無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依

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12話 想定外の魔物

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 クロスは、訓練場で気合を入れ直した。ミスリルの形を変えるほどの火力を出せなければ、ギルドでの信用がなくなり、これからの活動が出来なくなるからだ。

 デストロールと戦う事になれば、冒険者の隙間を縫って、斬った場所を後方から攻撃しなければならないとクロスは思った。
 そうなると爆炎魔法の類は撃つ事が出来ない。そうなればファイヤーアローのような弓矢のような攻撃をしないといけないのだ。


 そのことを考えて、クロスはミスリルに向かって指をさした。

「あいつ何をするつもりだ?」
「見たことのない構えだな……」

「プリズム・レイ」

 クロスが静かに【プリズム・レイ】と唱えると、クロスの指先が虹色に輝くと共に、一線のひかりが走ったように見えた。

「今のは何だ⁉」

 ダンガは、何が起こったのか分からず大きな声を出した。遠くからみたミスリルの塊は何も変化はなかった。

「ギルドマスターあれなら文句ないでしょ?」

 ギルドマスターも冒険者達も、クロスが何を自慢げにしているのか分からなかった。

「クロス!何言ってやがる。あんなんで背中を任せる事などできないぞ」
「「「「「そうだそうだ!」」」」」

「クロス、みんなに謝れ!」

「ギルドマスターあの塊をちゃんと見てください」

 ギルドマスターは、クロスに促される様にミスリルに近づいた。そのミスリルを近くで見たギルドマスターは驚愕した。

「こ、これは⁉」

 驚いてるギルドマスターに、冒険者やギルド職員が近づいて行ったのだった。すると、ミスリルは形はそのままだがある一部が違っていた。

「何だよこれ。穴が開いてんじゃねえか!」

 クロスは、魔法力でミスリルに穴を穿っていたのだった。

「こ、これは凄い。余程魔力が集中されていなければ、こんな事にはならん……」

 ギルドマスターは、冒険者達をかき分け、クロスの方に来て頭を下げた。

「クロス、疑って悪かった。お前のその力を貸してくれ」

 冒険者達も、クロスの実力をみて歓声を上げたのだった。

「こ、これならあの化け物を倒せるかもしれねえ」
「た、たしかに」
「これなら背中を預けてもだいじょうぶだ」

「ったく……調子がいいんだから」
「オウカ、そう言ってやるな。今までの俺からしたら信じろと言っても無理だろ?」
「だって……あたしのクロスが馬鹿にされてたんだよ……」
「まあ、そういうなって。俺はオウカが信じてくれていただけで満足なんだからさ」
「クロス……」

「おーい!お二人さん何イチャイチャしてんだよ!」

「「あっ……」」

 二人の姿を見て、訓練場には悲壮感は無くなっていた。



 その頃、城門前では慌ただしくなってきていた。クロスが帰ってきて、兵士達は偵察を行っていた。偵察から急いで帰って来た兵士は慌てて報告したのだった。

「クロス殿の言っていたことは本当だ!もうじき、スタンピードがやって来るぞ!」

「警戒サイレンを鳴らせ!」

 町中に、鐘の音がけたたましく鳴り響いたのだ。平民達は家の中に避難。宿屋暮らしの人間は、教会に避難して心配そうにしていた。

 ギルドでは、その鐘の音を聞き、緊張感が走ったのだ。

 領主とギルドマスターは、冒険者達に作戦を説明した。相手は、スタンピードの魔物とデストロールだ。

 ギルドマスターは、S・A・Bランクの冒険者をデストロールの攻撃に、C・D・Eランクの冒険者をスタンピードの魔物の討伐を命じた。

 Sランクの冒険者はオウカと【疾風の翼】のパーティーだけだった。Aランクも2組、Bランクも2組しか今はこの町にいなかった。暁もいてほしかったが、ダンジョンに行っていて連絡が取れなかったのだ。
 その中でも、デストロール担当の高ランク冒険者は前衛が10人ほどしかいなくなる計算だった。つまり、デストロールをクロスを入れた11人で討伐しないといけないのだ。

 後の人間は、逃げ惑うスタンピードの群れを、相手にしなければならない。魔物は、デストロールから逃げる為、町に侵入しようとしてくるので全力で阻止しないといけないのだ。

 ギルドマスターは、冒険者達に健闘を祈った。そして、冒険者達は今迫りくる脅威に向かったのだった。

「冒険者達が来たぞ!」

 衛兵達は城門にスタンバイしていた。このスタンピードから町を守るのは、国から派遣されている衛兵達、領主の施設兵団、そしてこの時町に滞在していた冒険者だけである。

「魔物の数は想定1500体!我々は約100人だ。圧倒的不利だが、何とか頑張ってくれ!」

「「「「「おう!」」」」」

 衛兵の隊長が、冒険者達に言葉をかけた。本来なら5000体を相手にしなければならなかったが、クロスがだいぶんと数を減らしてくれていたので、戦況はだいぶんと良くなっていた。

「来たぞ!」

 遠くの地面が、砂煙が立っているのが見えた。見張り台で指揮をしている兵士が叫んだ!

「今だ撃てぇ~~~~~!」

 その号令と共に、魔法と弓矢が一斉に放たれた。

「ファイヤーボール!」「ファイヤーアロー!」「インフェルノ」様々な爆炎魔法が降り注いだ。

「アローレイン」「百裂弾」「ワイドショット」「トルネイドショット」

 アーチャー達から、放たれたアロースキルで次々魔物が討伐されていった。

「どうなっている?」
「いつもより威力が上がっている気が……」
「これならいける気がする!」

 ここでも、クロスのスキルが発動していた。仲間支援6レベルだ。これは、クロスが一時的とはいえ、冒険者達を仲間と認識しているから、発動しているスキルで、全員が本来より1レベルあがった状態で、スキルを放っているのだ。

 これらの遠距離攻撃を、かいくぐった魔物達を待ち受けているのが、直接攻撃を得意とする剣士や戦士たちだ。

「トリプルアタック!」「パワーアタック!」「地雷旋!」「旋風斬!」

 剣士達のスキルは、一閃で5体以上の魔物を切り裂いていくのである。辺りはたちまち魔物の死体埋め尽くされていく。

 しかし、魔物の数はいっこうに減る感じがしないのである。やはり、ゴブリンやフォレストウルフなど、Eランクの魔物と言えど、数が多すぎてとうとう冒険者側に犠牲者が出てきたのだ。

「ぐわああああ!」
「や、やめろ」
「近づくな!近づくなぁ~~~」

 犠牲者が出てきたのはやはり、Eランクの冒険者達だった。ギルドマスターは、苦虫を噛みしめたような顔をした。

「やはり無謀だったのか?」

 見張り台から戦況を見つつ、指揮をしているのだが遠くの土地まで魔物が埋め尽くされていた。

「どうなってんだ?本当に1500体なのか?」

 兵士の偵察では1500体ほどで、その後にデストロールが追撃しているとあったのに、今だデストロールの姿が見えなかった。

「このままでは、デストロールを討伐する前に、こちらが全滅してしまうぞ」

 ギルドマスターは、魔法部隊とアーチャー部隊に発破をかけた。しかし、これ以上はどうしようもないのである。二部隊もやることはやっていたからだ。

「これじゃ、駄目だ!全滅してしまう」

「クロス、お前はまだ出たらダメだ!お前にはデストロールとの戦いで、MPを温存してもらわないといけない!」

「そんな事をしてたら、みんなが死んでしまい、それこそどうにもならなくなるぞ!」

「しかし……」

 ギルドマスターも今の状況を見て、魔物の数が減っていない事に気づいていた。

「ギルドマスター!決断してくれ!」

「わ、分かった!クロス頼む……MPを半分ほど残して協力してくれ!」

「分かった!」

 クロスは、インフェルノを使い、魔法部隊と一緒に魔法を放った。クロスの魔法は5レベルあり、他の魔法使いとは別物の威力があり、魔物が次々吹っ飛んでいったのだった。
 そして、魔物達は一時的に城門まで辿り着くことが出来なくなったのだ。

「今のうち、怪我人を収容してくれ!」

 クロスの言葉で、一時的にEとDランクの冒険者が収容されたのだった。Eランクの冒険者は数が少ない。教会で神聖の儀を受ける者は大抵Dランク以上を受ける。Eランクになると運が悪い人間なのだ。
 クロスも、神聖の儀を受けたときはマスター(E)となり、田舎では差別対象となっていた。クロスの場合は、EではなくEXだったのだが。

「た、助かったぜ……」
「うううう……」
「お、オレの腕が!」
「ゥぅ……助けてくれ……」

 収容された冒険者は助けを求めていた。町内にいた医者やヒーラーが慌ただしく動き始めていた。ヒーラーは、本当に貴重な人材で、人数が少なく冒険者でも引手あまただ。

「こっちを頼む」
「はい!」
「誰か手を貸してくれ!」
「もうちょっと待って!」

 医療現場も戦場となっていた。

「クロス!もうそろそろいいんじゃないのか?」

「まだ駄目だ!魔物の数が減っていない。ここでやめたらB・Cランクの仲間も犠牲になるぞ」

「し、しかしお前には……」

「安心しろ!まだMPには余裕がある」

「何だと!そんな威力ある魔法を連発しているじゃないか」

 隣で同じように、魔法で援護していた魔法使いは驚愕していた。自分のMPの量と比較したら、自分がクロスのように魔法を撃ったらとっくにMPは無くなり気絶していると思ったからだ。

「いったい、どんなMP量をしているんだ……」

 それから、30分が過ぎた。ようやく魔物群れが収まってきたのが分かるのだった。
 ギルドマスターは、一体どうなっているのか分からなかった。兵士からは1500体ほどだと聞いていたのに、とっくにその数は倍に上っているのが不思議だった。


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