研磨職人!異世界に渡り、色んなものを磨き魔法スキルと合わせて、幸せに暮らす。

本条蒼依

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第1 章 自分だけの職業

30話 オークション

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 ここ、ブロー銅鏡工場では貴族達から銅鏡の注文がキャンセルされていた。

「ノーザン様……これではもうお店を閉鎖するか、別の商品を製作するしかありません……」

「馬鹿な事を言うな!」

「しかし、巷で流行っている鏡の存在は……」

「だからと言って、ブロードソードを製作しても専門鍛冶師がいないのだぞ?」

 製作方法は鋳型を取り、製作の工程は変わらない様に思えるが、全然勝手が違うのである。ソードを作る職人を雇い直さなければならず、今のブロー銅鏡にそんな資産はもうなかったのだ。




 その頃、㋪美研では生産ギルドのギルドマスターロドンが直々に訪問していた。

「ヒロトシ殿、今回は本当にありがとうございます」

「あ、いや……礼を言われる事でもないよ。生産ギルドには、これからもお世話になるんだしね」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

「いえ、こちらこそよろしくお願いします。それで今日は、ギルドマスター自らおいでになられて何かありましたか?」

「それがですね……貴族様達からの要望がありまして……」

「要望?もしかして、生産の増加か?それなら申し訳ないが無理だよ」

「いえ!そうではありません。受注数が日に日に多くなっているのはありがたい事ですが、あの鏡台をオークションに出品して欲しいとのことです!」

「オークション⁉そんなものがあるのか?」

「知らなかったのですか?」

「ああ……聞いたことが無かった」

 ここ、アルテシオン大陸では、生産ギルド主催のオークションがある。ここ数年は、この鏡台のような爆発的ヒット商品が無かったため、冒険者がダンジョンで出したマジカルアイテムやエリクサーなどの貴重品を、冒険者ギルド主催で出品していた。
 しかし、本来は生産者がヒット商品を生み出したさいに、喉から手が出る程欲しいのに生産力が足りず、予約待ちをするのならばお金で解決する方法が取られるものだった。
 これは貴族からの提案で、この鏡台が選ばれる事になるのは十数年ぶりとなる。

 オークションに、ノーマルアイテムが選ばれる事になるのは凄い事であり、貴族達がその店を認める事になるのだ。

「もし、オークションに出品しなければどうなるんだ?」

「それは、致し方のない事ですが、止めておいた方がいいとだけ……」

「その理由は、闇ギルドに依頼する輩が出ないと言えないからか?」

「大きな声ではいませんが、そうですね……」

「やっぱり貴族って厄介な存在なんだなあ……俺はそういうのに関わり合いにはならず、マッタリ暮らしていければよかったのにな」

「しかし、この大ヒット商品を作っておいて、それは無理という事ですよ」

「わかったよ。鏡台をオークションにかけてもらって結構だよ」

「そうですか!こちらとしても助かります。それでですね」

「まだ、何かあるのですか?」

 ギルドマスターは説明を続け、オークションで売れたお金の分配方法の説明をしだした。

「えっ?売り上げの分配方法?」

「そりゃそうですよ!」

「俺は、生産ギルドに1台50万で販売したじゃないか?」

「オークションとはそういうものじゃありません。製作した人間が、出品という形になるのです。そして、オークションを開いているギルドが、売れたお金の4割、出品した人間が6割と決まっているのです」

「じゃあ、次からはギルドに売らなくてもいいのか?」

「我々、生産ギルドとしてもそちらの方がありがたいです。50万で購入し100万で売っていたのですが、オークションとなるとそんなのとは、比べられない売値になりますからね」

「そっか……凄いものなんだな」

「相手が貴族様ですからね」

「分かりました。それで当日はどこに行けばよろしいのですか?」

「主催はこの町の生産ギルドになりますので、ホール会館になります。日時は月初めとなり、鏡台の台数は3台。スタートは200万ゴールドになる予定です」

「はっ?200万ゴールド?嘘だろ……」

「何を言っているのですか?たぶん数千万まで上がるかと思いますよ」

 それを聞いたヒロトシは、貴族の財力恐るべしと思って、冷や汗が流れるのだった。そして、このオークションで事件が起こる事を、まだだれも予想していなかった。



 そして、オークション当日となり、各地から貴族達がたくさんの護衛を引き連れてやってきたのだ。これには、オークション関係者はびっくりしていた。まさかこんなにも集まるとは思わなかったからだ。これにより、ミトンの町の経済がまわることになる。貴族が来たことで護衛してきた人間の宿代なども町の売り上げになるのだ。

 そして、貴族達は高級宿屋で、顔を会せてご機嫌であいさつをしていた。

「今日は負けませんぞ?」

「わはははは!気合十分ですね。私も負けるつもりはありませんぞ。わはははは!」

 貴族達はそう言いながら、笑いあっていたのだった。貴族達にはお祭りの一種のようだ。

「あなた!絶対に負けてはなりません。いいですね?」

「分かっておるが……相手が悪すぎる……」

「そんな弱気にならないでください!」

「わたくしも、あの鏡台が欲しいのです」

「分かっておる。その為にここまで来たのだからな……」

 しかし、下級貴族のようでまさかこんなにも上級貴族が参加するとは思ってもいなかったようだ。

 そして、ヒロトシも護衛を連れて、オークション会場に参加していた。

「ヒロトシ君、今回は本当にありがとう」

「これは領主様!俺の方こそ、こんな機会を与えてくれてありがとうございます。まさか領主様も参加なさるのですか?」

「ああ!あの鏡台は本当に素晴らしいものだからな。1台では足りないよ。普通に予約待ちしたら、3年は待たねばならないからな」

「3年?そんな先まで予約が埋まっていたのですか?」

「なんだ?、知らなかったのかい?」

「えぇ……俺はギルドに販売しただけですからね。後の事は、ギルドに丸投げしてたんですよ」

「なるほどな……まあ、それが正解だろうな。しかし、そのおかげでオークションとなった。我々はすぐに手に入れれるかもしれないから、良かったと言えるだろう」

「ですが、お金をいっぱい持っている人のところに、鏡台が集まるような感じもしますが、それで領主様達はよかったのですか?」

「オークションで決まった事だからね。貴族の皆さんは、後腐れなく納得するのがルールなんだよ」

「なるほど……」

「今回は、私も頑張らないといけないからね。気合入りまくりだよ」

 領主のシルフォードは笑いながら自分の席へ向かったのだった。ヒロトシも又、4人の護衛を連れて自分の席に着いた。ここは、出品者の席で全体が見える席だった。
 今回は、生産ギルド主催のオークションだが、貴族達がいっぱい来ると言う事で冒険者達も出品をしていた。エリクサーや宝石、魔物の素材等、奴隷商人達も新たな奴隷を取り揃えて、たくさんのアイテムが出品されていた。

 しかし、今回は貴族達のお目当ての品は、ヒロトシの鏡台である。その為、いつもよエリクサーの値が伸びる事はなくお買い得となっていた。それでも、どんな病気も治し、欠損した手足も治療可能なポーションである為、1億ゴールドの値をつけていた。

 そして、その中にハウスという魔道具が出品された。これは、どんなところでもテントが立てられ、ミニチュアサイズで持ち運びは出来るものだった。
 野営をするのに便利なもので、結界機能も付いている優れものであり、ヒロトシはこのハウスを手に入れる為にオークションに参加して、見事手に入れる事が出来たのだった。

「ご主人様、何でそんなものを?」

「まあ、いいじゃないか。せっかくオークションに参加する機会が得たのに、何も買わず帰らなくてもいいだろ?」

「それはそうですが、冒険者のように野営する機会なんてないと思うのですが……」

「カノン……そんなにうるさく言わなくとも……」

 カノンと呼ばれたのは、今日ヒロトシについてきた護衛の一人で、飛翔族で背中に羽の生えたヒロトシの奴隷の一人だった。

「うるさくって……」

「確かに、カノンは細かい事ばかり言うからな」

「ウィノア!細かいって何ですか?わたしはただ」

「「確かにウィノアの言う様に、カノンは日頃から細かいよ」」

「アイリとオリビアまで……」

「まあまあ、4人ともそんな言い合いしないで、仲良く行こうよ」

「だって……みんなが、わたしの事を細かいって……」

「まあ、衝動買いした俺が悪かったから。カノンの言ったのは正解だよ。だから機嫌を直せ」

「ご主人様がそう言うのなら……」

 その時、ヒロトシがいたブースにポーションの付いた弓矢で、攻撃されたのだった。そして、その弓矢が着弾したと同時に、ヒロトシ達がいた部屋の中が大爆発を起こしたのだった。


  
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