シャッター商店街のシャッターの開け方

ihsoy_japan

文字の大きさ
6 / 24

第6話たかがPOPされどPOP ー『目』にする機会を増やすー

しおりを挟む
ある日、三木が一日店にいさせてくれと言ってきたので、
何か意図があるのだろうとOKをだし、一日二人で店番をしていた。
意外だったのは、やらせてみるとレジから袋詰めまでなんでもそつなくこなす。ビックリした。

「なんか、慣れてるねえ。」

「もともと商売屋の息子ですからね。」

「なるほど、、どうりで、、、何屋なの?」

「和菓子屋ですね。弟が跡をついでいて、今はすこし大きくなりましたが、家族経営に毛が生えた程度のものです。私が子供の頃はまさに家族経営でした。
子供の頃の毎日食卓の話題は『どうやったら和菓子が売れるか?』ばかり、でもそれが今の自分を作ってくれたわけですから、文字通り『おかし』なものですよね。」

と笑いながら言った。

なるほど、、小売店の気持ちがよく解るわけだ、、
ある一人のお客様の接客が終わるといきなり三木が声をかけてきた。

「一郎さん、紙とペンを用意してください。」

「何?何?」

「今のお客様ベーグルを買われたんですが、最初、ベーグルのだけをレジに持ってこられました。」

「ああ、そうなんだ、、」

「ただ、こちらのお店はクリームチーズも売っているじゃないですか、ですので、そのことをお伝えしてみたら、『あら、そうなの?』と言って買っていってくださいました。『ここでクリームチーズは売っていない』と思われたんですね。もしくは目に入らなかったか、やはり、冷蔵ケースの中に入っているので解りにくいんだと思います。ですので、この紙に、『クリームチーズは冷蔵ケースの中にあります。』と書いて下さい。書き終わったら、それをパウチして、ベーグルの横に置きましょう。」

「なるほどねえ、、」

「関心していただけるのはありがたいですが、今後、これを一郎さんにやっていただきますよ。大手はこういうところもきっちり抑えています。

セブンイレブンなんですが、棚のポップの表面はその商品を勧める広告になっているのですが、裏面は『●●はこの裏にあります。』と書いてあります。

それ以外にもおもちゃを販売するトイザらスはレジの周りに『買い忘れはありませんか、お買い求めの品に電池は入っていますか?』のPOPを置いています。

デニーズとかはテーブルに据え置きの小さいサイズのデザートのメニューを置いて、メインのメニューを下げた後の追加注文を促す方法をやってますよね。ガストはテーブルに直にデザートやサイドメニューのシール、吉野家もカウンターにサラダやセットメニューのシールとかを貼ってあります。

先日、『いいものを作ればいつか解ってもらえる』の時に話しましたが、お客様が思い出す瞬間の一番は『目』にした時。大手は今お話ししたとおり、目にする機会をとにかく増やそうとしています。

ただでさえ不利な小売店が、POPという自分達も出来ることで大手以下の事をやっていたら、、、ってここから先は言わなくてもお判りいただけますよね。

『お客様にお店の中に入ってきてもらう事。』これが一番難しい。

店に入ってきてもらったら全ての『情報』を『自分達の情報』だけにできるんですよ。こんなチャンスはありません。

せっかく一番難しいところををクリアしたのに、お客様が必要としている物を、こちらの情報伝達の不備で買わずに出て行かれたら苦労も水の泡。
本来、お店に落ちるはずだったお金は、他のお店に落ちることになります。思い出してもらって買ってもらえば自店の売り上げ、思い出させずに帰られてしまえば、近くのお店に売り上げを取られる。

もったいなくありませんか?仮に一人500円使うとして、一日の10人なら、一日5千円、一ヶ月で15万円もの売り上げを損していることになるんですよ。」

確かに三木の言うとおりだ。しかし、こんな事すらやってなかったんだなあと同時に思う。
また、ファミレスも、コンビニも使ったことがあるのに自分は何を見ていたんだろう。

ファミレスではデザートのメニューをみて、デザートを頼んだことはあるし、吉野家でもサラダを頼んだことがある。
いつの間にかお客の立場でしか物を見なくなっている。
世の中はヒントに溢れていると言うのに、、、

「一回作ってしまえば、ずっとは使えます。『一行の手間を惜しまない』ですよ。
ジャムもなにか作りたいですね。牛乳も作りましょうか」

この店はまだまだやることだらけだと改めて気づいた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...