異世界転移で生産と魔法チートで誰にも縛られず自由に暮らします!

本条蒼依

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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

68話 学校での問題

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 ケンジは、あれからずっと隷属の首輪の事を考えていた。鑑定しても、魂に直接効果を及ぼし寿命を延ばすとなるともうお手上げで、新たに奴隷紋を消滅させる何かを開発しないといけないと思っていた。

「ご主人様、どうかいたしましたか?」

「あっ、セバスか?」

「ご主人様、少し休憩された方がよろしいかと?根を詰めても、何も良い事はありませんよ」

「そういえば、セバスも奴隷からの解放を望まないらしいな?」

「それは愚問でございますよ」

「なぜだ?セバスももういい年じゃないか。もう50歳を過ぎたんだろ?残りはゆっくりしたいと思わないのか?」

 ここガイアースの男性の平均寿命は60歳以下とものすごく低い。男性は冒険者となり、魔物の犠牲になる確率が高いからだ。その為、ガイアースでは男性は自分の種を残すのは義務に近い感じである。だから、イズモ大陸では甲斐性のある者は、一夫多妻・一妻多夫も又常識の一つであった。

「私は、ご主人様に買われたあの日に、私の人生を懸けてご主人様の側でお仕えしようと誓ったのです」

「そんな仰々しく考えなくてもいいんじゃないのか?」

「私は、ご主人様に買われた時、人生に絶望していました。他国にいた私は、その時お仕えしていた貴族に裏切られて手と足を切断され囮にされました。そして、敗戦国の捕虜として奴隷に落とされたのです」

「ああ……」

「ですが、ご主人様に買われて欠損を治してもらい、今の私があるのです。私は、ご主人様の役に立ちたい!その恩を一生をかけて返していきたいと思っております」

「そっか分かったよ。いつもありがとな!」

「いえ、当たり前の事ですので、お気になさらないよう、これからもよろしくお願いいたします」

 セバスは、さも当然のように解放を断った気持ちを話して、一礼し紅茶を入れて休憩を促したのだった。そして、休憩中セバスはケンジに話を振って来た。

「ご主人様、ちょっとよろしいでしょうか?」

「なんだ?」

「ご主人様は、奴隷達の扱いに無理をなさっていますよね?」

「そんな事は無いぞ?確かに、今までのように甘やかしたりしていないだけで、一般職員達の意見を取り入れただけだ」

「確かにその通りだと思うのですが、ご主人様の感覚は前世の物でございます。当然ですが、この世界の平民達とのギャップがございます。それを考慮する事は、上に立つ者として大事だとは思いますが、ご主人様が無理をしていた場合、板挟みになると精神的にくる場合があります」

「……」

「ご主人様はお優しい所がありますので、休憩する時間を多めにとってください」

「セバス、ありがとな」

「ご主人様は、いつも一人で抱え込んで暴走したりしますからね。何事も周りを頼ってください。そうすれば、上手く行かない事も上手く行く場合がありますよ」

「ああ、わかったよ。ありがとな」

 ケンジは、セバスの言う様に町にくりだす事にした。町にくりだす事で気分転換になると思ったのだ。

「マイ!今暇か?」

「うん、暇だけどどうかした?」

「久しぶりに、二人で出かけないか?」

「行く!」

「じゃあ準備してくれ。俺は、セバスに言ってくるから」

「わかったわ!30分で用意するから待ってて!」

「急がなくていいよ。ゆっくり準備してくれ」

「あなた、ありがとね」

 マイは嬉しくなり、ケンジにキスをして自分の部屋に入り準備した。そして、ケンジはその日は遅くまで、マイと二人でデートを楽しみ、日頃のストレスが癒されたのだった。




 次の日、ムシュダルクがケンジに、会議に出席をしてほしいと報告があった。

「ムシュダルクさんが、直接言いに来るとは珍しい事もあるもんだな。なんか急ぎの要件か?」

「はい!新たな問題が起こりました……」

 ムシュダルクは、簡単に説明し出しその問題というのは学校の事だった。Freedom国には、ここ数年で他国からの移住で、色んな地域の人間がやってきて、その中には元貴族だった人間もいた。その元貴族の、御子息が学校に入学して、問題を起こしていた。

「それは、どんな問題なんだ?」

「つまりですね。元貴族という考えが抜けていないのですよ。この国では貴族とか平民という区別はないと説明しているのですが、相手は子供で今まで甘やかされて育ってきている為、理解できないようです」

「なるほどなあ……」

「どのようにしたらよろしいでしょうか?」

「学校での対応はどうしたんだ?」

「子供に注意しても、自分は元貴族だと教師も手を焼いています」

「まさか、その元貴族の子供達は、国民の子供を差別し言う事を聞かせたり苛めをしているんじゃ……」

「ま、まさか?」

「子供は時に残酷だ。知識が無い分、そのまま見たことを発言したり、自分と違う見た目をいじったりするから、その生徒を見張っていてくれ」

「わ、わかりました」

「それと、その生徒の親御さんを呼び出して、注意を促してもらえるか?」

「そ、それが……」

 ムシュダルクは、顔をゆがめ言いにくそうに口ごもっていた。

「どうかしたのか?」

「この親にしてこの子ありとはよく言ったもので……その子の親も又、一筋縄ではいかない感じでして……」

「そうか、なるほどな……その親も又、この国のルールに従わず元貴族だと公言して、教師の言う事を無視しているのか?」

「その通りです……」

「わかった!それじゃ、俺が直々にその家に訪問してやるとするか?その前に、その生徒がどんなことをしているのか、証拠を集めておいてくれ。他の生徒を守らないといけないから、どんな些細な事も見逃さない様にして欲しい」

「わ、わかりました!」

 ケンジは、その会議を終え、すぐさま自分の鍛冶工房に籠ったのだった。ケンジは、すぐに証拠を集める事の出来るゴーレムを作った。ムシュダルク達には、元貴族の子供を見張れといったが、四六時中見張るのもお無理があると思い、このゴーレムを作ったのである。

 そのゴーレムは、小さな虫型ゴーレムであり、カナブンのような形をしていた。その性能は録画・録音機能が付いていて、神鋼魔石に風属性魔石を吸収させ、神風魔石を作り音を吸収させる事で録音機能を可能とした。それと同じ要領で、光属性魔石を使用する事で、神光魔石で画像を吸収させることに成功した。
 そして、問題を起こした生徒を尾行させることで、教師の目を盗み悪事を働いた証拠を、あっという間に集めることに成功したのだった。

「これは凄いですね!」

「ああ!改心の出来だと思うよ」

「どんな仕組みになっているのですか?こんなきれいに音が再生され、言い逃れできないですよ」

 そこには、やはり教師の目を盗み、元貴族の子供が他人をいじめている声と動画がおさめられていた。

「これは、風属性の魔石を使って神風魔石の効果だよ。神鋼魔石って何でも吸収するだろ?」

「そうですね……」

「だから風属性魔法でウィンドボイスみたいに、声を届ける魔法があるじゃないか?」

「その声にひらめいたのですか?」

「そういう事だな。神風魔石で音を吸収させることに成功し、録音させる事が出来た。そして、神鋼魔石は吸収だけだが、神風魔石はそれを利用し排出させる事も可能なのも知っているだろ?」

「そうですね。水道なんかはポンプの役目を担っていますからね」

「そうだ、その音を排出させることで、再生機能を持たせているんだ」

「本当にすごいです!これを画像と一緒に見せたら何も言えませんね」

「そういう事だ」

「取り敢えず、その息子と両親を呼び出してほしい。もし、それに自分達は元貴族だという事を、楯にして応じてくれなかった場合、俺が元貴族の家に訪問する形でよろしく頼む」

「分かりました。その時はよろしく頼みます」

 まさか、ケンジは学校でこういった事が起きるとは思っていなかった。苛めにあった生徒は、両親にも言えずかといって学校に行かないとも言えずにいて、発見が遅れていたらこの生徒は自殺していたかもしれない状態まで追い込まれていた。
 ケンジは、苛められていた生徒を保護して、証言させることでこの苛めは絶対に解決して見せると生徒と約束をした。

 その生徒は最初、ケンジがいた事に驚きを隠せないでいた。この国のトップであるケンジがそこにいたからだ。
 ケンジの顔は7歳の子供でも把握できるほどに身近な存在だが、このように面と向かって話す事は絶対ない存在の為、ケンジの顔を見たその生徒は驚きのあまり目を見開き声を失うほどだった。

「な、何で、こ、こんな所に……」

「こんにちは。君はマリちゃんだったね?」

「は、はい。何であたしの名前を?」

「君の事はこちらで調べさせてもらった。長い間辛い思いをさせて本当にすまなかった」

 ケンジは、その生徒に学校の不手際を認め、その生徒に頭を下げた。その行動に女生徒は驚き固まってしまったのだった。

「何を言って……」

「君は、元貴族の息子のバンチェスに苛められているだろ?」

「……あたし、苛められてなんか!」

 その女生徒のマリは、急に青ざめて否定し始めた。周りには教師や偉い人間が集まっていて、自分が告げ口をした事を恐れていたからだ。

「君の心配事は、告げ口をしたと思われると困るからだろ?大丈夫だ。僕たち大人を信じてくれないか?」

 ケンジは女生徒の側に行き、目線の高さをあわせて緊張を解く様に優しく話しかけたのだった。

「学校でのイジメは問題だ。この問題は放ってはおけないから安心してくれ。僕達が絶対に、君を見捨てず守ってやるから、証言をしてくれないか?」

「あの……あたしの、お父さんやお母さんも守ってくれますか?」

「ああ!大丈夫だ。僕たちに任せろ!」

 ケンジは、少女の瞳を力強く見つめて、絶対守ると約束をした。少女は、ケンジの力強さに安心し、ケンジに全てを告白、そしてすべてを任せる事にした。ケンジは、こんな子供にまで貴族の横暴が、まかり通っていることに悲しくなった。
 自分が我慢すれは、親には貴族の被害が出ないと思っていて、何もできなかったという事実があった。

 もし、ケンジがこの虫型ゴーレムを開発していなかったら、初の学校で問題が勃発していて、学校事業が失敗していたかもしれないのだ。ケンジはこの事に憤りを感じて、この国に移住してきた元貴族達の考え方を、正そうと気合を入れ直したのだった。


 
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