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第8章 人類の厄災
75話 救助失敗
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ルシファーは、盗賊が逃げ込んだとされる方向を睨み気合いをいれた。
ルシファーには邪悪な魔力が分かり、盗賊のアジトの方向がわかり、そこに村から誘拐された女子供達の魔力まで感じ取れていた。
「すぐに助けだすよ。それまで頑張ってくれ」
ルシファーのこの行動が、後に人間は滅ぼすものと決定づけるものになるとは、この時まだルシファー自身もわからなかった。
「ここか・・・」
ルシファーは上空から、盗賊のアジトである洞窟を睨んでいた。洞窟の前には、見張りの人間が6人立っており、また2人ペアになり3組が周りを巡回していた。
この盗賊団は、冒険者か騎士団の人間が堕ちて盗賊になったのかと思うほどに統率がとれていた。
「巡回のペースも時間通りみたいだが私には関係ない。全員生け捕りにして町に引き渡してやる」
ルシファーは神の使徒である姿を晒し、6枚の羽根を背から生やし上空から盗賊団を睨んでいた。
「「ギャアアアアアアア!」」
「俺の足がぁああぁああぁああ!」
「敵襲だぁ!」
見張りの盗賊は自分の足に穴が空き血が噴き出しながらでも、アジトの洞窟に大声を出し危険を報せたのだ。
「「「「「冒険者が来たのか?」」」」」
見張りの盗賊達の声に反応し、洞窟の奥からと巡回する盗賊達が入り口に集まる。
「判らねぇ・・・どこから攻撃がきたのかサッパリだ」
盗賊達は、怪我をする仲間の壁になり、森の奥に目を光らせる。しかし、攻撃したルシファーは森の中に身を隠しているわけではない。ルシファーからは盗賊達の位置が丸見えである上空から睨んでいた。
「覚悟するがいい。ホーリーバレット!」
ルシファーは、盗賊達が死なないように最弱に魔力を抑えて魔法を撃ち出す。魔力を抑えて撃ち出す代わりに手数を増やし撃ち出す。
「「「「「「ギャアアアアアアアアアア!」」」」」」
「どこから狙ってやがる!」
ルシファーのホーリーバレットは、盗賊達の寸分狂わず太ももを打ち抜いた。洞窟から更に盗賊達が出てくる。
「出てくるな!どこから狙ってくるかわからねぇ!」
しかし、洞窟から出てくる盗賊の仲間は状況がわからず、ホーリーバレットに撃ち抜かれていく。盗賊達がルシファーの位置が掴めないのは無理もなかった。ルシファーはホーリーバレットの軌道を曲げ、森の中から四方八方から撃ちまくっていたからだ。そして、洞窟の入り口付近には、悶絶した盗賊達で埋まっていく光景を見て、ルシファーは呆然として呟く。
「一体何人の盗賊団なんだ・・・」
これほど多くの盗賊団は類を見なかった。そして、入り口付近にいる盗賊達にパラライズの魔法を掛ける。
「「「「「「「「ぐはっ」」」」」」」」
「か、身体が動かねぇ・・・」
「もうほとんどの盗賊は出てきたみたいだね」
「だ、誰でぃ!」
「「「誰だぁ・・・」」」
「そんなに大声だしたら死んでしまうよ」
ルシファーの掛けるパラライズは、神聖魔法のパラライズだ。身体機能を奪うほど強制的に動かなくする為、無理に大声や身体を動かそうとすると心臓に負荷がかかるのである。
「き、貴様!俺達が誰だかわかっているのか!」
「知らないよ。君は元気だね。私の忠告は聞かないと本当に死んじゃうよ」
「だ、黙りやがれ・・・って、お前は一体何者だ・・・」
盗賊は地面に倒れながら見た、ルシファーの姿に驚愕し震えだす。その姿は、金髪でこの世の者ではない美青年で神々しく後光が差し、その背には6枚の真っ白な翼があったからだ。
「私の事はどうでもいいです。貴方がたが最近襲った村人は中にいますね」
「だからどうした。あいつらは俺達ブラックファングの奴隷だ。中に入るがいい。親方がお前を八つ裂きにしてくれるはずだ。がはははははははは!ぐっ・・・」
「だから言ったじゃないですか。気絶しただけで良かったですね」
ルシファーは周りを見ると、ホーリーバレットに撃ち抜かれた盗賊は気絶したみたいだった。そして、ルシファーは盗賊のアジトの洞窟に入っていく。
「死ねぇ~~~!」
「ホーリーバレット」
「ギャアアアア!痛ぇええええええええ!俺の足が無くなった!」
「威力が強すぎたか?ヒール」
ルシファーは影に隠れ襲った盗賊が死なないように、回復魔法で出血を止めた。しかし、最小限の回復で千切れた足は生やさない。治してしまって逃げられてしまってはどうにもならないからだ。
そして、洞窟の最奥には広場になり、数人の盗賊達がルシファーを待ち構えていた。
「これ以上近づくんじゃねぇ!おらぁ!お前達はあの化け物にかかれ!」
「「「「「そんな・・・親分・・・」」」」」
「それは殺生ですぜ・・・」
「そうですぜ・・・」
「仲間は全員あの化け物にやられちまったんですぜ・・・」
「うるせぇ!俺様に逆らうんじゃねぇ!今まで誰のおかげで美味しい思いしてきたんだ!」
盗賊達にもう戦闘の意思は無く、誰もが助かりたい一心だった。
「村人はどこにいるんだ?」
ルシファーは村人がどこにいるかはわかっていたが、あえて無事なのかを聞いた。
「あの村人なら奥の牢屋に閉じ込めている。だから、助けてくれ」
「お前達は村の男達をどうしたんだ?それに私の大事な人までも・・・」
ルシファーの言葉で、盗賊の親分はあのエルフの男だとピンときた。
「はっ!あのエルフはお前の女だったのか?さすがはお前のような化け物の女だぜ」
「お前がマリアを殺したのかぁ!」
「殺したのは俺様じゃねぇよ。俺様の部下の悪趣味な奴だ。俺様はいくら見た目は良くても亜人なんて気持ち悪くて抱けやしねぇよ」
盗賊の親分は、マリアを侮辱するように吐き捨てる。
「貴様ぁああぁああ!マリアを。マリアだけじゃなく人の命をなんだと思っているんだ!」
ルシファーは、盗賊の親分の言葉に激昂して自分の周りにホーリーバレットを無数に浮かべた。それをみた盗賊の部下達は震え上がり逃げだした。
「「「「「「うわぁぁああぁああぁああ!」」」」」」
「お前等!勝手に逃げんじゃねぇ!」
盗賊の部下達は、ルシファーを回り込み一目散に逃げだした。ルシファーを回り込み洞窟の入り口に向かって全速力で走り、ルシファーを見送り逃げられたと思った瞬間、自分の太ももに激痛が走る。
「「「「「「ギャアアアアアアアアアアアアア!」」」」」」
「ば、化け物め・・・」
盗賊の親分は、部下がホーリーバレットで撃ち抜かれた瞬間に更に洞窟の奥へと逃げた。ルシファーが盗賊の親分を追って洞窟の奥へと入るとそこには洞窟をくり抜き鉄格子がはめ込んだ地下牢があり、そこには大量の藁が敷き詰められて(たぶん奴隷の為の寝床)、村の皆が閉じ込められていた。
「近寄るんじゃねぇ!こいつがどうなってもいいのか?」
「キャッ!」
盗賊の親分は鉄格子越しに幼い女の子の腕を掴み、反対の手にダガーを握り幼い女の子の首にダガーを当てて、ルシファーを牽制する。
「それ以上罪を重ねるな」
「まさかルシお兄ちゃんなの?」
幼い女の子はルシファーの姿を見て驚き目を見開く。その言葉に村の女性達も驚いていた。確かにルシファーの顔だが背中から6枚の羽根を生やし、頭の上には天使の輪があるのだ。この状況にパン屋のジールや農家のヤン、村長でメイドをしていたランファ達は胸の前で手を合わせていた。
また、村には教会はないが孤児を引き取り、子供達を育てていたシスターのマリアンヌは、ルシファーの姿を神の使徒だと思い、瞳から涙を流し天を仰いでいた。
「ああそうだよ。アミちゃんもう安心してね。絶対助けるから」
「「「ルシ兄、頑張れ!」」」
声を上げたのは、村の悪ガキ共のダン、ハンス、アーレンスだ。三人には悪者を倒し村の皆を助けるヒーローに見えていたに違いない。
「近寄るんじゃねぇ!本当に殺しちまうぞ!」
「イヤぁ~!ルシお兄ちゃん助けて」
近寄るルシファーに、盗賊の親分はダガーを突き刺そうと腕を振り上げた瞬間、光の一閃が盗賊の親分の肩を突き抜けた。
「ホーリーレイ」
「ギャアアアアアアアアアアアアア!俺の腕がぁアアアアアアアアア!」
ホーリーレイは聖なる一閃。ホーリーバレットとは違い、初速が段違いに速く敵にダメージを与える魔法である。盗賊の攻撃より速く、盗賊の肩から先が蒸発し消えてしまった。
「うるさい。お前達は好き勝手に皆の命を奪ったじゃないか!」
「はぁはぁはぁ・・・き、貴様ぁ」
「お前達は他人を殺してまでどうして罪を重ねる」
「はっ、何を今更・・・俺には野望がある。良い物食って、いい女を抱き、金を稼ぐ」
「まともに働けば良いだけじゃないか」
「はっ馬鹿馬鹿しい。この世は真面目が馬鹿を見るんだよ」
「そんな事はない!村の皆は楽しく幸せに暮らしていた」
「お前達は王族や貴族の事を知らないからそんな事が言えるんだ!俺様は知っている。腐敗した国の実状をな」
「はっ?」
「俺様の雇い主が誰だか知っているのか?」
「それは奴隷商人に売るつもりなんじゃ・・・」
「違うな!俺様はこいつらを貴族に売るんだよ」
「ば、馬鹿な!貴族は平民を守り、国の政を担い、犯罪を裁くものではないか」
「だから、真面目が馬鹿を見る世の中だってんだ」
「そんな事があるはずが・・・」
ルシファーにとってその事実は衝撃だった。父からは人間を慈しみ愛せよと言われ、その心が世の中を安心で平和へと導けると言われていたからだ。盗賊が今この事実を暴露し、嘘偽りがないのは判り、ルシファーは膝から力が抜けてしまった。
それをみた盗賊の親分は、チャンスと見てニヤリと笑い後方に移動する。そして、壁に埋め込まれたボタンを押したのだった。
「「「「「「きゃあああああ!」」」」」」
その瞬間、地下牢に閉じ込められていた村の皆の頭上から液体のようなものが降り注いた。
「これって油?」
「死ぬぇ~~~!」
ルシファーの一瞬の隙を突いて、盗賊の親分は人質の皆を油漬けにして、エクスプロージョン(爆発するポーション)を投げつけ一瞬で焼き殺したのだ。
「うわぁ!」
「「「「「きゃああああああああ!」」」」」
「「「熱い!」」」
「ぐははははは!俺はもう終わりだ。全員道連れにしてやるうぅ!ぐはっ」
盗賊の親分は、雇い主を暴露して自分の命はないと悟り、皆を道連れにして、自分の首にダガーを突き刺して絶命してしまった。
これを見て、ルシファーは皆を助ける事が出来ず泣き崩れるのだった。
ルシファーには邪悪な魔力が分かり、盗賊のアジトの方向がわかり、そこに村から誘拐された女子供達の魔力まで感じ取れていた。
「すぐに助けだすよ。それまで頑張ってくれ」
ルシファーのこの行動が、後に人間は滅ぼすものと決定づけるものになるとは、この時まだルシファー自身もわからなかった。
「ここか・・・」
ルシファーは上空から、盗賊のアジトである洞窟を睨んでいた。洞窟の前には、見張りの人間が6人立っており、また2人ペアになり3組が周りを巡回していた。
この盗賊団は、冒険者か騎士団の人間が堕ちて盗賊になったのかと思うほどに統率がとれていた。
「巡回のペースも時間通りみたいだが私には関係ない。全員生け捕りにして町に引き渡してやる」
ルシファーは神の使徒である姿を晒し、6枚の羽根を背から生やし上空から盗賊団を睨んでいた。
「「ギャアアアアアアア!」」
「俺の足がぁああぁああぁああ!」
「敵襲だぁ!」
見張りの盗賊は自分の足に穴が空き血が噴き出しながらでも、アジトの洞窟に大声を出し危険を報せたのだ。
「「「「「冒険者が来たのか?」」」」」
見張りの盗賊達の声に反応し、洞窟の奥からと巡回する盗賊達が入り口に集まる。
「判らねぇ・・・どこから攻撃がきたのかサッパリだ」
盗賊達は、怪我をする仲間の壁になり、森の奥に目を光らせる。しかし、攻撃したルシファーは森の中に身を隠しているわけではない。ルシファーからは盗賊達の位置が丸見えである上空から睨んでいた。
「覚悟するがいい。ホーリーバレット!」
ルシファーは、盗賊達が死なないように最弱に魔力を抑えて魔法を撃ち出す。魔力を抑えて撃ち出す代わりに手数を増やし撃ち出す。
「「「「「「ギャアアアアアアアアアア!」」」」」」
「どこから狙ってやがる!」
ルシファーのホーリーバレットは、盗賊達の寸分狂わず太ももを打ち抜いた。洞窟から更に盗賊達が出てくる。
「出てくるな!どこから狙ってくるかわからねぇ!」
しかし、洞窟から出てくる盗賊の仲間は状況がわからず、ホーリーバレットに撃ち抜かれていく。盗賊達がルシファーの位置が掴めないのは無理もなかった。ルシファーはホーリーバレットの軌道を曲げ、森の中から四方八方から撃ちまくっていたからだ。そして、洞窟の入り口付近には、悶絶した盗賊達で埋まっていく光景を見て、ルシファーは呆然として呟く。
「一体何人の盗賊団なんだ・・・」
これほど多くの盗賊団は類を見なかった。そして、入り口付近にいる盗賊達にパラライズの魔法を掛ける。
「「「「「「「「ぐはっ」」」」」」」」
「か、身体が動かねぇ・・・」
「もうほとんどの盗賊は出てきたみたいだね」
「だ、誰でぃ!」
「「「誰だぁ・・・」」」
「そんなに大声だしたら死んでしまうよ」
ルシファーの掛けるパラライズは、神聖魔法のパラライズだ。身体機能を奪うほど強制的に動かなくする為、無理に大声や身体を動かそうとすると心臓に負荷がかかるのである。
「き、貴様!俺達が誰だかわかっているのか!」
「知らないよ。君は元気だね。私の忠告は聞かないと本当に死んじゃうよ」
「だ、黙りやがれ・・・って、お前は一体何者だ・・・」
盗賊は地面に倒れながら見た、ルシファーの姿に驚愕し震えだす。その姿は、金髪でこの世の者ではない美青年で神々しく後光が差し、その背には6枚の真っ白な翼があったからだ。
「私の事はどうでもいいです。貴方がたが最近襲った村人は中にいますね」
「だからどうした。あいつらは俺達ブラックファングの奴隷だ。中に入るがいい。親方がお前を八つ裂きにしてくれるはずだ。がはははははははは!ぐっ・・・」
「だから言ったじゃないですか。気絶しただけで良かったですね」
ルシファーは周りを見ると、ホーリーバレットに撃ち抜かれた盗賊は気絶したみたいだった。そして、ルシファーは盗賊のアジトの洞窟に入っていく。
「死ねぇ~~~!」
「ホーリーバレット」
「ギャアアアア!痛ぇええええええええ!俺の足が無くなった!」
「威力が強すぎたか?ヒール」
ルシファーは影に隠れ襲った盗賊が死なないように、回復魔法で出血を止めた。しかし、最小限の回復で千切れた足は生やさない。治してしまって逃げられてしまってはどうにもならないからだ。
そして、洞窟の最奥には広場になり、数人の盗賊達がルシファーを待ち構えていた。
「これ以上近づくんじゃねぇ!おらぁ!お前達はあの化け物にかかれ!」
「「「「「そんな・・・親分・・・」」」」」
「それは殺生ですぜ・・・」
「そうですぜ・・・」
「仲間は全員あの化け物にやられちまったんですぜ・・・」
「うるせぇ!俺様に逆らうんじゃねぇ!今まで誰のおかげで美味しい思いしてきたんだ!」
盗賊達にもう戦闘の意思は無く、誰もが助かりたい一心だった。
「村人はどこにいるんだ?」
ルシファーは村人がどこにいるかはわかっていたが、あえて無事なのかを聞いた。
「あの村人なら奥の牢屋に閉じ込めている。だから、助けてくれ」
「お前達は村の男達をどうしたんだ?それに私の大事な人までも・・・」
ルシファーの言葉で、盗賊の親分はあのエルフの男だとピンときた。
「はっ!あのエルフはお前の女だったのか?さすがはお前のような化け物の女だぜ」
「お前がマリアを殺したのかぁ!」
「殺したのは俺様じゃねぇよ。俺様の部下の悪趣味な奴だ。俺様はいくら見た目は良くても亜人なんて気持ち悪くて抱けやしねぇよ」
盗賊の親分は、マリアを侮辱するように吐き捨てる。
「貴様ぁああぁああ!マリアを。マリアだけじゃなく人の命をなんだと思っているんだ!」
ルシファーは、盗賊の親分の言葉に激昂して自分の周りにホーリーバレットを無数に浮かべた。それをみた盗賊の部下達は震え上がり逃げだした。
「「「「「「うわぁぁああぁああぁああ!」」」」」」
「お前等!勝手に逃げんじゃねぇ!」
盗賊の部下達は、ルシファーを回り込み一目散に逃げだした。ルシファーを回り込み洞窟の入り口に向かって全速力で走り、ルシファーを見送り逃げられたと思った瞬間、自分の太ももに激痛が走る。
「「「「「「ギャアアアアアアアアアアアアア!」」」」」」
「ば、化け物め・・・」
盗賊の親分は、部下がホーリーバレットで撃ち抜かれた瞬間に更に洞窟の奥へと逃げた。ルシファーが盗賊の親分を追って洞窟の奥へと入るとそこには洞窟をくり抜き鉄格子がはめ込んだ地下牢があり、そこには大量の藁が敷き詰められて(たぶん奴隷の為の寝床)、村の皆が閉じ込められていた。
「近寄るんじゃねぇ!こいつがどうなってもいいのか?」
「キャッ!」
盗賊の親分は鉄格子越しに幼い女の子の腕を掴み、反対の手にダガーを握り幼い女の子の首にダガーを当てて、ルシファーを牽制する。
「それ以上罪を重ねるな」
「まさかルシお兄ちゃんなの?」
幼い女の子はルシファーの姿を見て驚き目を見開く。その言葉に村の女性達も驚いていた。確かにルシファーの顔だが背中から6枚の羽根を生やし、頭の上には天使の輪があるのだ。この状況にパン屋のジールや農家のヤン、村長でメイドをしていたランファ達は胸の前で手を合わせていた。
また、村には教会はないが孤児を引き取り、子供達を育てていたシスターのマリアンヌは、ルシファーの姿を神の使徒だと思い、瞳から涙を流し天を仰いでいた。
「ああそうだよ。アミちゃんもう安心してね。絶対助けるから」
「「「ルシ兄、頑張れ!」」」
声を上げたのは、村の悪ガキ共のダン、ハンス、アーレンスだ。三人には悪者を倒し村の皆を助けるヒーローに見えていたに違いない。
「近寄るんじゃねぇ!本当に殺しちまうぞ!」
「イヤぁ~!ルシお兄ちゃん助けて」
近寄るルシファーに、盗賊の親分はダガーを突き刺そうと腕を振り上げた瞬間、光の一閃が盗賊の親分の肩を突き抜けた。
「ホーリーレイ」
「ギャアアアアアアアアアアアアア!俺の腕がぁアアアアアアアアア!」
ホーリーレイは聖なる一閃。ホーリーバレットとは違い、初速が段違いに速く敵にダメージを与える魔法である。盗賊の攻撃より速く、盗賊の肩から先が蒸発し消えてしまった。
「うるさい。お前達は好き勝手に皆の命を奪ったじゃないか!」
「はぁはぁはぁ・・・き、貴様ぁ」
「お前達は他人を殺してまでどうして罪を重ねる」
「はっ、何を今更・・・俺には野望がある。良い物食って、いい女を抱き、金を稼ぐ」
「まともに働けば良いだけじゃないか」
「はっ馬鹿馬鹿しい。この世は真面目が馬鹿を見るんだよ」
「そんな事はない!村の皆は楽しく幸せに暮らしていた」
「お前達は王族や貴族の事を知らないからそんな事が言えるんだ!俺様は知っている。腐敗した国の実状をな」
「はっ?」
「俺様の雇い主が誰だか知っているのか?」
「それは奴隷商人に売るつもりなんじゃ・・・」
「違うな!俺様はこいつらを貴族に売るんだよ」
「ば、馬鹿な!貴族は平民を守り、国の政を担い、犯罪を裁くものではないか」
「だから、真面目が馬鹿を見る世の中だってんだ」
「そんな事があるはずが・・・」
ルシファーにとってその事実は衝撃だった。父からは人間を慈しみ愛せよと言われ、その心が世の中を安心で平和へと導けると言われていたからだ。盗賊が今この事実を暴露し、嘘偽りがないのは判り、ルシファーは膝から力が抜けてしまった。
それをみた盗賊の親分は、チャンスと見てニヤリと笑い後方に移動する。そして、壁に埋め込まれたボタンを押したのだった。
「「「「「「きゃあああああ!」」」」」」
その瞬間、地下牢に閉じ込められていた村の皆の頭上から液体のようなものが降り注いた。
「これって油?」
「死ぬぇ~~~!」
ルシファーの一瞬の隙を突いて、盗賊の親分は人質の皆を油漬けにして、エクスプロージョン(爆発するポーション)を投げつけ一瞬で焼き殺したのだ。
「うわぁ!」
「「「「「きゃああああああああ!」」」」」
「「「熱い!」」」
「ぐははははは!俺はもう終わりだ。全員道連れにしてやるうぅ!ぐはっ」
盗賊の親分は、雇い主を暴露して自分の命はないと悟り、皆を道連れにして、自分の首にダガーを突き刺して絶命してしまった。
これを見て、ルシファーは皆を助ける事が出来ず泣き崩れるのだった。
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もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
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いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
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