無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依

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10話 スタンピード

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 暁が、クロス達を出し抜くためにダンジョンに行っていたころ、クロスとオウカはマッタリ地上で薬草の採取をしていた。

「ねえ、クロス……暁にいる時、いつも採取依頼してたの?」

「まあ、そうだな……これしかやることが無かったと言った方がいいかもな」

「でも、今は違うでしょ?」

「まあな。だけど、俺はこれでいいと思っているよ」

「なんで?もうちょっと実入りの良い依頼をやらないの?」

「今はいいかな?多額の賠償金も入ったしな。それに採取依頼も立派な依頼だと思うけど、オウカは退屈か?」

「薬草採取が立派な依頼?それは初心者がやるような依頼でしょ?」

「やっぱり冒険者はそう思うよな」

「クロスは違うと考えているの?」

「まあな。俺達冒険者は、生産者達の協力があって成り立っているんだよ」

「そりゃそうよね。それは分かっているわ」

「じゃあ、何で薬草採取を初心者に任せるんだ?」

「そりゃ、依頼料が低いからよ。それに、薬草採取なら危険が少ないわ。初心者向けの依頼として成立しているからよ」

「だが、実際初心者も少しでも報酬額の多いゴブリンやフォレストウルフの討伐をやっているだろ?仮に薬草採取をやっても報酬が少ないという理由で採取方法が雑じゃないか」

「そりゃ、初心者も生活が掛かっているからね」

「そんな考え方だから町には薬草が足りなくなるんだよ。だから依頼は、初心者とか関係なくベテランがやってもいいと思うんだ。じゃないと、冒険者自身首を絞めることになるんだよ」

「冒険者自身が首を?」

「当たり前だろ?薬草が足りなくなったらポーションの在庫が減るからな。そうしたら冒険者はヒーラ頼みになる」

「あっ……」

「ようやくわかったか?回復がヒーラだけになったらダンジョンの奥には行けない。普通はパーティーにはヒーラーは一人だ。それにまだヒーラーがいるパーティーはいいが、ヒーラーのいないパーティーもある」

「た、確かに……あたしもずっとソロで活動してたけど、ポーションは必要不可欠だわ」

「それに、この薬草採取はベテランがやった方が儲かるんだよ」

「どういう事?」

「ベテランだと、群生地の一つや二つは把握しているだろ?」

「確かに、初心者はそんな場所知らないわね……」

「そして、ベテラン冒険者なら採取方法も丁寧に出来る。すると、生産者もポーションの製作量も増えるんだよ。当然そうなると、買い取り額が3倍以上に跳ね上がるからな」

「3倍⁉」

「ああ、その金額で群生地を知っているベテラン冒険者が採取するんだぜ」

「すごいわね」

「まあ、それでもベテラン冒険者は、ダンジョンに行っちまうんだけどな」

「そりゃそうよね。報酬額が全然違うもの……」

「だけど、やっぱり薬草採取は誰かがやらないといけない大事な依頼だと思うよ」

「確かに……」

 クロスとオウカは、そんな事を話しながら薬草採取していた。そんな時、クロスがオウカに大きな声を出した。

「オウカ!注意して剣を構えろ!」

「な、何?」

「森の奥から大量の魔物が来るぞ!」

「どういうこと?」

「いいから気合を入れろ!」

 すると、ゴブリンやフォレストウルフ、コボルト等低ランクの魔物が森から溢れてきたのだった。

「こ、これはスタンピード?」

「俺が時間を作る。オウカは時空魔法で、町に知らせに走ってくれ!」

「そんなの駄目!クロス一人でスタンピードを何とかできるとは!」

「うるさい!今は町の人が重要だ!」

 クロスは、爆炎魔法を撃ったのだ。ゴブリンやウルフは爆風に巻き込まれ散りじりになった。しかし、それぐらいでスタンピードは止まらない。

「ク、クロス……」

「早くいけぇ~~~~~~~~!」

「すぐに援軍を連れて戻って来るから、それまで死なないで!絶対よ!」

 オウカは、時空属性転移魔法【リコール】を唱えた。この魔法は、詠唱時間がかかり不便な魔法だ。あらかじめ登録した場所に戻る為の魔法であり、一回行った事のある場所でその場所に魔法陣を書き、登録をしないと使う事が出来ない魔法である。
 
 オウカは持ち家があるので、家の中にリコールの登録場所がある。便利なようだが、限定的で術者のみ使用可能な魔法である。




「ギルドマスターに連絡を!」

 オウカはリコールで戻り、全速力でギルドの門をくぐった。

「オウカどうかしたの?ギルドマスターは今、会議中なの。要件ならあたしが聞くわ」

「今は、そんな事を言っている場合じゃないわ!南の森で大量の魔物がこの町に向かっているの!」

「何ですって?もうそんなとこまで?」

「ギルドは、もう情報を掴んでたの?」

「はい!1時間ほど前早馬が到着し、町の城門は全て閉ざされています。今、ギルドマスターが対策を立ててる最中です!」

「そ、そんな……」

「どうかしたのですか?」

「あたしだけ、スタンピードの情報を町に知らせに来て……今、クロスがそのスタンピードを足止めにしているの」

「何ですって!なんで、そんな無茶な事を!」

「だから、クロスに援軍を連れてくると約束したんです」

「スタンピードに援軍は……噂によると、その魔物の数は5000を超えるらしいです。だから、今回は町で籠城で対処すると決まったそうです。いま、町中の薬草を集めポーション等準備を整えているところなのです」

「じゃ、じゃあ、クロスはどうなるの?」

 ギルド職員達は、オウカと受付嬢の話を聞き下を向いてしまった。それを見たオウカは、ギルドの門を出ようとした。

「オウカ!どこに行くの?」

 その言葉を無視して、オウカはギルドを出ようとした。すると、冒険者達はオウカを止めたのだった。

「そこをどきなさい!」

「「「「駄目だ!」」」」
「お前をクロスの所には行かせない!」

「何でよ!クロスは町の人達に危険を知らせる様にとあたしに!そして、あたしは援軍を絶対連れてくると約束したのよ!」

「クロスの事はもう諦めろ!お前は町の防衛に必要な人材だ!それに、スタンピードが起きたときはギルドの指示に従う事になっているだろ?」

「そ、そんなの関係ない!あたしのクロスが死んじゃう!」

 冒険者達は、オウカを必死に止めていた。





 一方、クロスはスタンピードを一人でくい止めていた。魔物達は今までのスタンピードとは違い、何かから逃げている様子があった。
 普通は魔物の間引きが追い付かなくなり、その地域の魔物が増えすぎ、餌が無くなり森から溢れ、町を襲うというのが定番だった。

「どういう事だ?魔物は何かから怯えて逃げているようにみえる」

 実際に、魔物は何かから必死に逃げて森から溢れていた。フォレストウルフの尻尾は足の間に隠され鳴き声も頼りない恐怖の泣き声だった。
 集団行動をするゴブリンやコボルトも必死に、何かから逃げていて統率が全く取れていないのである。

 クロスは町に向かわない様に、【ウォールオブストーン】で高い壁を作り魔物の逃げる方向を変えたり、爆裂魔法【エクスプロージョン】で魔物をドンドン討伐していったのだった。

 弱い魔物が少なくなってきて、クロスは5000体のスタンピードを1人で何とかしてしまったのだった。

「これぐらいの魔物なら、冒険者もいるし町に戻っても何とかなるかな……」

 クロスは、高い壁の上から全体を見てそう判断した。すると、魔物は少なくなってきたが地響きが近づいてきたのだった。

「な、なんだこれは?ひょっとしてこの地響きの正体から魔物達は逃げていたのか?」

 ズシン!ズシン!っと、少しづつ近づく足音にクロスは息をのんだ。

「ま、まさかこいつは!」

 森から出てきたのは、デストロールだった。

「何でこいつが、ここに出てくるんだ?」

 この魔物は町で有名であり、絶対に手を出してはいけない魔物だった。トロールの上位変異種である。
 この魔物は、傷つけられると周りにいる魔物を取り込み食らうのである。その結果、他の魔物は逃げ回りスタンピードを引き起こす原因になる。
 しかし、放って置いたらそこまでの災害にはならず、町でもこのデストロールは放っておくことが鉄則なのだ。

 クロスは、デストロールの姿を確認し顔を青ざめ冷や汗を流した。そして、クロスは町に知らせることが、第一だと判断したのだった。


 
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