48 / 60
48話 クロスの要望
しおりを挟む
クロスは、王都の中に入り早速ギルドに向かおうとした。すると、一緒についてきていた兵士が声をかけてきた。
「クロス殿、どこに行くつもりですか?」
「えっ?どこってギルドに決まっているだろ?」
「ちょ、ちょっとお待ちください。まずは、お城の方に来ていただけないでしょうか?」
「はあ?なんで俺が城に?」
「そりゃそうですよ。国王が貴方ここに移住せよと言われたのですよ?まずは、挨拶をしていただかないと」
「遠慮するよ。俺はタダの冒険者だし、貴族様に対しての礼儀も知らないしな。それに俺は王族に世話になるつもりはないし、自由に冒険者家業をやるつもりだからな」
「そ、そんな……ちょっと待ってください!国王は時間を空けて、あなたの到着を待っていたんですよ?」
「俺を待っていた?国王様が?」
「そうですよ!国王様が時間を空けていたのですから来て頂かないと困ります」
「でも、俺は礼儀や敬語なんかもままならないが良いのか?」
「国王も冒険者とはどういうものか知っておいでです。構いませんよ」
「じゃあ、あくまでも俺と言う人間のままでいいんだな?」
「はい!かまいません」
「それじゃわかったよ。ギルドで家を購入するつもりだったが、それは後回しにするよ」
「あ、ありがとうございます。それではこちらで馬車を用意していますのでどうぞ」
クロスは、王城で用意していた馬車で城に向かったのだった。お城は王都の中心部にあり、あまりに大きな建物だった為、遠くからでも確認ができていた。
お城の前に着いて、クロスはさらに驚いた。クロスは完全に田舎から出てきたお上りさん状態になっていた。
「すげえ!むっちゃでかいなあ」
馬車の中にはメイドが乗っていて、クロスの反応にクスクス笑っていた。
「初めて見た人は皆同じ反応ですよ」
「そりゃそうだよなあ。こんなの初めてだし、俺は城壁の高さだけでも驚いたからな」
「わかります。わたくしも初めて王都に来たときそんな感じでしたよ」
「やっぱそうか」
クロスは、メイドと話しながら王城の中へと案内された。そして、謁見の間に通されて、ここで待つようにと言われたのだった。
クロスは、この謁見の間には結界が張ってあると感じた。やはり王様と面会する部屋だけあって、厳重な大勢だと思ったのだった。
少しすると、騎士団と魔法兵団が部屋の側面に並びだし、そのあと上級貴族、つまり宰相や公爵等が入って来た。
クロスは膝をつき頭を下げ、国王の登場まで待った。 そして、最後にこの国のトップ国王が入ってきて、正面にある豪華な椅子に鎮座したのだった。
「面を上げてくれ。長旅ご苦労であった。そなたがクロスだな?わしがこの国の王エラン=ロスロードだ」
「はい。このたび、俺を王都に招待してもらってありがとう。俺はクロスと言います」
「これから、この国の為に尽力してもらうのでよろしく頼むぞ」
「えっ?」
クロスは、国王が何を言っているのはよく分からなかった。そして、クロスが発した声に、貴族達が反応したのだった。
「え、とは何だ無礼だぞ?」
「いやいや、俺は国のために働くつもりはないよ。ここに来いと言われたから来ただけだ。そうしないと、ムーンタリアの領主様が困ることになるからな」
「なっ!」
「何を驚いているか知らんが、俺はここで冒険家業をするだけだよ」
「馬鹿な事を言う出ない!国のために働けるのだぞ?」
「えーっと、貴方は宰相様ですか?」
「ああ、宰相のベイハン=ロスロードだ」
「そうですか。ベイハン様、俺は国で働く事には魅力を感じておりません。俺は冒険者です。本当ならムーンタリアで妻になる恋人とのんびり生活したかったんですよ。だけど、いきなり命令されてここに来ました。国で働くいう事は時間を取られて、帰省することも満足に出来なくなります」
「だったら、その恋人も王都に……」
「恋人も、ムーンタリアの方が大事なのですよ。だから、連れてくるつもりはありません」
「馬鹿な事を!国王の事を一番に考えるのが当たり前ではないか!」
「そりゃあなた達は国王の部下だからだよ。俺は部下でも何でもないし、冒険者だから立場が違うよ」
「クロスよ。それぐらいにした方がよい!わしが笑顔でいるうちにその態度を改めよ」
「国王様!あなたは、俺にいきなりここに移住せよと命令してきましたよね?」
「ああ!その通りだ」
「俺は、その命令に従った。何か問題が?」
「それは問題ない!もし従わなかった場合、ムーンタリアには謀反があったと思うからな」
「じゃあ、それでここに来たら来たらで、俺を飼い殺すつもりだったのか?」
「無礼者!わしがそんなことする訳!」
「だったら、いいじゃないか?俺が今まで通り冒険者でいる事に何が問題があるんですか?」
「冒険者より国で働いた方が、それなりの地位にもなれるし給料も多くなる。そっちの方が幸せではないか?」
「だから、俺はそれを幸せとは感じないから意味が無い。俺は最初から王都では家を買い、最低限の依頼しかするつもりはないよ。後は、ムーンタリアに帰省してのんびり生活をするつもりだ」
「むぐぐぐ!無礼者が!よくぞ、このエランに向かってそんな大口を叩けたな!この者をひっ捕らえよ!」
国王の号令で、周りにいた騎士団、魔法兵団がクロスに対して剣と杖を構えたのだった。
クロスは初めから、王国のいう事など聞くつもりはなかった。領主やギルドが自分を守ってくれない事が分かり、自分の実力を示す事で、クロスは自分の要望を言いに来ただけだったのだ。
「国王様!俺の実力をはき違えてないか?」
「くはははははは!ここには結界が張ってある。お前は何もできはしない。いくら実力があっても赤子同然だ」
謁見の間だけではなく、城には要所要所には、魔道部隊が数人がかりで張った強力な結界が張ってある。その為、よそ者はその実力の1%も出す事が出来ないので、国王や貴族達は余裕で笑っていた。
「今、謝罪をしたら許してやるぞ?」
「何で俺が謝らねばならん!自分勝手な事ばかり言いやがって」
その瞬間、騎士達がクロスに跳びかかった。その瞬間クロスは【テレポート】を使い後方に飛んだ。この魔法は目視できる場所に瞬間移動できる時空魔法である。
そして、全体が見えるようになったクロスは、片手を上げて上空に巨大な火の玉を作り上げたのだった。
「馬鹿な!何でこの部屋で魔法が使えるのだ……」
「国王逃げてください!」
騎士団長が叫び、国王や貴族達は部屋の奥にある扉から逃げ出そうとした。しかし、当然扉が開くことはなかった。
「な、何故じゃ!扉が開かん!」
「魔法兵団!何をしておる。魔法を撃ちこめ!」
魔法兵団は、クロスに向けて一斉に【ファイヤーボール】【エアカッター】【グランドバレット】【ウォータージャべリン】を一斉に打ち込もうとしたが、反対に魔法が発動せず撃てなかった。
「「「「「な、なぜだ!魔法が……」」」」」
王国が張った結界は、クロスに対してなんの意味もなさなかった。これは王宮魔法師団が最大スキル5レベルだった事にあった。
この結界は数人がかりで協力して張った結界だが、5レベルまでしか封印できなかった。つまり、6レベルであるクロスに対してなんの意味をなさなかったからである。
その為、クロスのに結界の上書きされてしまい、国王達は闇ギルドと同じ立場となり、謁見の間から脱出不可能となってしまったのだ。
「さてと、国王様。どうしますか?」
「騎士団は何をしておる。早くかからぬか!」
「騎士団の人達はもう動けませんよ」
「「「「「うう……動け……」」」」」
クロスの魔力は、尋常ではなくクロスを中心に半径5mの範囲には【マス・パラライス】の範囲魔法がかけられていた。
クロスを斬りかかろうと飛びこんだら最後、クロスを中心に半径5mの中に入ると麻痺して、今や言葉も発することが出来なくなっていた。
「ば、馬鹿な……王国騎士団が、たった一人になすすべもなく……」
「国王様、このまま俺を自由にしておいてくれませんか?」
クロスは、謁見の間の入り口である大扉の前で、片手を上げて訴えかけていた。
「王国がたった一人の人間に屈するなんて承諾は出来ん!」
「そうですか?じゃあ、命よりプライドが大事だと?」
「当たり前だ!平民の分際で王族にたてつく方が!」
「じゃあしょうがないですね。ファイヤーボー」
「ま、まて!」
クロスは、振り上げていた右手の上空にある、巨大な炎の球を国王に向けて発射しようとした。これには国王を始め、上級貴族達が目を見開き顔を真っ青にした。
「「「「「ク、クロス殿!待ってくれ!」」」」」
「なんですか?プライドの方が大事なのですよね?」
「プライドも大事だが……命はもっと大事だ!」
宰相がそう叫んだ!この時の貴族達の心境は、冬山で眼前に迫る雪崩と同じくらいの、恐怖を味わっていた事だろう。なすすべくもなくすべてを飲み込むかのような恐怖に、ただ歯をガチガチ鳴らし恐怖するしかなかったのだ。
「だが、あんた達は俺の命を奪おうとしたじゃないか!奪うと言う事は奪われる覚悟もあったのだろ?」
「ゥぐっ……」
「奪われそうになったら、助けを請うのが貴族のプライドなのか?」
クロスの言葉に、貴族達は何も言えなかった。まさか、クロスが強いと言っても、ここまで完璧に封じ込められるとは思ってもいなかったのだ。
「いいか?俺は冒険者だ。ギルドは当てにならないから、自分の力をみせ自由を勝ち取ろうと思いここまで来た。国王様の命令で、ここに来たわけじゃない」
「ぬぐぐぐ……」
「王都には、家を買い住んでやるがただそれだけだ。俺を思い通りにできるとは思わないでくれ」
「……」
クロスは、自分の要望を伝えた。それに対して国王達は何も言わなかった。
「えーっと言葉は?」
「そんなのは認められん!王族が平民の言いなりなどになったら示しがつかん!」
「「「「「こ、国王!」」」」」
貴族達は、国王の言葉に冷や汗を流した。今の状況はどこにも逃げれない。かと言って、騎士達は直接攻撃をしようとしたら麻痺で動けなくなり、魔法師団は遠距離攻撃をしようにも魔法が使えないのだ。
一方、クロスはあり得ない程の炎の球を頭上に抱え、いつでも発射できる状態で待機しているのである。あの炎球はタダのファイヤーボールではない。最上級の【インフェルノ】だと皆思っていた。
「国王様、貴方は自分の立場が分かっているのですか?この炎をこうやって少し動かせば……」
クロスは、右手を少し動かした。
「ま、待つんだ!」
「この世から、骨も残さず消え去りますがいいのですか?」
「わ、分かった……お主には手を出さない事をロスロードの名に懸けて誓う……だから、その炎を収めてくれ……」
「そうですか。分かってくれて良かったです」
クロスは、右手に作った巨大な炎の球を消したのだった。それを見た貴族達はその場にへたり込んでしまったのだった。
「クロス殿、どこに行くつもりですか?」
「えっ?どこってギルドに決まっているだろ?」
「ちょ、ちょっとお待ちください。まずは、お城の方に来ていただけないでしょうか?」
「はあ?なんで俺が城に?」
「そりゃそうですよ。国王が貴方ここに移住せよと言われたのですよ?まずは、挨拶をしていただかないと」
「遠慮するよ。俺はタダの冒険者だし、貴族様に対しての礼儀も知らないしな。それに俺は王族に世話になるつもりはないし、自由に冒険者家業をやるつもりだからな」
「そ、そんな……ちょっと待ってください!国王は時間を空けて、あなたの到着を待っていたんですよ?」
「俺を待っていた?国王様が?」
「そうですよ!国王様が時間を空けていたのですから来て頂かないと困ります」
「でも、俺は礼儀や敬語なんかもままならないが良いのか?」
「国王も冒険者とはどういうものか知っておいでです。構いませんよ」
「じゃあ、あくまでも俺と言う人間のままでいいんだな?」
「はい!かまいません」
「それじゃわかったよ。ギルドで家を購入するつもりだったが、それは後回しにするよ」
「あ、ありがとうございます。それではこちらで馬車を用意していますのでどうぞ」
クロスは、王城で用意していた馬車で城に向かったのだった。お城は王都の中心部にあり、あまりに大きな建物だった為、遠くからでも確認ができていた。
お城の前に着いて、クロスはさらに驚いた。クロスは完全に田舎から出てきたお上りさん状態になっていた。
「すげえ!むっちゃでかいなあ」
馬車の中にはメイドが乗っていて、クロスの反応にクスクス笑っていた。
「初めて見た人は皆同じ反応ですよ」
「そりゃそうだよなあ。こんなの初めてだし、俺は城壁の高さだけでも驚いたからな」
「わかります。わたくしも初めて王都に来たときそんな感じでしたよ」
「やっぱそうか」
クロスは、メイドと話しながら王城の中へと案内された。そして、謁見の間に通されて、ここで待つようにと言われたのだった。
クロスは、この謁見の間には結界が張ってあると感じた。やはり王様と面会する部屋だけあって、厳重な大勢だと思ったのだった。
少しすると、騎士団と魔法兵団が部屋の側面に並びだし、そのあと上級貴族、つまり宰相や公爵等が入って来た。
クロスは膝をつき頭を下げ、国王の登場まで待った。 そして、最後にこの国のトップ国王が入ってきて、正面にある豪華な椅子に鎮座したのだった。
「面を上げてくれ。長旅ご苦労であった。そなたがクロスだな?わしがこの国の王エラン=ロスロードだ」
「はい。このたび、俺を王都に招待してもらってありがとう。俺はクロスと言います」
「これから、この国の為に尽力してもらうのでよろしく頼むぞ」
「えっ?」
クロスは、国王が何を言っているのはよく分からなかった。そして、クロスが発した声に、貴族達が反応したのだった。
「え、とは何だ無礼だぞ?」
「いやいや、俺は国のために働くつもりはないよ。ここに来いと言われたから来ただけだ。そうしないと、ムーンタリアの領主様が困ることになるからな」
「なっ!」
「何を驚いているか知らんが、俺はここで冒険家業をするだけだよ」
「馬鹿な事を言う出ない!国のために働けるのだぞ?」
「えーっと、貴方は宰相様ですか?」
「ああ、宰相のベイハン=ロスロードだ」
「そうですか。ベイハン様、俺は国で働く事には魅力を感じておりません。俺は冒険者です。本当ならムーンタリアで妻になる恋人とのんびり生活したかったんですよ。だけど、いきなり命令されてここに来ました。国で働くいう事は時間を取られて、帰省することも満足に出来なくなります」
「だったら、その恋人も王都に……」
「恋人も、ムーンタリアの方が大事なのですよ。だから、連れてくるつもりはありません」
「馬鹿な事を!国王の事を一番に考えるのが当たり前ではないか!」
「そりゃあなた達は国王の部下だからだよ。俺は部下でも何でもないし、冒険者だから立場が違うよ」
「クロスよ。それぐらいにした方がよい!わしが笑顔でいるうちにその態度を改めよ」
「国王様!あなたは、俺にいきなりここに移住せよと命令してきましたよね?」
「ああ!その通りだ」
「俺は、その命令に従った。何か問題が?」
「それは問題ない!もし従わなかった場合、ムーンタリアには謀反があったと思うからな」
「じゃあ、それでここに来たら来たらで、俺を飼い殺すつもりだったのか?」
「無礼者!わしがそんなことする訳!」
「だったら、いいじゃないか?俺が今まで通り冒険者でいる事に何が問題があるんですか?」
「冒険者より国で働いた方が、それなりの地位にもなれるし給料も多くなる。そっちの方が幸せではないか?」
「だから、俺はそれを幸せとは感じないから意味が無い。俺は最初から王都では家を買い、最低限の依頼しかするつもりはないよ。後は、ムーンタリアに帰省してのんびり生活をするつもりだ」
「むぐぐぐ!無礼者が!よくぞ、このエランに向かってそんな大口を叩けたな!この者をひっ捕らえよ!」
国王の号令で、周りにいた騎士団、魔法兵団がクロスに対して剣と杖を構えたのだった。
クロスは初めから、王国のいう事など聞くつもりはなかった。領主やギルドが自分を守ってくれない事が分かり、自分の実力を示す事で、クロスは自分の要望を言いに来ただけだったのだ。
「国王様!俺の実力をはき違えてないか?」
「くはははははは!ここには結界が張ってある。お前は何もできはしない。いくら実力があっても赤子同然だ」
謁見の間だけではなく、城には要所要所には、魔道部隊が数人がかりで張った強力な結界が張ってある。その為、よそ者はその実力の1%も出す事が出来ないので、国王や貴族達は余裕で笑っていた。
「今、謝罪をしたら許してやるぞ?」
「何で俺が謝らねばならん!自分勝手な事ばかり言いやがって」
その瞬間、騎士達がクロスに跳びかかった。その瞬間クロスは【テレポート】を使い後方に飛んだ。この魔法は目視できる場所に瞬間移動できる時空魔法である。
そして、全体が見えるようになったクロスは、片手を上げて上空に巨大な火の玉を作り上げたのだった。
「馬鹿な!何でこの部屋で魔法が使えるのだ……」
「国王逃げてください!」
騎士団長が叫び、国王や貴族達は部屋の奥にある扉から逃げ出そうとした。しかし、当然扉が開くことはなかった。
「な、何故じゃ!扉が開かん!」
「魔法兵団!何をしておる。魔法を撃ちこめ!」
魔法兵団は、クロスに向けて一斉に【ファイヤーボール】【エアカッター】【グランドバレット】【ウォータージャべリン】を一斉に打ち込もうとしたが、反対に魔法が発動せず撃てなかった。
「「「「「な、なぜだ!魔法が……」」」」」
王国が張った結界は、クロスに対してなんの意味もなさなかった。これは王宮魔法師団が最大スキル5レベルだった事にあった。
この結界は数人がかりで協力して張った結界だが、5レベルまでしか封印できなかった。つまり、6レベルであるクロスに対してなんの意味をなさなかったからである。
その為、クロスのに結界の上書きされてしまい、国王達は闇ギルドと同じ立場となり、謁見の間から脱出不可能となってしまったのだ。
「さてと、国王様。どうしますか?」
「騎士団は何をしておる。早くかからぬか!」
「騎士団の人達はもう動けませんよ」
「「「「「うう……動け……」」」」」
クロスの魔力は、尋常ではなくクロスを中心に半径5mの範囲には【マス・パラライス】の範囲魔法がかけられていた。
クロスを斬りかかろうと飛びこんだら最後、クロスを中心に半径5mの中に入ると麻痺して、今や言葉も発することが出来なくなっていた。
「ば、馬鹿な……王国騎士団が、たった一人になすすべもなく……」
「国王様、このまま俺を自由にしておいてくれませんか?」
クロスは、謁見の間の入り口である大扉の前で、片手を上げて訴えかけていた。
「王国がたった一人の人間に屈するなんて承諾は出来ん!」
「そうですか?じゃあ、命よりプライドが大事だと?」
「当たり前だ!平民の分際で王族にたてつく方が!」
「じゃあしょうがないですね。ファイヤーボー」
「ま、まて!」
クロスは、振り上げていた右手の上空にある、巨大な炎の球を国王に向けて発射しようとした。これには国王を始め、上級貴族達が目を見開き顔を真っ青にした。
「「「「「ク、クロス殿!待ってくれ!」」」」」
「なんですか?プライドの方が大事なのですよね?」
「プライドも大事だが……命はもっと大事だ!」
宰相がそう叫んだ!この時の貴族達の心境は、冬山で眼前に迫る雪崩と同じくらいの、恐怖を味わっていた事だろう。なすすべくもなくすべてを飲み込むかのような恐怖に、ただ歯をガチガチ鳴らし恐怖するしかなかったのだ。
「だが、あんた達は俺の命を奪おうとしたじゃないか!奪うと言う事は奪われる覚悟もあったのだろ?」
「ゥぐっ……」
「奪われそうになったら、助けを請うのが貴族のプライドなのか?」
クロスの言葉に、貴族達は何も言えなかった。まさか、クロスが強いと言っても、ここまで完璧に封じ込められるとは思ってもいなかったのだ。
「いいか?俺は冒険者だ。ギルドは当てにならないから、自分の力をみせ自由を勝ち取ろうと思いここまで来た。国王様の命令で、ここに来たわけじゃない」
「ぬぐぐぐ……」
「王都には、家を買い住んでやるがただそれだけだ。俺を思い通りにできるとは思わないでくれ」
「……」
クロスは、自分の要望を伝えた。それに対して国王達は何も言わなかった。
「えーっと言葉は?」
「そんなのは認められん!王族が平民の言いなりなどになったら示しがつかん!」
「「「「「こ、国王!」」」」」
貴族達は、国王の言葉に冷や汗を流した。今の状況はどこにも逃げれない。かと言って、騎士達は直接攻撃をしようとしたら麻痺で動けなくなり、魔法師団は遠距離攻撃をしようにも魔法が使えないのだ。
一方、クロスはあり得ない程の炎の球を頭上に抱え、いつでも発射できる状態で待機しているのである。あの炎球はタダのファイヤーボールではない。最上級の【インフェルノ】だと皆思っていた。
「国王様、貴方は自分の立場が分かっているのですか?この炎をこうやって少し動かせば……」
クロスは、右手を少し動かした。
「ま、待つんだ!」
「この世から、骨も残さず消え去りますがいいのですか?」
「わ、分かった……お主には手を出さない事をロスロードの名に懸けて誓う……だから、その炎を収めてくれ……」
「そうですか。分かってくれて良かったです」
クロスは、右手に作った巨大な炎の球を消したのだった。それを見た貴族達はその場にへたり込んでしまったのだった。
23
あなたにおすすめの小説
(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います
しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!
こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」
主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。
しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。
「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」
さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。
そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)
かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!
「お前は用済みだ」役立たずの【地図製作者】と追放されたので、覚醒したチートスキルで最高の仲間と伝説のパーティーを結成することにした
黒崎隼人
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――役立たずの【地図製作者(マッパー)】として所属パーティーから無一文で追放された青年、レイン。死を覚悟した未開の地で、彼のスキルは【絶対領域把握(ワールド・マッピング)】へと覚醒する。
地形、魔物、隠された宝、そのすべてを瞬時に地図化し好きな場所へ転移する。それは世界そのものを掌に収めるに等しいチートスキルだった。
魔力制御が苦手な銀髪のエルフ美少女、誇りを失った獣人の凄腕鍛冶師。才能を活かせずにいた仲間たちと出会った時、レインの地図は彼らの未来を照らし出す最強のコンパスとなる。
これは、役立たずと罵られた一人の青年が最高の仲間と共に自らの居場所を見つけ、やがて伝説へと成り上がっていく冒険譚。
「さて、どこへ行こうか。俺たちの地図は、まだ真っ白だ」
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる