無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依

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11話 デストロールの脅威

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 クロスは、町の一大事と思い、風属性魔法【フライ】を唱えた。この魔法は、魔法のレベルが上がると飛ぶスピードが上がり、何日もかかる馬車の旅が数時間で到着する便利な魔法だ。

 クロスは、ダンジョンでレベルが上がり、魔王というスキルが手に入った。これは全属性魔法が、5レベルというチートのようなスキルである。町の城門まで飛んで行ったクロスは、城門の衛兵に停められたのだ。

「ちょっとストップだ!今、町には入れないって……お主はクロスじゃないか?お前、いつの間に魔法を?」

「今、そんな事を言っている場合じゃない!」

「ああ!分かっているスタンピードの事は町でも情報を掴んでいる。今、領主様とギルドマスターで作戦会を……」

「スタンピードは何とかしてきた!」

「はぁあ⁉クロス、お主今何と言った?」

「スタンピードの8割は、なんとかできたと言ったんだ!それより!」

「馬鹿な事を言うな!スタンピードの8割だと?いい加減な事言うと容赦せんぞ?」

「そんな嘘をついて、俺に何の得があるというんだ?今のスタンピードなら、今いる冒険者で何とかなると思うが、このスタンピードの原因が分かったんだ!早く俺をギルドに向かわせてくれ!」

「一応その原因とやらを聞こう」

「デストロールだよ!俺は魔物を始末していたが、魔物達は何かに怯えて逃げていたんだ。そして、8割ほどいなくなったところで、森からデストロールが出現したんだよ。そのデストロールは、今まさに捕食材料を求めて、こちらに向かってきている」

「なんだと!わ、分かった……城門の横の非常口から特別に町に入れ!」

「サンキューな!」

「早くギルドへ!」

 クロスは、城門をくぐりギルドに走った。そして、ギルドの扉を勢いよく開けた。

「みんな!大変だぁ」

「「「「「クロス!」」」」」

 ギルドの扉を開いたのがクロスだったのを見て、オウカが駆け寄り抱きついたのだった。

「クロス。無事でよかった」

「オウカ、感動の再会はちょっと待ってくれ!大変な事が起こった」

「ど、どうしたの?」

「ファナさん!ギルドマスターを呼んでくれ。大変な事が起こった!」

「ギルドマスターは領主様と……」

「なんだ!さっきから騒がしいぞ。もっと静かに!」

「ギルドマスター、いいところに!」

「何だクロスか?今、作戦会議で忙しいんだ」

「ギルドマスター聞いてくれ!スタンピードなら8割ほどいなくなった。スタンピードの恐怖は無くなった」

 それを聞いた、冒険者は歓声を上げたのだった。しかし、ギルドマスターはクロスを睨みつけた。

「馬鹿な事を!スタンピードがそう簡単に消滅するわけなかろう!ふざけたことを言うと許さんぞ」

「違うんだ!スタンピードの原因が分かったんだ」

「原因だと?」

「ああ!今、この町にデストロールが向かってきている!」

「な、なんだと!」

 先ほど、スタンピードの恐怖が無くなったと聞いて、歓声を上げた冒険者達が静まり返った。

「お、おい……」
「デストロールって南の森にいたやつか?」
「そんなバカな」
「あいつが原因だというのか?」
「クロス達はあいつに手を出したのか?」
「そんなバカなことするわけないだろう……」

「クロス、本当にデストロールなのか?」

「ああ!俺はこの目で見た。体が焼け焦げて手が一本なかった。あれは数日前に、やられたような怪我をしていた」

「それで、森の魔物を自分に取り込み回復をしようとして、スタンピードが起こったのか?」

「ああ!そうだと思う。しかし、魔物はもう8割方いなくなっている。次はこの町に向かってくるぞ。俺は、まさかデストロールが原因だと思っていなかったから、とりあえず町に知らせに来たんだ」

 デストロールを、討伐しようとすれば軍隊必要なほど厄介である。自己治癒力が高いトロールだが、デストロールは更に治癒力が高い四肢を斬っても数分もすれば元通りになる。その為、トロールを討伐するには傷口を焼き斬る事をして、自己再生を防がないと駄目なのだ。

 しかし、今向かっているデストロールは上位亜種と呼ばれる魔物で、傷口を焼いても魔物や人間を取り込むことで再生するのである。そして、半端な火力で攻撃しても、火の耐性を持っているようで焼く事が至難の業で再生を止めることが出来ない程だった。

「そ、そんな……あの森の奴に手を出してはいけないと、ギルドでも言ってた奴なのにいったい誰が……」

 ギルドマスターは、手立てがないと思いその場に崩れ落ちた。するとそこに、ギルドマスターが帰ってこなかったので、領主がギルドのロビーに顔を出した。

「ダンガ!何をやっておる。お前がそのようではいかんだろ?」

「ドーレン。この町を捨てるしかない……あ奴が原因なら、手立てが本当になくなったと言っても、過言ではないのだ。今のうちに、平民に避難指示を出さなければ!」

「馬鹿な事を言うでない!今から避難指示を出しても間に合うわけなかろう。今、いる戦力で何とかしないと」

「駄目なのだ!あ奴だけは何ともならん……だから、ギルドでも手を出してはいけないと言っていたんだ」

 冒険者もそれが分かっていた為、下を向いているだけであった。この時間を使って、早く退避したかったぐらいだった。

「ねえ、クロス?」

「なんだ?言いたいことは分かるが言ってみな」

「クロスなら、何とかできるんじゃないの?」

「ああ、だからみんなの力を借りに戻って来たんだよ」

 その言葉に、冒険者の中でも弱い部類の人間が、クロスの胸ぐらをつかんで怒鳴ったのだった。

「てめぇ!いい加減な事を言ってんじゃねえ!お前は、今までギルドのお荷物だったじゃねえか!今も、オウカにおんぶにだっこのくせに何を言ってんだよ!」

「やめてよ。ブルックス!違うの、クロスは本当は強いの!だから、スタンピードを止めようと、あの場に残ったんだから!」

「はぁあ?このお荷物が、お前より強いというのかよ?」

「ブルックス、その手を離せよ。みんなに説明できないだろ?」

「うるせぇ!俺に指図すんな」

 ブルックスはクロスに殴りかかった。しかし、クロスはブルックスのパンチをあっさり交わし、ボディーに一発お見舞いをした。

「う、うげえええええ!き、貴様ぁ……いったい何を……」

「悪いな……少し黙っていてくれ。もう時間が無いんだ」

 その様子を見ていたギルドマスターが、クロスの側に近寄って来た。

「クロス……お前、本当にどうにかなると思っているのか?」

「ギルドマスター、いきなりこんな事言って信じられるとは思わんが、ここにいる仲間が協力してくれるのなら、デストロールの再生能力は俺が何とかして見せる」

「本当に大丈夫なのか?あ奴の炎耐性は異常なくらい高いんだぞ?」

「ああ!大丈夫だ」

 すると、冒険者達がクロスに意見を言ってきたのだった。

「ちょっと待てよ!実際前衛で戦うのは俺達だ。ブルックスをノックダウンしたのは、今までのお前と違うのは認めるが、デストロールだぞ?」

「だから、あいつの炎耐性の上をいく火力で傷口を焼いたら再生は止まるはず。貴方達は全員で攻撃をして、あやつの体内にある魔石を何とかしてほしいんだ!」

「馬鹿な!お前にそんな火力が出せるとは思えん!お前は確かにレベルアップをしたのかもしれんが、スキルもまだ派生したばかりじゃないのか?そんなんでバックを任せる事は出来ん!俺達も無駄死にはしたくない!」

「みんなお願い!クロスの事を信じてあげて。本当はあたしが、ダンジョンから救出したんじゃないの?クロスは自力でダンジョンから帰って来たの」

「ば、馬鹿!オウカ、それは内緒って言ったじゃないか!」

「だ、だって……クロスは凄いのに、みんなから下に見られているのが耐えられなくて……」

 すると、ギルドマスターはクロスに話しかけた。

「クロス、ちょっと訓練場までこい!お前の魔法力を見てやる」

 クロスは、ギルドマスターに連れられ、ギルドの地下にある訓練場にきた。そして、テーブルの上に金属の塊が置かれたのだった。

「あ、あれは?」

「あれはミスリルだ。あのミスリルの塊を溶かす事が出来るか?」

 訓練場には、冒険者やギルド職員が集まっていた。

「ミスリルを魔法で溶かす事なんかできるわけねえだろ?」
「だが、形を変える程の火力が出せないと、あいつには太刀打ちできねえぜ」
「ああ!俺達もそれぐらいじゃないと、背中を預ける事なんかできねえ」

「クロス、みんなが言う事はもっともな事だ。出来ないのであればみんなに謝れ!」

「ク、クロス……大丈夫よね?」

「オウカ、任せろ。みんなを納得させてみせるから」

 クロスは、ギルドマスターに向き直って確認をする。

「あのミスリルの形を変えたら、俺の事を信じてくれるんだな?」

「ああ、お前はまだスキルのレベルも上がってないはずだ。出来るとは思っておらんから安心しろ」

 クロスは、デストロール討伐にはみんなの協力が必要だと思い、気合を入れるのだった。


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