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「ひな、ごめん、遅くなった!」
途端に静寂が掻き消され、どうしてか、居るだけで空気全体が明るくなるような、
まるで太陽みたいな、斗真先輩が足音を立てながら、音楽室にやってきた。
「全然待ってないですよ」
「そう?」
コクリと頷けば、パッと花が開いたように先輩は笑った。
「そっか、なら良かった」
そして、冒頭に至る。
ついでに、私の手には、いつのまに自分のリュックから取り出していたのか、
楽譜が握られた状態で。
「えっと、ひな、これは?」
「卒業プレゼントです!」
「…楽譜?」
「はい」
「ひなが書いたの?」
「はい」
「…俺、欲しい」
「あげます」
斗真先輩は、私の手から楽譜を受け取ると、音符を目で追い始めた。
「ちょっと吹いても良い?」
「…トランペット、卒業式にも持ってきてたんですか?」
「…ばーか」
見れば分かるだろう、と、背負ってきていたトランペットをケースから取り出した。
斗真先輩は、一息吸うと、たった一音で私はこの人が好きだと再認識させられる澄んだ音で、閉じられた空間の中、渡した楽譜の一節をいとも容易く奏でた。
「どう?」
一拍置いて、チラリと目線が投げられたことに気がついた。
私の作曲のセンスに、先輩が一番に気付いてくれた。
もちろん私自身、自分に才能があるだなんて、思ったことは一度もない。
ただ、幼少期からピアノを習っていたことと、放課後残って演奏していたことを先輩に知られてしまったことが、全ての始まりであり、斗真先輩と私が今の関係に至るきっかけだった。
当然、自分で並べて組み立てた音符だ。
先輩の奏でた音楽が、私の想像をいつも超えてくること、今も例に違わなかったことは言うまでもない。
途端に静寂が掻き消され、どうしてか、居るだけで空気全体が明るくなるような、
まるで太陽みたいな、斗真先輩が足音を立てながら、音楽室にやってきた。
「全然待ってないですよ」
「そう?」
コクリと頷けば、パッと花が開いたように先輩は笑った。
「そっか、なら良かった」
そして、冒頭に至る。
ついでに、私の手には、いつのまに自分のリュックから取り出していたのか、
楽譜が握られた状態で。
「えっと、ひな、これは?」
「卒業プレゼントです!」
「…楽譜?」
「はい」
「ひなが書いたの?」
「はい」
「…俺、欲しい」
「あげます」
斗真先輩は、私の手から楽譜を受け取ると、音符を目で追い始めた。
「ちょっと吹いても良い?」
「…トランペット、卒業式にも持ってきてたんですか?」
「…ばーか」
見れば分かるだろう、と、背負ってきていたトランペットをケースから取り出した。
斗真先輩は、一息吸うと、たった一音で私はこの人が好きだと再認識させられる澄んだ音で、閉じられた空間の中、渡した楽譜の一節をいとも容易く奏でた。
「どう?」
一拍置いて、チラリと目線が投げられたことに気がついた。
私の作曲のセンスに、先輩が一番に気付いてくれた。
もちろん私自身、自分に才能があるだなんて、思ったことは一度もない。
ただ、幼少期からピアノを習っていたことと、放課後残って演奏していたことを先輩に知られてしまったことが、全ての始まりであり、斗真先輩と私が今の関係に至るきっかけだった。
当然、自分で並べて組み立てた音符だ。
先輩の奏でた音楽が、私の想像をいつも超えてくること、今も例に違わなかったことは言うまでもない。
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