樹属性魔法の使い手

太郎衛門

文字の大きさ
35 / 68
氷の大陸編

三ツ目族の村

しおりを挟む
「しかし、お前なんだ? めちゃくちゃだな。 何で奴隷してんの? 」
「おべー、づよいだ。 おでだち、ドボダチ」

 ケガをさせたが、完治させたことで和解をした。
 まぁ、どっちかというなら被害者は俺なわけで、許すか許さないかは俺次第なわけなんだけど……。
 俺はネチネチ系じゃないから、まあいい。

 仲良くなった(?)俺達は、ここで話をするのもなんだからということで、ここから一番近くにある三ツ目族の村へと移動することになった。

 ラモンが先頭を歩き、少し離れたその後ろを俺を挟んでジャイとレビタと横並びに歩いている。
 さらにその後ろをネグロが雪白馬を手で引きながら付いてきている。

「いやー、俺は奴隷じゃないよ?」
「だーよーなー。  絶対、ネグロより強いもんな。 見栄を張りやがって」

 そう言って俺の肩をパンパンッと叩くレビタ。

「ネグロは俺を庇ってくれたんだよ。 いい奴だよな」
「デグロはいいやつ。 ぐふふ」

 歩くこと数十分。
 鬼族の村とはクレーターを挟んで反対方向に位置している三ツ目族の村。
 その入り口が見えてきた。
 簡素な造りの門である。

 そこにはラモンと同じ肌の色をした三ツ目の二人組が立っている。 
 厚手の服装をしているが、よく鍛え上げられた体が服装の上からも伝わってくる。
 二人とも、両目を閉じて額の目だけを開いている。
 そして手には手作り感のある槍を携えていた。
    
「見えてきたね。 村はどこも似たような造りなんだね。 ……あのさ、何で彼らは両目を閉じて額の目だけで見てんの?」
「ああ、あれな。 三ツ目族は両目を閉じることで額の目の力を使えるんだ」
「目の力……?」

 俺達は、村から一定の距離で立ち止まった。
 ラモンが門番二人へ説明をしてくれている。

「三ツ目族は瞳術という不思議な力が使えるのさ」

 追い付いたネグロが口を開いた。
 雪白馬も止まり、ブルルッと白い息を吐いている。
 そして地面にうっすらと生える草をゆっくりと食べ始めた。

「そうそう。 ラモンも使えるぞ? 十歳になったからな」
「オデダヂといっしょ。十歳。ぐふふ」
「これでカーラも入れてみんな十歳だな」
       
 みんな?  ジャイもかよ。
 そのナリで十歳とはね……。
 カーラもそうだが、ここの魔族の十歳は俺の知ってるそれよりもずっと大人びている。
 しかし、どいつもこいつも十歳、十歳とうるさいな。

「十歳になると何なの?」

 俺がそう言うと、全員がはっ? みたいな顔して俺を見てきた。
   
「十歳って言ったら成人だろが」

 と、俺の頭をゲンコツするレビタ。
 何で叩く?

 成人?聖人か、あ、星人か。
 十歳星人か。

「ヴェルデは人族だから、俺らと基準が違うんじゃねえか?」
       
 雪白馬の尻を撫でながらそう言うのはネグロ。

 そこ、あぶなくないか?

 あ、蹴られた。
 体をくの字に曲げて飛んでいった。

「………。 で、成人になると瞳術が使えるのかな?」
「そうそう。 あの村の入口に立っている二人は千里眼とまではいかないが、遠くを見る力があるんだぞ。だから、魔物や敵がこないか見張りをしているんだ」
「ほお。すごいね!  どれくらいまで見えるんだろ 」
「そりゃあもう、すげー遠くだよ。 何たって視力3.0だぞ」

 お、おう……。 
 微妙だな。
 瞳術じゃなく、ただただ少し視力がいいだけだな。
  
「そ、そっか……。 あ、ラモンはどんな力なんだ?」
「はっ! アイツな、可哀想な能力なんだぜ。聞いて驚けよ、なんとな、相手の魔力量が分かるんだぜっ! 可哀想なアイツを哀れんだ目で見るんじゃねーぞ」

 俺は哀れんだ目で可哀想なレビタを見る。
 聞いて驚いたよ。
 視力が良いよりも相手の魔力量分かるほうが断然いいじゃねーかよ。
 こいつはあれだな、アホの奴だ。
 レビタのくせに。

 そんな会話をしていると、ラモンが戻ってきた。

「いこっ」

 無事に許可は下りたようだ。
 俺達はラモンを先頭に再度歩き出す。
 腹を擦りながら、いつの間にか復活していたネグロも雪白馬と付いてくる。

「おい、見て驚けよ。 驚きすぎて死ぬなよ」
「オドデゲヨ。 ぐふふ」
「ここは別世界だもんなー。 俺もカーラが居ないならここに住みてーもん…あ、いや、じゃなくて…、……。なんだオラ!見せもんじゃねーぞっ!見てんじゃねーぞ!」 

 よくわかんないけど、俺らにメンチを切ってくるネグロ。
 とりあえず白い目を送っておく。

 そんなことはさておき、俺は見張りをしている、どうみても双子にしか見えない三ツ目族の二人へ軽く会釈をしながら村へと入っていった。

 ┼┼┼

「いつ見てもすごいな」
    
 ネグロだ。
 雪白馬は村の外で柵へ繋いでいる。

 ━━なっ
 俺はあっさりと見て驚いた。
 村へと一歩足を踏み入れた瞬間に景色が変わったのだ。
 氷や雪などは一切なく、自然溢れる緑豊かな村がそこにはあった。
 村の中を小川が流れ、鳥の囀りが聴こえる。
 気温は暖かく、見張りの二人を抜かしてここにいる全員が薄着だ。
 全員とは三ツ目族だけにあらず、単眼族に巨人族の姿も見える。
 どうやらここは、三種族が一つの集落で生活を共にしているようだ。
 といっても、単眼族も巨人族も自分たちの村があるらしい。
 要するに、この村へ遊びにきちゃった奴が、自分の村よりも居心地が良かったから、そのままここで暮らしちゃってるということだ。
 見える範囲だけでも数は相当に多く、村というよりも町に近い。

 しかし…何これ。

「どうだ? 驚いたか?」
「あ、…うん。 どういうこと?」

 レビタは息を吸い込むと、両手を広げて天を仰いだ。

「これが三ツ目族村長の瞳術、"森羅万象"さ」

 よくわかんないけど、凄いことはわかる。
 分かるんだけど、納得できないんだよね。
 何で単眼族のアナタが自慢気なんですか?
 レビタのくせに。

「フォッフォッフォ。 よく来た客人よ。 ワシが村長のミドラじゃ」 

 両目を閉じ、片手には杖を持った老婆が、ラモンの肩を借りながらゆっくりと歩いてきた。
   
 …いやいや、閉じてるというか瞼を縫っているじゃん。
 こわっ。
 悪魔祓いの儀式とかそんなやつやん。
 悪魔やん。魔族やん。
 あ、魔族やん。

「あ、お世話になります。ヴェルデと申します」
「若人よ、そんなに畏まらんでもエエ。 ゆっくりしていくんじゃ」
「あ、ありがとうございます」 
「エエ、エエ。 ここでは自由にしてよいぞ」  

 俺が腰を九十度に折りお礼を述べると、パンッと俺の尻を叩くレビタ。

 イタッ!

「あいさつも済んだことだし、もう行こうぜっ!」

 なんだコイツ。

「イゴ!イゴ! はらへっだ」
「ああ、腹減ったな」

 ジャイとネグロだ。
 二人はミドラとは顔見知りなのだろう。
 あいさつも無しにさっさと歩いていく。

「じゃ、ラモンの家で飯でも食いながら話をするか!」
    
 図々しい奴だな。
 しかし、それに対し特に文句もなく 首肯するラモン。
 それだけ仲がいいということなんだろうな。

 一旦、ラモンはミドラを連れて帰らせてから戻るということで、先に俺達はラモンの家へと移動することにした。
 
しおりを挟む
感想 77

あなたにおすすめの小説

転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!

nineyu
ファンタジー
 男は絶望していた。  使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。  しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!  リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、  そんな不幸な男の転機はそこから20年。  累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

アワセワザ! ~異世界乳幼女と父は、二人で強く生きていく~

eggy
ファンタジー
 もと魔狩人《まかりびと》ライナルトは大雪の中、乳飲み子を抱いて村に入った。  村では魔獣や獣に被害を受けることが多く、村人たちが生活と育児に協力する代わりとして、害獣狩りを依頼される。  ライナルトは村人たちの威力の低い攻撃魔法と協力して大剣を振るうことで、害獣狩りに挑む。  しかし年々増加、凶暴化してくる害獣に、低威力の魔法では対処しきれなくなってくる。  まだ赤ん坊の娘イェッタは何処からか降りてくる『知識』に従い、魔法の威力増加、複数合わせた使用法を工夫して、父親を援助しようと考えた。  幼い娘と父親が力を合わせて害獣や強敵に挑む、冒険ファンタジー。 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...