骸骨ネクロマンサーは怖がられる【旧題:ゲーム世界でネクロマンチックな骸骨として自由に生きていく】

にく

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四話 作戦、計画、対策

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 ルトが寄ってきたモンスターをゴブスケと倒して待っているとしばらくして、鳥スケが帰って来た。

「ピピィッ!」

「お疲れ様、鳥スケ。見つかったか?」

「ピッピ!ピィピーピッ!」

 鳥スケは嬉しそうにルトの頭上を飛び回り、ルトの指先へ止まる。

「なるほど分からん。鳥の言葉なんて分かるはず無いか。」

 鳥スケはルトの指の上で、ピ?と首を傾げる。

「じゃあ、こうしよう。YESで一回、NOで二回、それ以外で三回鳴いてくれ。分かったか?」

ピィッYES!」

 鳥スケは力強く一回鳴く。

「よし。じゃあ、ゴブリンのアジトは見つかったか?」

ピィYES!」

「それは良かった。じゃあ、俺と同じ様な服装の奴は見つかったか?あ、言い忘れて居たが、種族は問わないぞ。」

「……ピピィNO…………。」

 見つけられなかった事でルトに何か言われると思ったのか、それとも何か悔しさ等思う所があったのか、鳥スケは悲しげに弱々しく二回鳴いた。

「いや、そんなに落ち込むな。本来の目的では無いし、ここら辺にプレイヤーが居ないって分かっただけで収穫だ。」

「ピッピピィ……」

「じゃ、ゴブリンのアジトまで案内頼めるか?」

ピィッYES!」

 立ち直ったのか、元気に一回鳴く。
 任せて!と言っているような気がした。

「じゃあ任せる。おいゴブスケ、行くぞ。」

「カタカタッ!」

 木にもたれ胡座をかいていたゴブスケが立ち上がり、骨を鳴らして返事をする。
 ルト達は鳥スケの後を追って行く。


◆◇◆◇◆


 しばらくすると、木や藁で作られた家が立ち並ぶ集落の様な場所に辿り着く。
 そこには多くのゴブリン達は焚火の上に獣を吊るし、汚らしい笑い声を上げて飛び跳ねていた。

「《鑑定》。」

(子ゴブや普通のゴブリンだけじゃなく、【上位小鬼人ホブゴブリン】や【小鬼人長ゴブリンリーダー】ってのも混じってるな。
 数も多いし今は様子見か。)

 ルトはゴブリン達をギリギリ《鑑定》の届く位置から眺め、冷静に分析する。

(もう少し配下の数と俺自身の強さを上げてから一気に殲滅するか。)

 こうして、ルトのゴブリン殲滅計画は幕を開けたのだった。


◆◇◆◇◆


 ゴブリンの偵察から帰って来たルトは、先ずは拠点を作ろうと考える。
 基本、アンデッドは日中ジワジワと体力が削れる、身体能力にマイナス補正が付く等のデメリットが存在する。
 ルトはこの問題を《呪術》の逆デバフにより、ある程度抑える事が可能だが、それでは何時までもMPと状態異常の管理等に追われてしまう。
 何より、基本的に魔術以外の行動は配下にやらせるのがルトのプレイスタイルであり、強味であり弱味だ。
 このままでは今以上の強敵と対峙した時、配下を使う為に自分が危ない目に会いかねない。
 日光の避ける場所と日光対策はルトにとって何よりも優先されるべき事なのだ。
 その次に配下の生産と自身の強化、そしてその次が敵対分子の殲滅である。

「そうと決まれば早速作るか。一から建てるのも面倒だし、そこら辺の崖に横穴で掘るかな。
 俺は筋力が弱いから掘れないし、そうなるとゴブスケだけじゃ心許ないな。もう何体か作るか。」

「カタカタッ!」

「どうした?仲間が増えるのが嬉しいか?」

「カタッ!」

「そうか、じゃあ少し待っててくれ。……魔力は満タン、始めようか。」

 ルトはそう言うとアイテムストレージからゴブリンの骨を取り出し、一体分づつ山積みにしていく。

 このFRWOはステータスに関する事、例えば筋力なら筋トレ、魔力や知力ならば魔術を使う等をする事によってステータスが成長する。
 そして断続的な《呪術》と敵との戦闘でルトの魔力量は確実に成長していっている。

「既に死した骸よ、我が配下となり敵を討ち取れ!<下級不死者創造ロークリエイトオブアンデッド蠢く骸骨スケルトン>!」

 しかし、そんな増やした魔力も二体ものスケルトンを作る事によって、簡単に消費されてしまう。
 消費した魔力を初めに貰ったのポーションで補い、新たに作られたスケルトン達にも《呪術》を行使する。

「成功だ。お前達は今日からゴブツーとゴブスリーだ。」

「「カタカタッ!!」」

 二体のスケルトンは嬉しそうに骨を鳴らし、胸に手を当てて敬礼する。

「うん、いい心構えだ。早速だが、そこのゴブスケと一緒に洞穴を掘って欲しい。道具は…………そうだ道具、道具が無かったんだった……!」

 ルトは自分の道具の存在を思い出し、落胆と思考の間に揺れる。

「硬い骨で掘削出来たりは……」

 僅かな期待を抱いて質問するルトに、ゴブスケ三人衆は申し訳無さそうに首を横にカタカタと振る。

「……そうか…………骨で掘れたら良いんだけどなぁ……あ、そうだ!骨で掘れ無いなら骨を使って掘れば良いんだ!」

「「「カタカタ?」」」

 ゴブスケズはルトの発言を聞いて不思議そうに互いを見つめ合って首を傾ける。

「つまりこういうことだ。俺の《工作》スキルで骨のピッケルを作れば良い、って話だ!」

 ゴブスケズが納得したかの様に頷いていると、ルトはストレージからあるだけの骨を集め、周囲の木に絡まっているツタで口合わせていく。

「これをこうしてこうか?いや、上手くいかないなぁ。……お、《工作》レベル上がった!…………なるほど、ここをこうすれば良いんだな…………?」

 鳥スケが周囲の見回り、ゴブスケズが寄ってきたモンスターを倒している中、ルトは試行錯誤してピッケルを完成させようとする。

「あーなって、こーなって…………出来た!……もうこんな時間か。」

 気付けばゲーム時間内でログインから六時間が過ぎ、初めはレベル1だった《工作》が3レベルまで上昇していた。

「おいお前達、ピッケルが完成したぞ。目指すはあの崖だ。」

 ルトは遠くの方に木々の間から見える、ルト達が今居る位置から一番高い崖を指差し、ルト一行は目的地へと歩き出したのだった。


◆◇◆◇◆


「……やっと着いたな。もっと近場でも良かったかも。」

 愚痴るルトを横目に、ゴブスケズは早速ピッケルを手に持ち、岩を掘り始める。
 静かな森の奥では、風とそれに揺れる木の葉の音、鳥スケとさえずりやゴブスケズの骨の音とカンカンという岩を削る音が良く聞こえた。

「俺も待ってる間に何かするか。そういえば、ポイントを使ったスキルの習得はまだだったな。」

 ポイント。FRWO内において自分の習得可能なスキルを一覧から選び、獲得する際に消費する物の事である。
 これは配下を持ったルトだからこそ開示された情報だが、主人は自身のポイントを使って配下にスキルを覚えさせる事も可能である。

 ポイントの入手方法は主に三つ。
 一つ、初めてゲーム世界に降り立った時に貰える50ポイント。
 二つ、ボスと言われる強力なモンスターを初めて倒した際に貰える10ポイント。
 三つ、全プレイヤーの中で一番最初にダンジョンやボスや新しい分類のアイテムを発見した際に貰える15ポイント。
 ルトが所持しているのは現在50ポイントである。

 ルトがメニューウィンドウからスキル習得を選択すると、五十音順にスキルがズラッと並ぶ。
 スワイプしながらに流し見ていると、《採掘》の文字が目に入る。

(これをゴブスケズに習得させたら、拠点作りが捗るかな?……一つ3ポイントか。出費はかさむけど、拠点は早く出来た方が良いし、《錬金術》や《工作》で鉱石類は今後使う事が増えそうだし、取っておくのも手かな。)

 ルトは《採掘》の文字をタップし、9ポイント支払ってゴブスケズにスキルを取らせる。

「カタッ?」

「カタカタッ」

「カタカタカタッ!」

 直後ゴブスケズの岩を掘る動きやスピードが目に見えて早くなり、ゴブスケズは御礼をしているのかカタカタと骨を鳴らした。

「ピピピッ!」

「なんだ鳥スケ、お前も何かスキルが欲しいのか?」

ピッYES!」

 鳥スケはルトの指先に止まると、その通り!と言わんばかりに翼の片方を挙げて一回鳴いた。

「分かったよ、可愛い奴め。どれが良いんだ?」

 ルトはウィンドウの前に手を持って行き、鳥スケにスキル一覧を見させ、スワイプさせて行く。

「ピーピッ!」

「ん?これが良いのか?」

 鳥スケの翼の先には《監視》の文字があった。
 ルトは3ポイントを支払い、鳥スケに新しいスキルを与えた。

「これからも頑張ってくれよ。」

ピィッYES!」

 鳥スケは嬉しそうに鳴くと、見回りなのか森の中へ飛んで行った。

「さて、自分のスキルを増やしますか。」

 ルトは自分のスキルと習得可能スキルを見つめる。


《魔力操作Ⅲ》《魔力自動回復Ⅲ》《魔力感知Ⅱ》
《闇魔術威力上昇Ⅲ》《気配察知Ⅱ》《体力自動回復Ⅱ》
《死霊術威力上昇Ⅱ》《呪術威力上昇Ⅱ》《死霊術Ⅲ》
《鑑定Ⅱ》《錬金術Ⅰ》《闇魔術Ⅲ》
《杖術Ⅱ》《隠密Ⅱ》《言語学Ⅰ》
《無魔術Ⅲ》《風魔術Ⅱ》《水魔術Ⅱ》
《工作Ⅲ》《呪術Ⅲ》《魔力上昇Ⅲ》
《精神強化Ⅰ》《魔耐強化Ⅰ》《知力強化Ⅲ》
《俊敏強化Ⅱ》


「残り38ポイント、使うとしたら30代までかなぁ……」

 ルトは独り言を呟きながら画面をスワイプしていく。

「とりあえず、光以外の魔術を取っとくか。3ポイントだし。」

 ルトは6ポイントで《火魔術》《土魔術》を習得する。

「ちょっと余っちゃったなぁ。2ポイントで取れるスキルは……お、《細工》ってのがあるのか。」

 《細工》とは、《工作》や《錬金術》、《鍛冶》といった物を生産するスキルにちょっとしたギミックを施すスキルである。
 生産プレイヤーが発展して欲しい、工夫して色々な効果のアイテムを作って欲しいと言う運営の意向により、《細工》の必要ポイントは低く設定されているのである。

 ルトは迷わず《細工》スキルを習得した。
 丁度そのタイミングで、ゴブスケズが洞穴を掘り終わり、ルトのもとへ駆け寄って来た。

「掘れたのか?お疲れ様。」

「「「カタカタカタッ!!!」」」

 ゴブスケズは返事をする様にに骨を鳴らす。
 中に入ると、人二人通れそうな通路の奥に、十畳程の部屋があった。

「良いじゃないか!三人ともお疲れ様。掘り終わって直ぐの所を悪いが、これからお前達やこれから増やす配下用の部屋と、アイテムを保管する物置部屋を作って欲しいんだが、お願い出来るか?」

 ゴブスケズはカタカタと首を縦に振る。

「ありがとう。それと、掘った時に出て来た岩なんかは俺に渡してくれ。もしかしたら鉱石が混じっていたりするかも知れない。」

 ゴブスケズは再び首を縦に振り、ツルハシを手に持ち作業を再開する。

「さて、俺はさっき思い付いたモノの実験でもするか。まずは素材だよな」

 ルトは独り言を呟き、顎に親指の腹と人差し指の横腹を当てながら、洞穴から出ていったのだった。
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