺はピピに尋ねてみた。
「なぁ……あれは俺たちでもできるのか?」
「できる。ただ、変な物を売らないように街の衛兵が目を光らせてるから下手なことをしたらしょっ引かれる」
「俺、装飾品細工師なんだよね。ああいうところなら店を持たなくても金は稼げるかもな」
「そうなの? どんなものがある?」
ピピが興味を持ったので、俺は荷物の中からケースに収めた装飾品を出して見せた。
細工師ギルドを追い出されてから数か月。その間にいくつか魔物素材の装飾品が作成できている。
《★★★★ 赤牙のチョーカー(装飾品)》
スロット数:2
基本効果:力+30、火炎耐性+10
追加効果:【力+20】【火傷耐性(中)】
《★★★★★ 輝き砂のガラスリング(装飾品)》
スロット数:3
基本効果:体力+50、大地耐性+30
追加効果:【-】【物理攻撃耐性(中)】【体力自動回復(小)】
《★★★★ センチピード・シューズ(装飾品)》
スロット数:2
基本効果:体力+30、大地耐性+10
追加効果:【転倒防止】【移動力上昇(小)】
……などなど。
銘は入れていないが、自分だと分かるように名前の頭文字を目立たないところに入れたそれらを一目見て、途端に彼女は渋面になった。
「売れないと思う」
(きっつ……)
短いが、地味にショックを受けることを言ってくれた。
このセンチピードシューズなど、センチピードの堅い甲殻を生かしつつしなやかな履き心地にするのにかなり心血を注いだというのに……確かにリュカなどには『黒くてカサカサする虫っぽくてちょっとやだ』などと酷評されたが。
「悪い品じゃないと思うんだがなぁ……」
がっかりきた俺は、いそいそとそれらをしまい込む。
だが、彼女の言葉は思っていたのと違う評価だったようだ。
「逆。品質が良すぎる……そんな物買えるような人、あんなとこに来ない」
「ん? せいぜい金貨十枚くらいのつもりだったんだが……そうか、高いか。五枚くらいにしとくか」
するとピピがごほっとむせる。
「それをそんな値段で売るつもり!? ダメ、即転売されるだけ! そんな特殊効果付きのアクセサリーなんて、普通に買えばひとつ金貨百枚とかするから!」
普段と違う勢いでまくし立てるピピの言葉に俺は驚く。
魔物素材はタダだし、他にかかる原価は金属部品程度のものだ。
金属は金>プラチナ>魔銀>銀の順で高価だが、俺が作る装飾品は、値段の高い金属は使っていない。
2g=金貨一枚程度もする純金(通常の金貨には半分ほど混ぜ物が入っているが、それでも高い)は論外として、金の二分の一くらいの値段のするプラチナも使わず、主に使うのは大体が魔銀・銀を混合して強度を高めたシリル合金というもの。純金のものと比べると原価は百分の一くらいで済む。
後は俺の技術料だが、無名の製作者の商品など大したものではあるまい。それを考慮に入れて言ったのだが、ピピの意見はまた違うようだ。
「美術品としての価値は知らない。でも、これは私たちに有用な効果がたくさんついてる……。簡単に量産できるようなものでも無いし、少なくとも冒険者であればそれくらいの価値だと判断すると思う。アクセサリーは武器防具と違って破損や消耗もしにくいし。後で冒険者用のアイテムを取り扱っている装飾品店を教えるから、それと比べて見てみるとわかると思う」
「市場調査ね……わかった。やっておくよ」
別に価格破壊して他の店の人間を路頭に迷わそうという思惑もないから、俺はそのありがたい忠告を受け取ることにした。
「なんか……たべたいよぅ。じゅる……」
他にも色々なものが置かれており、リュカなどは売られている出店などの食べ物に手を出そうとしたが、こっそりピピに耳打ちされる。
「安いけど、止めた方がいい……お腹痛くなるよ。安全に食べられる店はここでは三分の一くらい。私は食品鑑定できるから、今度教えてあげる」
「う、うん……」
値段が異様に安いものは、下処理が不十分で毒が残っていたり、傷んでいる部分があったりするらしい。調理術スキルを所持しているからか、彼女にはそういうものが分かるようだ。
鑑定スキルを駆使して値打ち物を掘り出したりしたいところではあるが、本日は冒険者として依頼の途中だ。後ろ髪引かれながらも俺たちは、立ち並ぶ露店を後にした。
◆
午前中を使って街を巡り配達を終わらせた後、俺たちが向かったのは《明火の森》という場所。
ハルトリアから中層街からも見渡せる場所にあるその森は、年中オレンジ色の赤い葉っぱで覆われているらしく、角度によっては山火事でも起こっているように見える。
「あの木は松明の木って呼ばれてる。実際芯はすごくよく燃えるよ。深く掘り返した人はいないけど、地面の下に強い火の力を持つ魔石が埋まってるって噂もある」
「なるほどな……」
それが納得できるほど、なんとなく周囲は暑い。
そんな中、チロルは早々にへばり出している。
歩いている内に気持ちの整理も着いてきたのか、表情の方は少し明るくなっているのが救いだ。
「はぁ、はぁ。うぁ、あっついのです~……溶けてしまいそうなのです」
「お前、火属性魔法使いの癖に、暑いの苦手なのか? 火炎耐性の腕輪も着けてるだろ」
「耐えれるのと辛いのは別なのだと思うのですよ~。さむいのは平気なのに、どうして~?」
「あはは。おいらはさむい方がやだな。体が動かなくて眠たくなっちゃうんだ」
リュカは元気が取柄なので、体に汗を光らせつつ余裕の表情で前を走る。
ライラはどうだろうというと……自分だけうっすら魔力の障壁で体を包んでいるじゃないか。
「……なによ」
「いや、まあどうぞご自由に」
俺の視線に少し後ろめたさを感じたのか、ライラはぶつぶつとこちらを見て口ごもる。
「……仕方ないじゃない。外に拡げた魔力を維持するのは消費が大きくなるの」
「わかってるさ。余裕があったらチロルくらいは面倒見てやってくれ」
「倒れられても困るものね。チロル、ほら手を繋ぐわよ……そうすれば小さな消費で体を覆えるから」
「あい……」
半ば抱きつくようにライラの体にへばりつくと、チロルはほっとした顔をする。
そんな彼女を見て呆れた様子でピピは言った。
「チロルはもう少し鍛えた方がいい」
「だな……これでもちょっとはマシになったんだが。お、なんだあれ?」
「取ってくる!」
視線の先に突き立った赤いもの。それを見てすぐさま反応して走り出すリュカ。
「バカ、待て!」
「きゅん!」
危険を感じた俺は思わずリュカの尻尾をつかんでしまう。途端彼女は地面にしゃがみ込み、俺を恨めしそうな涙目で睨む。
「あにき~……しっぽはやめてよ! そこはビンカンなのっ!」
「考えなしに突っ込んだお前が悪い。ピピ、あれはなんなんだ?」
「テイルは間違ってない。あれはファイアバードが自分の縄張りを示すために突き立てた尾羽……皆、戦闘の準備を」
すっと表情から感情を消し、ピピは背中の荷物を下ろす。
四角い箱は荷物だろうが、布に包まれた長物は恐らく武器だ。
彼女は手早くそれを解くと、露わになった刀身が光った。
「また、物騒な物を使う……」
――ジャキン。
俺は喉を鳴らす……。
彼女が持っていたのは死神でも手にしていそうな長柄の大鎌だったのだ。
刃の部分は折り畳み式になっており、彼女が一振りすると、それは元のL字の形状に戻る。
「魔物相手だから、見た目とか気にしていられない。――来るよ!」
「皆、ライラの近くで防御態勢を! 相手の出方を見るぞ……!」
ピピの鋭い警告と同時に、木々を縫うように緋色の羽をひらめかせて姿を見せたのは、ファイアバード――Cランク。
「ケエエエェェェッ!!」
大きく羽ばたいた奴らが、火花を飛び散らせながら舞い降りこちらに迫ってくる――。
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