無能と呼ばれてパーティーを追放!最強に成り上がり人生最高!

本条蒼依

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47話 出立

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 オウカは、家に着くと泣き出してしまった。そして、クロスはオウカを抱きしめ慰めていた。そして、ある秘策を話した。

「オウカ。落ち着いて……話を聞いてほしい」

「……」

 オウカはそのままの状態で、クロスの胸に顔を埋めたまま話を聞いた。

「俺は、とりあえず王都へ行って家を買おうと思う」

「やっぱり、向こうで骨を埋めるつもりなんだ……」

「いやいや……オウカは自分のスキルで忘れていることが無いか?」

「えっ?」

「リコールの魔法を使って、向こうの家に登録したらどうなる?」

「あっ、そうか!俺は、向こうに行って小さい家を買うつもりだ。そして、王都では一人で活動することでランクはEになるだろ?俺は昇格試験をもう受けるつもりはないしな」

「あっ……」

「俺はオウカ以外にパーティーを組むつもりはないし、王族とはいえ指名依頼は出来ない。あいつ等は俺の活躍だけを見て、王都に住めと言っているだけだ」

「でも……」

「王都では俺一人でも活動は出来る」

「だけど王都には強い魔物が……」

「誰が、魔物討伐の依頼を受けるんだ?俺は向こうでは、薬草採取しか受けるつもりはないよ」

「依頼を受けない日は、こっちにリコールで帰って来るだけだ」

「なるほど!それなら全然OKね」

「と言う訳で、明日王都に行ってくるよ」

「でも、一人で大丈夫なの?王都まで馬車でゆうに1ヶ月半はかかる距離よ?」

「おいおい、俺を誰だと思っている?なんでそんな時間のかかる事をして、王都に行かなくっちゃいけないんだ?魔力量からして【フライ】で飛んでいけば、3日目の朝には着くと思うよ」

「嘘でしょ?フライは1分間に10MPが持続的に減っていくはずでしょ?途中でMPが切れたら命の危険が!」

「俺のスキルは魔王だよ。魔法使い系のスキルは全てある。つまり持続的にMPは減っていくが、回復する量の方が多いから永久に飛んでいけるんだ」

「……」

「まあ、そんな事したら疲れるから、途中の町で休憩しながら飛んでいくつもりだけどな。だからMP切れなんかならないよ」

 クロスの説明に、呆気にとられたオウカだった。そして、次の日クロスは王都に向かって町を出たのだった。

「じゃあ、オウカ行ってくるよ。オウカも一人でいる時は無理をするなよ」

「うん、気を付けて行ってらっしゃい。あっ、そうそうここの魔法陣の登録はちゃんとした?」

「ああ!ばっちりだ。これでいつでも帰ってこれるよ」

 オウカはクロスが家を出るとき、玄関先でキスをして送り出した。クロスは、何も持たず城門に向かった。すると、城門には領主とギルドマスターがいた。

「「クロス(君)」」

「何で二人がここに?」

「なんでって、そりゃお前を見送りにきたんだ」
「当たり前だろうが!」

 すると周りにいた人間も笑顔で見送りに来てくれていたのだった。

「何で、みんなも?」

「当たり前じゃねえか!お前はムーンタリアの英雄だぞ?」

「本当なら、この町を出て行ってほしくない。これは本当の気持ちだ。だけど相手を考えたらしょうがないんだ……本当にすまん」

 領主はどうしようもない事で頭を下げたのだった。

「お、オイ……クロスお前、王都まで歩くつもりか?乗合馬車はあっちだぞ?」

「乗合馬車なら一ヶ月以上かかるだろ?天候によっては2ヶ月かかるかもしれないからな」

「だからって、お前歩いて行ったら半年じゃつかんぞ?」

「誰が歩いていくんだよ。それなら馬車で行くよ。だけど俺のフライなら、3日目の昼には到着するはずだ」

 クロスは、笑いながら【フライ】を唱えた。そして、クロスは町の人間達に見送られて町を飛んで出て行ったのだった。その速度はあっという間に見えなくなってしまったのだ。

 その後景に、町の人間は絶句して何も言えなかったのだ。

「あいつ、人間じゃねえな……」
「た。確かに……」

「それにしても、ダンガよ……」
「なんだ?ドーレン」
「惜しい人物をこの町は失ったよな」
「ホント、悔しいぜ……あいつがいたからこそ、この田舎町は発展するチャンスだったのによ……」
「わしも、悔しいぞ……」

 領主とギルドマスターは、国の対応に奥歯を噛みしめていた。しかし、一週間後クロス姿をこの町で見ることになるとは、まだ知る由もなかった。


 クロスが、ムーンタリアの町を出て、宣言通り3日目のお昼時に王都に着いた。

「クはぁ……やっぱでけえなあ!ここが王都ロスロードか!」

 クロスは、その町、いや都市の大きさに驚いたのだった。そして、城門に向かうと兵士がクロスに身分書を求めたのだった。

「身分書をよろしくお願いします」

「あ、はい!」

 クロスはギルドカードを見せた。すると兵士は、眉をひそめたのだ。

「あの、少しよろしいですか?」

「何でしょうか?」

「このギルドカードは本物でしょうか?」

「そうですよ。ここに魔力反応がちゃんと反応しているでしょ?」

 ギルドカードは、本人が持たなければ名前の横の部分が青く輝いかない。本人が死亡した場合、名前が赤く表示され裏面に死亡と記載されたりする便利なものである。

「ムーンタリアのクロス殿で間違いないのか?本当に?」

「何かおかしいですか?」

 当然おかしいのは日数の問題である。王族がクロスに手紙を送ったのは四日前である。そうなるとクロスの王都への到着は速くとも一ヶ月半である。

「ああ、おかしい!日数が全然合わないではないか。ここからムーンタリアまで何日かかると思う。早馬でも一ヶ月以上かかるのだぞ」

「ああ……そういう事ですか。俺はここまでフライで飛んできたんですよ」

「それこそおかしいだろ?フライで飛んだとしても距離が稼げないだろ?貴様、本当に何者だ?」

「どうやって説明したらいいのかな?事実とんできたんだけど一人で来たから……」

「怪しい者は、王都に入れる訳には行かん!」

「じゃあ、俺は帰るけど本当にいいのか?困るのはそっちだと思うぞ?」

 クロスは、フライを又唱えようとした。すると町の中から走って来る兵士が一人いた。

「ちょ、ちょっと待ってくれぇ!」

 その大声に、クロスは空中で止まっていた。

「あなたはクロス殿か?」

「ああ、そうだと言っているが王都に入れないから帰るとこだよ」

「ちょっとお待ちください!帰らないでください!」

「どういう事だ?」

 町から走って来た兵士に、門番の兵士は焦った様子で聞き直したのだ。

「あの人は、本当にムーンタリアのクロスで間違いない」

「だが、王都から手紙を送ったのは四日前だぞ?」

「それが、ムーンタリアの領主から手紙が来ていて、クロス殿はフライで到着するとあったのだ。皆はそんなバカなことがあるかと、たかをくくっておったのだが、一応今日の昼ぐらいに到着するとあったので、一応気に留めておったのだ」

「まさか……そんなことがあり得るのか?」

「もしこのままクロス殿が帰っておったら、お主は国王様にお叱りを受けていたぞ」

 それを聞き、門番の兵士は震え出していた。そして、すぐにクロスにたいして謝罪したのだった。

「クロス殿、本当に申し訳ございませんでした。こ、この通りです」

「だから言ったろ?後悔するって……」

「ま、まさかこの事を君主に……」

「いやいや、そんなことして誰得なんだよ」

 門番の兵士は、クロスの言葉にホッとしたのだった。そして、何度もクロスに頭を下げていた。ようやく、クロスは町の中に入る事が出来たのだった。

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